【応用問題】南西の方向に地層が傾いている(2019年富山)
図1の地図に示したA~D の4地点でボーリング調査を行った。図2は,A, B, D地点で採取 したボーリング資料を使って作成した柱状図である。この地域では,断層や地層の曲がりは見られ ず,地層は,南西の方向が低くなるように一定の角度で傾いている。また,各地点で見られる火山 灰の層は同一のものである。あとの問いに答えなさい。なお,地図上でA~D の各地点を結んだ 図形は正方形で,B地点から見たA地点は真北の方向にある。
(1) 図2の Y の層からビカリアの化石が見つかった。この地層が堆積した年代はいつごろと考えられるか。次のア~ウから適切なものを1つ選び,記号で答えなさい。
ア古生代
イ 中生代
ウ新生代
示準化石で覚えること
(2)(1)のように,地層の堆積した年代を知ることができる化石を何というか,書きなさい。
堆積した年代が分かるのでこのY層はかぎ層として使われる。
(3) X, Y, Z の層が堆積する間,堆積場所の大地はどのように変化したと考えられるか。次のア~エから最も適切なものを1つ選び,記号で答えなさい。ただし,この間,海水面の高さは変 わらなかったものとする。
ア隆起し続けた。
イ 沈降し続けた。
ウ 隆起してから沈降した。
エ 沈降してから隆起した。
地層は下から
砂 レキ 砂 火山灰 砂 泥
河口から 遠い 近く 遠い 遠い めちゃくちゃ遠い
海面 ↘ ⤴ ⤵ ↘ ↘
地殻変動 沈降 隆起 沈降 沈降 沈降
よって、一度隆起して、沈降した。
ウ
(4) 次の文は,地層が南北方向と東西方向について,それぞれ南,西が低くなるように傾いている ことを説明したものである。空欄( X )( )に適切な数値を書きなさい。
〈南北方向〉
AとBにおいて,「火山灰の層の地表からの深さ」を比較すると,AはBよりも5m 深い が,「地表の標高」はAがBよりも6m高いので,「火山灰の層の標高」はAがBよりも ( X )m高い。よって,地層は南が低くなるように傾いている。
上のように地層を標高に合わせて並べてみると
「火山灰の層の地表からの高さ」 Aは8m Bは3mより 5mの差がある
「地表の標高:はAは200m Bは194mだから 6mの差がある
Aの火山灰の上の標高は 200-8=192m
Bの火山灰の上の標高は 194-3.=192m
AがBよりX1m高い。
〈東西方向)
A とDにおいて,「地表の標高」から「火山灰の層の地表からの深さ」を差し引くことで,そ れぞれの火山灰の層の標高を求めると,A が 191~192 m, D が( Y )~( Z )m となる。よって,地層は西が低くなるように傾いている。
Aの標高200m
Dの標高196m
火山灰の層の地表からの深さ Aは8m Dが3m 火山灰の厚さは1m
Aの火山灰の上の標高は200-8=192m
火山灰層は 1mなので 191~192m
Dの火山灰の上の標高は196-3=193m
火山灰層は 1mなので Y192~Z193m
B ↘A ↘Dの順に下がっているので それぞれの地点を通る直線を傾きと直角になるように引くと 南西の方向に下がっている。
(5) C地点でボーリング調査をすると,火山灰の層はどこにあるか。火山灰の層を黒く塗りつぶして示しなさい。
C地点の火山灰層はAと同じく標高192mのところである。
Dの柱状図は上の図のように考えられ、地表0mから1mに火山灰の層がある。
まとめ
地層の傾きは南北方向、東西方向というようなものとこの問題のように
南西方向というように南北と東西両方に傾いているという問題が多い。
地図の上にまだ縮尺はないため、どのくらいの角度で傾いているのかという問題がないが、高校地学で学習する走向、傾斜の導入のような問題であるから、最近、高校の内容が公立高校入試に出題される例が増えているので、先取り学習をしてこの傾きの問題でどのような角度で傾いているのかまで計算できていることが求められるかもしれない。