【中三応援プログラム】酸化銅の還元(2021年香川)
今日は、千葉県で今シーズン初の冬日になりました。前のシーズンの冬日は2021年1月10日だったことを考えると冬日になったのが早く、今後もさらに冷え込むと予想されるので今シーズンは寒さがさらに厳しくなりそうです。
東京でー2℃以下の冬日になるのは45年ぶりだそうです。
最高気温が0度未満が真冬日
最低気温が0度未満になった日が冬日
今日、水道管が凍ってました。2022年の元旦がさらに寒くなる予報です。今年の冬は寒さとの戦いですね。
四国の四県の県立高校の試験の難易度を見ると
応用問題が多く難しい 愛媛県
標準的からやや難しい 高知県
標準問題 徳島県
基本問題 香川県
の傾向がある。香川県、徳島県の問題をまず完ぺきで解けるようにして、そのうえで高知県や愛媛県が解けるようにしておくといいだろう。
今回も昨日に引き続き、香川県の問題を解いていく、酸化銅の還元の問題は今年も全国で出題された。愛媛県や鹿児島県、長野県、静岡県の問題を解く前にこの香川県の問題を完璧にとけるようにしておこう。混合物の質量に関する問題は京都や大阪など大都市圏で受験生に点数差をつけるために出す応用問題として出題される。
難関校受験を考えている人はこの問題が合否のカギになる。
実験
図のように、酸化銅と乾燥した炭素粉末をよく混 ぜ合わせた混合物を、試験管a に入れて熱すると、気体が発生して試験管bの石灰水が白くにごった。十分に熱して気体が発生しなくなってから、ガラス管を試験管bから抜き、ガスバーナーの火を消した。
ゴム管をピンチコックでとめて冷ましてから、試験管aの中に残った固体の質量をはかった。この方法で、酸化銅 12.00gに対して、混ぜ合 わせる炭素粉末を0.30g、0.60g.0.90g、1.20g.1.50gにして、それぞれ実験した。下の表は、その結果 をまとめたものである。炭素粉末を 0.90g混ぜ合わせて反応させたときは、酸化銅と炭素粉末 がすべて反応し、赤色の銅のみが残った。
実験上の注意
(1) 次の文は、実験についての花子さんと先生の会話の一部である。文中のP,Qの にあてはまる最も適当な言葉を、それぞれ書け。
花子:どうしてガスバーナーの火を消す前にガラス管を石灰水から取り出さなければならないのですか。
先生:もし、ガラス管を石灰水から取り出さずにガスパーナーの火を消してしまうと、石灰水がP( )して、試験管aが割れてしまうおそれがあるからです。そのため、火を消す前にガラス管を石灰水から取り出さなければなりません。
花子:そうなんですね。では、火を消したあと、ゴム管をピンチコックでとめるのはなぜですか。
先生:火を消すと熱された試験管aが少しずつ冷めていき、空気が試験管aに吸いこまれてしまいます。すると、試験管a内でどのようなことが起こると考えられますか。
花子:あ、試験管a内の銅が、吸いこまれた空気中のQ’( )してしまい、試験管aの中に残った固体の質量が変化してしまうかもしれません。
先生:そうですね。そのように質量が変化することを防ぐために、火を消したあと、ゴム管をピンチコックでとめるのです。
この問題は、会話文から問題を解くという最近多くなっている問題である。
問題は、
加熱をやめる前にガラス管を石灰水から出す。
ピンチコックを使いゴム管を閉じる。
この二つの操作について、それを行う理由について問う定番の問題である。
加熱をやめると加熱している試験管内の気体の圧力が下がり、ゴム管から吸い上げる力が大きくなる。
という具体的な現象の変化について述べたのを選択する問題が2021年東京都の問題に出題された。
東京都の問題では炭酸水素ナトリウムの加熱によってでる二酸化炭素を石灰水で確認するという問題であったが。この実験も加熱を止める前に石灰水からガラス管を出すというのは同じである。
「逆流を防ぐ」というのがこの実験で大事である。
会話文に合うような答えを書くと「逆流」がPに入る
Qは出題する県はあまりなかったが、時々聞かれることである。
加熱すると還元された銅は反応性が大きく「空気中の酸素と反応してしまう」
すると、せっかく炭素によって酸化銅を還元したのに、後の反応で酸化されてしまってはどれだけ還元されたのかがわからない。だから、ピンチコックを閉じて酸素が入るのを防ぐわけである。
ここでピンチコックをしめても、石灰水の逆流を防ぐことはできません。
「石灰水の逆流を防ぐための方法として適するものを選びなさい」
という問題で「ピンチコックを閉じる。」「ゴム管を指でつまむ」を選択してはいけない。
この香川県の問題は会話文の中の空欄を埋める問題なので、会話に合う答えとしてQは「酸素と反応」と答える。
実験操作の理由については文章で書くことが多いので、文章でも表現できるようにしておこう
「石灰水の逆流を防ぐため」
「空気中の酸素と反応するのを防ぐため」
また、固体を加熱し、水が発生する実験
(炭酸水素ナトリウムの熱分解など)
では、試験管の口を下の方にするというのを実験場の注意として扱う。
