理科室の決まり
2021年の学習指導要領での大きな改定は「見通しをもって行う」ということである。
「この実験をする目的は何か、どういうことが起こることが予想されるか」
これが、今までの学習内容だった。
これからは
「この実験を成功させるためにはなにに気を付けなければならないか」
「どのようなことをすると失敗してしまうか」
「どういう危険性があるか」
「どのような事故が起こると考えられるか」
「危険や事故をどのようにして防げばよいか」
「事故が起こった時、どのような対処をするか」
といった「危機管理能力」を身に着けることに重点が置かれる。
そのため、実験操作や実験結果だけでなく、その操作の目的をことばで説明できるようにならなければならない。
たとえば、大日本図書「理科の世界1年」p6
理科室のきまりのイラストを見て、この図の誤りを指摘し、なぜそれはいけないのかをせつめいできければいけない。
1 このイラストには大きな間違いがある。一つの実験台に生徒が6人も集めって実験をするのは危険である。(密すぎる)
2 一つの実験題で3つの加熱実験を行っているのは危険である。
(地震などが起こった時に消火がすぐできない)
3 この実験で安全ゴーグルをしている生徒が一人だけである
(薬品が目に入る恐れがあるのですべての生徒が着用すること)
4 加熱実験をしているすぐそばで、記録をしようとしている
(記録のノートは燃えるので火からはなす)
5 実験をしながら口が開いている
(実験中は口を開けない、薬品が口に入る危険がある)
6 観察者のうしろに人が抱え込むようにいる
(観察者が避難できない)
7 ビーカー内の水が多すぎる
(加熱には必要最低限の量を使う)
8 ビーカーにガラス棒が入ったままである
(ガラス棒はかくはんの時のみ使う、それ以外では加熱されていて危険である)
9 試験管の口をのぞき込まない
(中の薬品が目に入る危険がある)
10 眼の高さよりも低い位置で試験管が加熱されるようにする
(試験管が割れて飛び散り眼に入る危険がある)
11 長い髪を縛っていない
(髪に引火したり、髪に薬品が付く危険がある)
12 試験管に入れる液体の量は三分の一以下
(多量に入れると突沸指摘けんである)
13 マッチが机の上にある
(マッチやガスライターは着火の時以外は片づける)
14 燃えカスが机の上にある
(燃えカスは燃えカス入れに入れる)
15 試験管たてがガス管のすぐそばにある
(ガス管を動かすときに試験管たてにあたり倒す危険がある)
16 エタノールの薬品のふたが開いている
(引火性の薬品のふたが開いているのは危険である。薬品はふたがあいたままだと空気中の物質と反応するのでふたはしめる)
このイラスト1枚だけで16か所の誤りがある。
このほかにも、
窓を開けて換気をしているか
窓を開けている場合は、カーテンはしまっておく
実験は座って行わない
だれが何の実験をしているか実験器具をふれていない生徒も理解しておく
肌が露出する服装はしない
乱れた服装はしない
私語はしない
理科室で飲食はしない
飲食物は持ち込まない
走り回らない
靴を履く
実験器具をその実験用途以外に使わない
実験器具が最初にすべてそろっているか確認する
実験器具には破損がないか確認する
実験机は常に整頓をする
時間内に終わらせることを意識する
廃棄していいものといけないものを意識する。
この実験は途中でやめていいものか、それとも終わりまでやるべきものかを判断する
このように目的意識をもって実験を行うことは危険回避だけでなく、実験後に及ぼす汚染問題、環境問題もかんがえておこなわなければならない。
この教科書p6のイラストは最近になって出題されることが多くなった。
思考力。判断力を身に着いているかについて今後も多く出題される可能性がある。