気孔の汚れから大気汚染の状況を見る その1(2017年石川)
仮説 マツの葉の気孔のよごれは、自動車の交通量に関係がある
太郎さんの所属する科学部では、「マツの葉の気孔のよごれは、自動車の交通量に関係がある」 という仮説を立てた。その仮説を確かめるため,地点A~Eで自動車の交通量を調査し、条件をそ ろえて調査地点の道路沿いのマツの葉を採集し観察した。観察では、採集したマツの葉をそのまま スライドガラスの上にのせ、顕微鏡を用いて,視野の中の気孔の数と、そのうち、よごれている 気孔の数を数えた。表は、それらの結果をまとめたものである。これらをもとに、以下の各問に 答えなさい。
問1 倍率が7倍の接眼レンズを使用して,マツの葉の気孔を70倍で観察するには、倍率が何倍の対物レンズを使用すればよいか、求めなさい。
接眼レンズ倍率×対物レンズの倍率=顕微鏡の倍率
接眼レンズの倍率を倍とすると
問2 マツの葉の気孔を顕微鏡で観察するとき、葉を,光源ランプで真下からではなく斜め上から照らす。それはなぜか、理由を書きなさい。
マツの葉は厚くて、光を透過しにくいので、反射光で観察するため
問3 植物のはたらきによって、葉の気孔から出入りする主な気体は3つある。酸素と二酸化炭素 ともう1つは何か、次のア~エから最も適切なものを1つ選び、その符号を書きなさい。ま た、その化学式を書きなさい。
ア 水素
イ 塩素
ウ アンモニア
エ 水蒸気
気孔から出るのは 水蒸気 酸素 二酸化炭素である。
エ
汚れの割合の求め方
問4 ある地点Xについて同じようにマツの葉を採集して観察したところ,79 個の気孔のうち,よごれているものが4個あった。太郎さんたちの仮説が正しいとすると、地点Xにおける 1時間あたりの自動車の交通量は,地点A~Eのどこと同じ程度だと考えられるか、最も適切な地点を1つ選び、その符号を書きなさい。また、そう判断した理由を書きなさい。
太郎さんたちの仮説が正しいとすると、の数が大きいほど、一時間当たりうの自動車の交通量が多いと考えられる。
=0.56である。
A地点
=0.20である。
B地点
=0.55である。
C地点
=0.88である。
D地点
=0.68である。
E地点
=0.28である。
計算をすれば、地点Xと同じくらいの気孔の汚れはB地点である
地点Bの気孔の汚れている割合の数に最も近いから
計算テクニック
計算ミスをしないで面倒な計算をなるべくしない方法を考えてみる。
地点Xは気孔の数が大体80個とおおざっぱに考える。
80の半分は40だから、この44は半分より多い。
これで他を見てみる。Aは51個中10個 約50個の半分25よりも少ない。候補から外す。
Bは55個中の30、55の 半分の27よりも多いから、これは候補に近い
Cは50個中44、50を倍にすると100 44を倍にすると88
これは100個中88 0.88 ずば抜けて多い。
Dは69個中の47 約70の半分の35より多い。これも候補にしておく
Eは65中18 65の半分は32だから、これは候補から外す。
地点Xが0.56
あとはBDの2択 Bで0.55、車の数を見るとDの128台はBの101台より27台多い、こんなに自動車の数に差があるのに地点Xの値0.56に近いとは考えられない。
だから、答えはBというように、おおまかな数で予想して、しぼって最後に計算するというやり方をする。
実験計画
問5 次の文は、マツの葉を採集するにあたって、科学部で事前に行った話し合いの内容の一部である。文中の( )にあてはまる内容を書きなさい。
太郎:地点ごとの気孔のよごれを比較するには、いろいろ条件をそろえてマツの葉を採集 しないといけないね。
和夫:植物のはたらきが盛んかどうかが影響するかも知れないから、木の大きさは、ほぼ同じにした方がいいんじゃないかな。
太郎:じゃあ、葉のついている高さもそろえた方がいいね。だけど、あまり高いと採集するとき危ないから地表から1.5mくらいがいいかな。
明子:同じ木でも道路側の葉か,道路の反対側の葉かでよごれ方が違うかもしれないから、これも条件をそろえないといけないね。
太郎:他にも、マツは冬になっても葉を落とさない植物だから、( )を採集しないと、正しく比較ができないね。
太郎さんたちの話し合いでは、マツの葉を採集するときに
同じ条件になるようにしている
同じ蒸散能力のマツを選ぶ
採取位置を揃える(高さ1.5m、道路に対して一方向)
そして、マツは、冬になっても葉を落とさない植物(常緑樹)だから、冬になって葉を落とす植物(落葉樹)と比べると、古い葉と新しい葉が混在していることもある。
だから、
葉が成長し始めた期間が同じくらいのもの
を選ばなくては条件が同じにならない