これについても、試験管の口を上にしておくと、「発生した水が試験官の底の方に流れてきてしまうため」と答えられるようにしておこう。
二酸化炭素の性質
(2) 実験で発生した気体は、石灰水を白くにごらせたことから、二酸化炭素であることがわかる。 次の文は、二酸化炭素について述べようとしたものである。文中の2つの内にあてはま る言葉を、アイから一つ、ウエから一つ、それぞれ選んで、その記号を書け。
二酸化炭素は、無色、無臭の気体であり、水に少しとけ、その水溶液は[ア 酸 イ アルカ リ性]を示す。空気よりも密度が大きいので、[ウ上方 エ下方)置換法で集めることができるが、水に少しとけるだけなので、水上置換法を用いることもできる。
「水に少しだけとけ」とあるが、水に溶けにくい酸素や水素と比べるとかなりとける。
しかし、とてもよく溶ける塩素やアンモニアに比べると「少し」とけるということである。
二酸化炭素は水に溶けると
CO₂+H₂O⇆HCO₃⁻+H⁺
HCO₃⁺⇆CO₃²⁻ +H⁺
という電離が起こる。
この二つの式をまとめて
CO₂+H₂O⇆CO₃²⁻ +2H⁺
と表すことがある
→ と表さないで ⇆ と表すのは、 反応物→生成物 だけでなく 生成物→反応物 の反応も起きている。平衡(へいこう)と呼ばれる状況だからである。
平衡(へいこう)は高校で学習する内容なので、この化学反応式を書かせる問題はない。
※ 平衡の矢印は上の矢印が左から右 下の矢印が右から左が正しい
しかし、パソコンではこの文字が登録されていないので、登録されている⇆を使いました。
正しくは
水に溶けると電離が起こり水素イオンができるので ア 酸性
空気より密度が大きく、エ下方置換で集める。
ここで空気より密度が大きいか小さいかで分類しておこう
密度が小さい気体 水素 ヘリウム メタン アンモニア 一酸化炭素 窒素
密度が大きい気体 酸素 二酸化炭素 塩素
水上置換法で集められる気体は多いが、上方置換法でしか集められないアンモニアは空気より密度が小さく、水溶液はアルカリ性でフェノールフタレイン液を赤くする
下方置換法で集める二酸化炭素、塩素で塩素は塩化銅や塩酸の電気分解でプラス極に発生し、気体は水に溶けるため、体積は小さく、水溶液は酸性である。
グラフの作成
(3)実験における、混ぜ合わせた炭素粉末の質量と,発生した二酸化炭素の質量との関係を、グラフに表せ。
この問題を解くために、次のような表を作成する。
炭素 a | 0.00 | 0.30 | 0.60 | 0.90 | 1.20 | 1.50 |
銅 b | 12.00 | 12.00 | 12.00 | 12.00 | 12.00 | 12.00 |
銅+炭素 a+b | 12.00 | 12.30 | 12.60 | 12.90 | 13.20 | 13.50 |
残った物質 c | 12.00 | 11.20 | 10.40 | 9.60 | 9.90 | 10.20 |
発生した二酸化炭素 (a+b)-c | 0.00 | 1.10 | 2.20 | 3.30 | 3.30 | 3.30 |
このなかで、炭素の質量と二酸化炭素の質量だけをみる。
炭素 a | 0 | 0.3 | 0.6 | 0.9 | 1.2 | 1.5 |
発生した二酸化炭素 (a+b)-c | 0 | 1.1 | 2.2 | 3.3 | 3.3 | 3.3 |
この表から炭素が0g~0.90gまでは比例直線で右斜めに
0.90gから1.50gは一定の軸と平行な直線になる。
各値をグラフの上に点を打ち、原点から直線を書く。
この実験のデータと問題文から炭素が0.90gのとき、過不足なく反応するのでこの点がグラフの折れる点になる。
グラフでは、過不足なく反応する点を自分で求めたり、グラフの軸を自分で決める問題があるので、それにも気を付けること
グラフの書きかた(酸化銅の還元)
炭酸水素ナトリウムの反応で見る 動画で解説(グラフの書きかた)
化学反応式
(4) この実験で用いた酸化剤は、銅原子と酸素原子が1:1の割合で結びついたものである。この 酸化銅が炭素粉末によって酸素をうばわれ、赤色の銅となり、二酸化炭素が発生するときの化学 変化を、化学反応式で表せ。
銅原子:酸素原子が1:1であることから 酸化銅の化学式はCuO
CuO + C → Cu + CO₂
で、このままでは、反応前と反応後の原子の数があわない。
2CuO+C→2Cu+CO₂
化学反応式のつくり方
量的関係の理解
(5) 実験において、炭素粉末を 0.60g混ぜ合わせて反応させたとき、反応後の試験管aの中には、銅が何g生じていると考えられるか。
炭素粉末が0.90gのとき銅12.0gと完全に反応し、銅9.60gできる。
炭素:酸化銅:銅=0.90:12.0:9.60
炭素:銅=0.90:9.60
炭素:銅=9:96=3:32
出来た銅をxgとすると、炭素0.60gのとき
3:32=0.6:x
が成り立ち
3x=
x=
x=6.4g
となる。
こたえ 6.4g