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2022年に考えられる電気分解の実験

この問題は2010年の滋賀県の問題である。

中学理科の内容を超える実験を行っているが、今後出題される可能性が高い

 

問題入手先

www.kyoto-np.co.jp

平成22年度 滋賀県問題

https://www.kyoto-np.co.jp/common/dld/pdf/3e259c401f30cbe225390411600f09f7.pdf

電気分解の実験操作

【実験1】 うすい塩酸を満たした装置と, 同じ量のうすい水酸化ナトリウム水溶 液を満たした装置を直列につなぎ,電流を流した。図1は、30分後にスイッ チを切ったときのようすを示したもの である。また,表1は,この30分間に, ガラス管A~Dに集まった気体の体積を測定した結果を示したものである。

【実験2】実験1の後,電極の陽極(+極)と陰極(一極)を変えずに、装置をすば やく並列につなぎかえ,さらに10分間 電流を流した。表2は,この10分間に, ガラス管 A~Dに集まった気体の体積 を測定した結果を示したものである。

【実験3】 実験1,2で、ガラス管AとDに集まった気体をすべて透明のビニル 袋に入れ,電気の火花で点火した。こ のとき,「ボッ」という音とともに反応 が起こり,反応後のビニル袋の中はく もって,少量の水滴がついた。

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問題1  うすい塩酸に電流を流したときに起こる化学変化を,化学反応式で書きなさい。

考え方

これは、教科書にある反応である。「理科の世界3年」p173大日本図書

塩酸は塩化水素の水溶液である

 2HCℓ→H₂+Cℓ₂

  HCℓ→H⁺ + Cℓ⁻ と電離する電解質である。

  陰極(マイナス極)に陽イオンのH⁺が

   2H⁺+2e⁻→H₂ ・・・①

  という反応で電子を受け取ってH₂が集まる

  陽極(プラス極)に陰イオンのCℓ⁻が

   2Cℓ⁻→Cℓ₂+2e⁻ ・・・②

 という反応で電子を放出してCℓ₂が集まる。

イオンの存在やその生成が原子の成り立ちに関係していることを理解する

ということを目的としているため、この電気分解はよく出る。

 電気分解によって原子ではなく分子ができるというのがこの実験のポイントである。

問題2 実験1,2で,表1,2のガラス管Bに集まった気体の体積が,ガラス管Aに集まった気体に比べて少ないのはなぜか。

ガラス管Bに集まった気体名を書き,その理由を説明しなさい。

考え方

発生した気体は塩素である、塩素は水に溶けやすく、

水に溶けると

 Cℓ₂+H₂O→HCℓO  + HCℓ

     次亜塩素酸   塩化水素

問題3 直列接続と並列接続

3 実験1,2で,電流を流したとき, ガラス管Aの電極で起こっていることを説明したも のはどれか。次のア~エから1つ選びなさい。

ア陽極(+極)となり,陽イオンが電子を失っている。

イ 陰極(一極) となり,陽イオンが電子を受けとっている。

ウ 陽極(+極)となり、陰イオンが電子を失っている。

エ陰極(一極)となり、陰イオンが電子を受けとっている。

考え方

直列接続にしても並列接続にしてもAはH₂が発生している陰極である。

  2H⁺+2e⁻→H₂

電子を受け取って水素分子になっている イ

ポイント

このテスト問題では、直列と並列において

直列で30分かけて分解した量を並列では10分で同じぐらいの量を出している

ということに関する問題が出題されていない。

 中学校では電気分解で生成する物質の質量は電流の大きさに比例するというファラデーの法則は扱わない(高校レベル)

 直列接続では塩酸にかかる電圧と水酸化ナトリウムに加わる電圧の合計が電源の電圧になり、流れる電流は一つの装置の電気分解よりも小さい

 それに対して、並列接続では塩酸にかかる電圧と水酸化ナトリウムに加わる電圧は同じ電圧のため、それぞれを流れる電流は直列接続よりも大きくなる

そのため、並列接続の方が多くの体積の物質を集められている。

 

さらに、実験1でBのところにCℓ₂が溶けているので、実験2では溶ける量が実験1よりも少なくなったと考えられ、その結果、実験1に比べて多くの塩素が集まっていると考えられる

 

このような考察ができる実験だが電流の大きさと電気分解の生成量、気体の溶解度に関することは高校レベルのため、この滋賀県の問題ではその問題を出題されていない。

 

しかし、実験操作に関して「見通しをもって実験を行う」ということが2021年から新しく加わっているの。「電子の流れが電流の流れに関係している」ことを「分析し、解釈する」ということになっているので、高校レベルの電流の大きさと各電極にできる量は比例する。ということと、並列接続では電流が多く流れるということを結び付けて

実験1と実験2の違いについて説明せよという問題が今後出題される可能性がある。

 

問題5 ガラス管AとDに発生した気体の反応

 実験3で,ガラス管AとDに集まった気体が完全に反応したとすると、反応後のビニル 袋の中に,反応しないで残っている気体は何か。書きなさい。また,その気体の体積は何 cm2か。求めなさい。

 

ガラス管Aには水素

ガラス管Bには塩素

ガラス管Cには水素

ガラス管Dには酸素

が発生している

実験Ⅰ、実験2ともにAには水素 Dには酸素ができている

直列でも並列でも発生する物質は同じである。

Aは実験1は20.4ml 実験2は22.8mlで合計 43.2ml生成している

Dは実験1は10.2ml 実験2は7.6mlで合計 17.8ml生成している。

 

水素と酸素の反応比は2:1である。

 水素の半分の量43.2/2=21.6ml の酸素¥が発生している場合、過不足なく反応するが、酸素が17.8mlと21.6mlより少ないので、酸素はすべて反応するが

17.8×2=35.6mlの水素だけ反応する。

 

このため43.2ー35.6=7.6mlの水素が余る

 

反応しないで残る気体は 水素 体積は7.6ml

関連動画

ユージオメーターの実験でこの反応を理解しておきたい

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