こま犬に使われている石材(2015年広島)
広島の石は花崗岩
広島の問題ですから~~~
隆さんは,神社で見かけたこま犬とその台座に使われている岩石の種類が異なっていることに 興味をもち,調べてレポートにまとめました。次に示したものは,隆さんのレポートの一部です。 図1は,このこま犬と台座の一部を撮影したものです。図2はこま犬の表面を,図3は台座の表 面をそれぞれ近くで撮影したものです。これについて,あとの(1)~(4)に答えなさい。
広島の石は広島花崗岩、そして、広島で土砂災害が多いのはこの広島花崗岩が風化してできた「真砂土(まさ土)」と呼ばれる土が保水力がなく流れだしてしまうため。
2018年に大きな水害がありました
西日本では毎年のように梅雨から秋にかけて線状降水帯ができて、50年に一度の記録的な大雨を記録しています。
西日本ではこの水害に対する防災意識を強く持つために他の県よりも一学年の子の大地の分野が数多く出題されています。
出題される石は関東地方では大谷石など加工しやすい凝灰岩が多いですが、西日本では加工しにくいが入手しやすいので花崗岩が使われる。
その知識を持ちながら問題を見てみよう。
〔目的〕 こま犬とその台座に使われている岩石の種類を調べる。
〔観察記録]
○こま犬に使われている岩石の特徴
・肉眼で見ると,全体的に黒っぽく, 2 mm よりも小さな粒でできていた。
・拡大して見ると,図2のように,ほぼ同じ大きさの粒がぎっしりと集まっていて,1これら
の粒の多くは丸みを帯びていた。
〇台座に使われている岩石の特徴
・肉眼で見ると,全体的に白っぽく,比較的大きな粒でできていた。また,ところどころに黒っぽい粒が混ざっていた。
・拡大して見ると,図3のように,₂粒と粒がすき間なく組み合わさっていて,これらの粒はどれも角ばっていた。
〔考察〕
岩石の特徴から,こま犬に使われている岩石は (A) で, 台座に使われている岩石は(B) だと考えられる。
欠けたり、角が取れたりしています。
(1)このこま犬や台座の表面は,欠けたり角がとれたりしています。このように,地表に出ている岩石が,気温の変化や水のはたらきなどによって表面からもろくなってくずれることを何と いいますか。その名称を書きなさい。
風化についての理解をしているかの問題。和歌山、岡山でも多く出題されている。
(2) 下線部 1 について,岩石をつくっている粒が丸みを帯びていたのはなぜだと考えられますか。その理由を簡潔に書きなさい。
粒が丸みを帯びていたのは、粒が流水などによって運ばれる間に、粒どうしがぶつかり合うなどして角が削られたため
堆積岩は、丸みを帯びている。粒は2mmよりも小さいので砂からできている砂岩、よりも小さい粒で出来ていれば、泥岩であると考えられる。
(3) 下線部 2 について,岩石のこのようなつくりを何といいますか。その名称を書きなさい。また,このようなつくりになったのはなぜだと考えられますか。次の(ア)~(エ)の中から 適切なものを選び,その記号を書きなさい。
(ア)火山灰などが堆積した後,長い時間をかけて押し固められたため。
(イ)生物の死がいなどが堆積した後,長い時間をかけて押し固められたため。
(ウ)マグマが地表付近で,短い時間で冷やされたため。
(エ) マグマが地下深くで,長い時間をかけて冷やされたため。
広島ご当地問題、写真を見るだけで花崗岩、深成岩のひとつ
深成岩はマグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まるため大きい結晶が詰まってできる。
エ 等粒状組織
(4)レポート中の「A |.|BIにあてはまる岩石の種類はそれぞれ何だと考えられますか。 次のア~カの中から適切なものをそれぞれ選び,その記号を書きなさい。
ア 花こう岩
イ玄武岩
ウ砂岩
ェはんれい岩
オ 流紋岩
カ れき岩
Aに当てはまるのは、粒の大きさからレキ岩以外であるが、泥岩の選択肢がないので砂岩だけが選ばれる。
Bは
しん かん せん は
深成岩 花崗岩 閃緑岩 斑レイ岩
か り あ げ
イオは火山岩なので深成岩である選択肢から外れる
全体的に白っぽいので、黒っぽいエの斑レイ岩でもない。
よって、Bはアになる。
ポイント
広島での出題で隆さんが広島で観察したと考えると花崗岩が答えに入ってくるのは予想がつく。
Aのこま犬の部分は堆積岩を用いているのは、花崗岩では加工しづらいからである。
広島には広島城がある、その石垣には多くの石が使われている。その石は花崗岩である。花崗岩は加工がしにくいが磨き上げると白く輝く。このことから、白の石として使われたと考えられるが、その労力は堆積岩を用いて作られたものに比べると大きいものであったであろう。
広島の火山活動では深成岩が生まれている、
これが九州に行くと変わる。
九州では現在も噴火をしている火山が多い。その火山の活動は激しい。
阿蘇山のカルデラは、阿蘇山の大きい山体の外輪山であることから古くは爆発的な噴火を多く繰り返していたと考えられる。マグマが急激に冷えて固まった火山岩になる。
熊本県の県の石は阿蘇の「凝灰岩」である。凝灰岩は火山灰から作られる。
大量にあり、加工しやすいが強度は下がる。
熊本城の石垣はどこから運ばれたのかは不明であるが、安山岩である。
石垣の色が、広島は白っぽく、熊本が灰色っぽいというように使われている岩石の違いで考えるという出題も面白い問題ができそうである。