県の石のレポートについて答えなさい。(2017年岡山)
岡山県の公立高校の入試問題は独自性が高く、時事問題とともに出ることもあり取り組みにくいところがある。
今回は2017年の岩石に関する問題でその傾向を見てみる。
長い説明
科学部の陽子さんは、中学校の文化祭で「県の石」について,展示を行うことになった。 次は,来場者に説明するために用意した原稿の一部である。1~3に答えなさい。
2016年に日本地質学会は,「県の石」として,各都道府県で産出する特徴的な岩石,鉱物, 化石の3種類をそれぞれ一つずつ選びました。そのうちのいくつかを紹介します。
図1は、香川県の岩石「讃岐石(サヌカイト)」です。安山岩の一種で,とてもかたくて, 昔は石器として使われていました。一方,図2の岡山県の岩石は,鉱物を肉眼で観察でき, 色彩が華やかで,建築材料などに使われています。
図3は,岐阜県の化石に選ばれた。(X)の化石を含む石灰岩の断面であり,この化石を 含む地層は古生代のものであることがわかります。
図4は,宮崎県の岩石に選ばれた, 「鬼の洗濯岩(板)」とよばれる地層です。長い年月の 間に,砂岩と泥岩が交互に積み重なった地層ができ,その後,隆起して傾いた地層が,侵食 されたことによって,しま模様の地形になったと考えられています。
このように,岩石や地層を観察することは、遠い昔のできごとや, 大地の変化を読み取る ことができ,興味深いです。
この説明文から読み取れること、
2 岡山県の石は深成岩(大きい結晶が観察できる。等粒状組織が観察できる)
3 宮崎県の石は砂岩と泥岩が交互に積み重なった地層
サヌカイトについての説明
1 図1,図2の岩石は,ともに火成岩である。(1) , (2) に答えなさい。
(1) 図1の讃岐石のでき方を説明した次の文の口に当てはまる適当なことばを書きなさい。
讃岐石は肉眼では斑晶がほとんど見えず,形がわからないほど小さい粒でできている ことから, マグマが( )ことによってできたことがわかる。
サヌカイトがどんな岩石なのか知らなくてもこの問題は与えられた資料から答えることができる。
安山岩であることから
か り あ げ
白 灰 黒
粘りが強い 粘りが弱い
サヌカイトは石器に用いられていた。
ガラス質で出来ており、サヌカイトを用いた楽器もある。
カンカン医師として古くから石器に使われていた。
西日本ではサヌカイトを使った石器が黒曜石を使った石器に並ぶくらいに有名なのかもしれないが。それを知らなくても溶ける問題である。
ガラス質の岩石なので、叩くと高い音が出る。
火成岩の分類
(2) 火成岩は、下の表のア~カのように大きく6種類に分類され,図2の岩石はこの表ではカに分類される。
火山岩 カの岩石を何といいますか。
か り あ げ
しん かん せん は
深成岩 エ 花崗岩 オ 閃緑岩 カ 斑レイ岩
カは はんれい岩
斑レイ岩が出題されるのは珍しい。よく出題されるのが花崗岩である。
示準化石を選ぶ問題
2 図3について,(1), (2)に答えなさい。
(1) (X)に当てはまる生物は、アーエのうちではどれですか。一つ答えなさい。
ア フズリナ
イ ビカリア
ウ サンヨウチュウ(三葉虫)
エ アンモナイト
ビカリア・・・新生代
古生代の示準化石は フズリナと三葉虫であるが、写真から三葉虫ではない
よって フズリナになる。
示準化石の条件
(2) 下線部について,地層ができた年代を推定できる化石を示準化石という。示準化石となる 生物には、広い範囲に生存していたことのほかに,どのような特徴があるか書きなさい。
短い期間に生息していた。
3図4について,陽子さんは砂と泥の堆積のしかたを確かめた。次の文の(A) , (B)」に入る ことばの組み合わせを答えなさい。
下の図のように,水と砂と泥が入った容器にふたをして振り混ぜた後, 静かに置いておくと,粒が大きいものほど(A) |沈むため,砂の層の [B)」に泥の層が堆積した。
この問題は、よく出題される。大きい粒ほど先に沈むので砂が下に早く沈み、泥がそのあと上にゆっくり沈む。
A 早く B 上
ポイント
県の石に関する問題で岡山県の石については出題されていない
新宿の伊勢丹ビル、東京日本橋の三越本店に使われている石材である。
花崗岩であり、深成岩の白っぽい岩石に分類される。
有色鉱物の少ない 1(2)ではエに分類される。
中国地方の県の石
岡山 万成石 花崗岩
広島 広島花崗岩
山口 石灰岩
島根 来待石(凝灰質砂岩)
日本地質学会のページには一覧がある。兵庫県は玄武岩の命名の場になった玄武洞があるびで玄武岩など様々な石が県の石になっている。
県の石という切り口で出題する岡山県の独自性には驚く。
しかし、聞かれていることは火山岩のマグマの性質
深成岩の分類
示準化石についての理解
粒の大きさと沈む速さ
という定番な問題である。