火山灰層をかぎ層として使う(2012年和歌山)
ある地域で,地下の地層を調べるためにボーリング調査を行った。図1は,このときの試料をもとに作成した5地点 (A~E)の柱状図であり、柱状図横の数値は地表からの深さを表している。また,図2 は,地点A~Eの標高を地形断面図として表している。ただし,地点Bの調査結果は,まだ図1に柱状図として表していない。なお,図1の地層はいずれも海底で連続的に堆積した地層である。また,この 地域において,地表で侵食を受ける前の地層の厚さは一定で,しゅう曲や断層などの変形がないことが別の 調査からわかっている。下の[問1]~[問7]に答えなさい。
[問1) 岩石が気温の変化や風雨などのはたらきで、ぼろぼろにくずれて砂や泥に変わっていくことを何というか,書きなさい。
2019年和歌山の出題では
長い年月のうちに、岩石が気温の変化や風雨にさらされてもろくなることを何というか
大地の変動の問題の第一問で出ている、これは「風化」
石灰岩ではない堆積岩
問2 図1の地層1に含まれるれきのうち、赤茶色のれきを取り出し観察した。このれきには微小な化石がたくさん含まれているが,砂粒は全く含まれていない。また塩酸をかけても反応しな かった。このれきの岩石名と岩石ができた場所の組み合わせとして適切なものを,次のア~エ の中から1つ選んで、その記号を書きなさい。
ア チャートー 陸地から遠く離れた深い海の底
イ チャートー 陸地から近い浅い海の底
ウ 石灰岩 - 陸地から遠く離れた深い海の底
エ 陸地から近い浅い海の底
レキの中に砂が含まれていない。ということで、ここから、海岸から遠いことがわかる。
塩酸をかけても反応しないということで、石灰岩ではない。石灰岩は炭酸カルシウムを主成分として持ち、塩酸と反応し気体を発生してとける。
化石を含むので生物の化石である。貝、さんごの化石ではなく放散虫(二酸化ケイ素が化石になる)の化石でチャート
チャートからできた堆積岩で陸地から遠い・・・ア
花崗岩のつくり
[問3] 図1の地層1に含まれるれきのうち,白っぽいれきを観察したところ花こう岩のれきであることがわかった。花こう岩のつくりとできかたの組み合わせとして適切なものを、次のア~エ の中から1つ選んで、その記号を書きなさい。
ア斑状組織 - マグマが地下深いところでゆっくりと冷え固まった。
イ 斑状組織 - マグマが地表付近で急に冷え固まった。
ウ等粒状組織 - マグマが地下深いところでゆっくりと冷え固まった。
エ等粒状組織 - マグマが地表付近で急に冷え固まった。
火成岩のおぼえかた
しん かん せん は
深成岩 花崗岩 閃緑岩 斑レイ岩
か り あ げ
花崗岩は 深成岩
深成岩は 地下深くでマグマがゆっくり冷えて固まる。
マグマがゆっくり冷えて固まると結晶は大きくなる
鉱物の結晶が大きく成長したものが詰まっているものを等粒状組織という。
よって、組み合わせとしてウ
柱状図からわかること
[問4]地点Bでボーリング調査を行ったとき,火山灰でできた地層Xの上面が現れるのは地表からの深さが何mのところか、書きなさい。
図1を図2の標高にそって並べる。
A(標高150mで地表から30m下なので標高120m)
C(標高139mで地表から10m下なので標高120m)から同じ標高に火山灰の層がある。
Bの標高120mの場所に火山灰がある。標高が140mより、地表から
140ー120=20m
20m
カギ層についての理解
[ 問5] 地層を調べる上で、図1の柱状図に含まれている火山灰でできた地層は、示準化石と同じ役割を果たしていることがわかった。どうしてこのような役割を果たせるのか,その理由を簡潔に書きなさい。
かぎ層として用いられるのは特定の時代に堆積するからである。
火山灰は、短期間に広範囲に堆積するから。
[問6] 図1の柱状図の地層1~3を,堆積した年代の古いものから順に並べ、記号で書きなさい。
地層は下に行けば行くほど古くに堆積している
一番下が泥でできた泥岩② 一番粒が小さい
次が砂で出来た砂岩③ 泥よりは粒が大きい
最後に沈殿したのがレキ①でできたれき岩 砂より粒が大きい
②→③→①
粒が次第に大きくなっていく。粒が大きいほど海岸線に近いことから、海岸線に近くなっていることが分かる。
[問7] 図1の地層が堆積していた期間,この地域の環境はどのように変化したと考えられるか。その変化を説明した文として適切なものを、次のアーエの中から1つ選んで、その記号を書きなさい。
ア海水面が上がって,海岸線から近い位置になった。
イ 海水面が上がって、海岸線から遠い位置になった。
ウ海水面が下がって、海岸線から近い位置になった。
エ 海水面が下がって、海岸線から遠い位置になった。
地層は下に行けば行くほど古くに堆積している
一番下が泥でできた泥岩② 一番粒が小さい
次が砂で出来た砂岩③ 泥よりは粒が大きい
最後に沈殿したのがレキ①でできたれき岩 砂より粒が大きい
粒が次第に大きくなっていく。粒が大きいほど海岸線に近いことから、海岸線に近くなっていることが分かる。
このようになるためには海水面が下がり、海岸線に近くなる必要がある。
このことからウ
ポイント
この問題は2019年の問題と比較してみると。和歌山県の傾向がつかめてくる。
和歌山県の地学分野の問題は隣県(三重県、奈良県)に比べると難しい傾向にある。
与えられている試料が定番の問題の試料ではなく、県独自の問題であることが多いからである。
しかし。小紋の多くは直接、試料を使って解く問題ではない。
2012年、2019年に共通して出題されているのは 風化に関しての理解
火山灰層をかぎ層として使えることを知っているか
火成岩の分類と組織
堆積岩の種類と海岸面との距離
である。これらの問題は定番問題でもよく出るのでしっかりと押さえておきたい。