風化、双眼実体顕微鏡の使い方、火山灰の堆積は何によるものか。地層の傾斜と不整合(2019年和歌山)
露頭の観察
ある場所で、地表に現れている地層について調査した。調査場所では、北西-南東方向に水平に延び る道路と北東から南西に向かって流れる河川が交差している。道路沿いの露頭 a は南西に面しており, 河川沿いの露頭 b は南東に面している(図1)。
これらの2つの露頭を観察し,地層のようすを記録した(図2)。2つの露頭には、A~Dの4つの 地層が共通して見られた。
関連用語を聞く問題
[問1] 露頭の岩石は,地表に近いところでぼろぼろと崩れやすくなっていた。長い年月のうちに、岩石が気温の変化や風雨にさらされてもろくなることを何というか、書きなさい。
この問題のように与えられた資料と全く関係のないことを聞いてくる問題がある。
これは、「風化」に関する説明文なので。すぐに解答できる。
このように、用語をただ聞いてくる問題もある。
双眼実体顕微鏡の使い方
[問2) 鉱物や小さい化石を調べるときには,双眼実体顕微鏡を用いることがある。双眼実体顕微鏡の使い方を述べた文について,操作の順を答えなさい。
a 右目だけでのぞきながら,微動ねじでピントを合わせる。
b 左目だけでのぞきながら、視度調節リングを左右に回して微動ねじで ピントを合わせる。
c 両目の間隔に合うように鏡筒を調節し,左右の視野が重なって1つに見えるようにする。
d 粗動ねじを緩め、鏡筒を上下させて両目でおよそのピントでを合わせる。
双眼実体顕微鏡の使い方は
1 目の幅を合わせる →c
2 粗動ネジでおよそを合わせる →d
3 微動ネジで片目を合わせる →a
4 視度調節リングで両目の見え方を合わせる →b
c→d→a→b という順番になる。
-火山灰を遠くまで運ぶ
[問3] 図2の地層Aの中には火山灰層が含まれている。この 火山灰は九州南部の火山から噴出したもので、同じ火山灰が日本列島の広範囲に堆積していることがわかっている(図4)。噴火したところからこのような遠くまで、火山灰は何によって運ばれたのか、書きなさい。
火山の噴火による火山灰の影響は中緯度では、火山の東側のほうが大きい。
2010年ヨーロッパの西側にあるアイスランドの火山が噴火したとき、ヨーロッパの多くの空港が閉鎖されることになった。
より地図引用
これは、ヨーロッパの上空をふく偏西風の影響による。偏西風により、西の方にある火山の火山灰がヨーロッパまで運ばれた。
日本も 偏西風の影響を受け、火山の東側に火山灰が飛来する。
火山による災害
〔問4] 図2の地層Aの上部は、大小さまざまな大きさのれきや砂が混じり合った状態で堆積している。これは、大雨のときに水が多量の土砂や岩石を含んだ状態で流れ堆 積したものと考えられる。この多量の土砂や岩石を含んだ水の流れを何というか,書きなさい。
土石流
火山による災害についても出題がされている。
2021年10月17日は、もし富士山が噴火したらどうなるかという特番が放送された。
火山の噴火で問題になるのは火山灰である。
火山噴出物の飛来
火砕流による被害
火山噴出物が溜まったところに雨が降り、流れることによっておこる土石流
石灰岩であることを確かめる方法
[問5]図2の地層Bの中には石灰岩と考えられるれきが含まれていた。このれきが石灰岩であることを確かめるためには,どのような実験をすればよいか。次の薬品の中から必要なものを選ん で,その薬品を用いた実験の操作を書きなさい。また,このれきが石灰岩である場合に予想さ れる実験結果を書きなさい。
[薬品] 5%塩酸、3%過酸化水素水5%水酸化ナトリウム水溶液
石灰岩であるかどうかを調べるという問題は、大地の変動のこの分野でよく出題される。2021年も岐阜などで出題された。
石灰岩の主成分は炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムは酸と反応させると、二酸化炭素を発生させる。
この性質を使い、
5%塩酸を使い。岩石の表面にたらすと二酸化炭素の泡が発生することで確かめる。
メタセコイヤの化石が含まれていた
[問6] 図2の地層の中にはメタセコイアの化石が含まれていた。地層が堆積した地質年代はいつか。また, 図5の化石のうち,メタセコイアと同じ時代に生存 していた生物の化石はどちらか。
ビカリアは新生代の化石である、
メタセコイヤは新生代の示準化石であるから、ビカリアとの組み合わせとなる。
地蔵の傾き
[問7] 図2の地層B~Dには摺曲はなく、同じ向きに傾いている。地層B~Dが傾いて低くなって
いる方位として最も適切なものを,次のア~エの中から1つ選んで、その記号を書きなさい。
ア北
イ東
ウ南
工西
ようやく、この観察結果に基づく問題が出題されたという感じである。
今までの問1~問6までこの地層を見なくても溶ける問題であった。
地層は
一 D→C→Bの順に堆積し、一度地殻変動で南から北へ低くなくように隆起して地上に出た後、沈降してA、火山灰層と堆積したと考えられる。
このとき、地層Aの一番下を不整合面という。
陸地にあったものが沈降すると不整合面ができる。
低くなっているほうは北である。
答えはアになる
海岸からの距離
〔問8) 露頭 a,bの下部では、海で堆積してできた地層B~Dが重なっているようすが見られる。地層Dが堆積したときから地層Bが堆積したときまで,この地点の海岸からの距離はどのよう になっていったと考えられるか、簡潔に書きなさい。
-
D泥岩
C砂
Bレキ
の順に堆積しているので、粒が次第に大きくなってきている。
粒が大きくなるほど、海岸に近いので、-この地点では海岸が近くなっていったと考えられる。