中学理科応援「一緒に学ぼう」ゴッチャンねる

コロナ禍でも頑張る中学生を応援してます

にほんブログ村 教育ブログへ
にほんブログ村 教育ブログ 中高一貫教育へ

面倒な計算をしないで解く方法~植物は空気を浄化する(2018年神奈川)

 

蒸散を多くする植物は大気汚染物質を多く吸収する

 植物は光合成で必要となる二酸化炭素とともに大気汚染物質も同時に吸収することから,大気環境 の改善の目的で植物を植えることがある。植物の大気汚染物質の吸収量は蒸散の量に比例することが 確認されている。表2は,植物G, H, I, Jの蒸散の量を調べた実験の結果を示したものである。 これらの結果から、葉の一定面積で比べたとき、大気汚染物質の吸収量が最も大きいと考えられる植 物はどれか。最も適するものをあとの1~4の中から一つ選び、その番号を答えなさい。

f:id:gomasan8:20210823162115p:plain

1 植物G 2 植物H 3 植物I 4 植物I

どう考えるか?

植物の大気汚染物質の吸収量は蒸散の量に比例することがわかっている。

 

蒸散がおおいものは大気汚染物質を多く吸収する力がある。

植物GHIJの1時間当たりの蒸散の量を見てみると

G    115

H   96

I   150

J  126

一番吸収しているのはIの150だという風に答えを出してしまってはいけない。

葉の大きさが違うからである。

G 230

H 120

I 100

J 70

 

葉の一定面積で比べた時の大気汚染物質の吸収量を求めるから。

\dfrac{一時間当たりの蒸散量}{葉の面積}

で考える。

Gは

\dfrac{115}{230}

Hは

\dfrac{96}{120}

Iは

\dfrac{150}{100}

 Jは

 \dfrac{126}{70}

計算テクニック

 ここで、すぐに計算をし始めるのは時間がもったいない、分数では分母と分子の関係で分母>分子の場合は1より小さくなる GとHは1より小さいのだから、

 分母<分子の場合は1よりおおきいから I,Jは1より大きい

 

 一番大きいものを求めよということだから GHIJの四択から IJの2択にしぼられる、

 

Iは\dfrac{150}{100}=1.5

 である、もし、Jが1.5より大きいものだとしたら、

 \dfrac{a}{b}=cという関係式で、もし、

 \dfrac{a}{b}>cなら

  a>bcという関係がなりたつ。

つまり

\dfrac{126}{70}>1.5

126>1.5\times70

であるかどうかを見る。

すると

126>105

となる。ということはJの値は1.5よりも大きい。

このことから、一定面積当たりの蒸散量が一番大きいのは植物Jということになる。

実際に\dfrac{126}{70}=1.8で植物Jが一番、一定面積当たりの蒸散量が大きい。

答えは4 

ポイント 

 一定面積で比べた時の蒸散量というのは単位面積当たりの蒸散量というものである。

 単位当たりの量というのは、

 速さは単位時間当たりの距離

 密度は単位体積当たりの質量

 圧力は単位面積当たりの力

 

というように、理科では多くのものがこの「単位当たりの~」というものを使う。

 

この単位当たりの~~を苦手とする人が多いが、この単位当たりの計算はいろんなところで使われる。

 このお菓子は 1袋あたり300キロカロリー

では60キロカロリーだったらどれくらいになる。

\dfrac{60}{300}=\dfrac{1}{5}  袋

ということで、

\dfrac{300}{60}=5袋

と計算して、60キロカロリーとるのには5袋分だと食べてしまう人はいないでしょう。

 

全体の量を単位当たりの量でわると、何袋分かが出る。

 {袋数}\times{単位当たりの量}=全体の量

\dfrac{1}{5}\times300=60

 

という計算ができます。

 はじきの公式で速さ

 みたしの公式で密度

というように単位当たりの量の問題だけ公式を覚えるのは計算を早く行うには有効です。

しかし、どの公式をつかったらよいのかがわからなくなったり、公式のどこに何を入れればいいのかがわからなくなったりすると公式は何の役にも立ちません。

 

単位当たりの量をマスターする

単位当たりの量の計算をマスターするのは、よく使う単位当たりの量の計算の意味を改めて考えてみて他に応用できるようにするということです。

 

たとえば、50mを6秒で走る。100mだったら12秒で走る

500mだったら60秒ではしる。

このとき、単位当たりの量というのは、50mという距離を単位として用いているので

 \dfrac{6秒}{50m}=\dfrac{6}{50}\times {s/m}

=0.12 s/m

これは s/mというのは単位距離当たりの時間になります。

m/sが単位時間当たりの距離で速さを表しますが、これを逆にした単位距離当たりの時間というのも考えられるのです。

 50mを6秒で走る人は、1mを0.12sで走ることになります。

100mは何秒かかるかという計算は1mで0.12sなのだから、これを100倍すれば

0.12\times100=12秒と出せます。学校まで2km離れているんだけど、何秒かかるのかなぁとなったら、2km=2000m

単位当たりの量\times2000=0.12\times2000=240秒ということでこの人が2kmを全速力で走ったら4分で行けるということになります。

 

50mを6秒で走る人は2km離れたところまで何秒かかるか

という計算をするとき、速さをまず求めるために,距離50mを時間6秒でわって

\dfrac{50m}{6s}=\dfrac{25}{3}m/s

ここで求めた速さを使って 2kmにかかる時間を 距離割る速さで計算する

2000\times\dfrac{3}{25}=240s

と出す。この方法が教科書に書いてあるやり方です。しかし、単位当たりの量を速さで考えないで単位距離当たりの時間というので考えるとスマートに計算できるのです。

 

理科の計算力はここにあります。知っている単位や公式を使いまくって解くのではなく、自分で単位当たりの量を考えて解く。

 

面倒な計算から解放されると思います