硫酸と水酸化バリウムの反応で出来る物質について答えなさい（２０１１年三重県）
出来た塩は何か？（２０１１年三重県）
3 うすい硫酸5cmを別のビーカーにとり、図3の ようにガラス棒でよくかき混ぜながら、うすい水酸 化バリウム水溶液6cm を加えると、白い沈殿がで きた。
この実験で出来た塩は何か。その名称を書きなさい。
硫酸の化学式はＨ₂ＳＯ₄で水の中で電離して
Ｈ₂ＳＯ₄ → ２Ｈ⁺ ＋ ＳＯ₄²⁻
化学反応式の書きかた
Ｈ₂ＳＯ₄ にある小さい２や４は
一つのかたまり足して Ｈが２個 Ｏが４個あり
ＨＨＳＯＯＯＯ
というのがひとかたまりになっている。
これが電離すると水素原子が電子を１つ失って水素イオンという陽イオンになる
Ｈ→ Ｈ⁺ ＋ ｅ⁻
陽イオン 電子
このＨ⁺が２つできるということで Ｈ⁺ Ｈ⁺ がばらばらに存在する。
Ｈ⁺が２つあるということで ２Ｈ⁺で表す。
Ｈ⁺の前にある数字 ２を 係数という。
Ｈ₂ＳＯ₄で Ｈ⁺で電子を失ったものが２つあるので
ＳＯ₄は２個電子を受け取ってＳＯ₄²⁻になる
ＳＯ₄ ＋ ２ｅ⁻ → ＳＯ₄²⁻
これは ＳＯＯＯＯ というまとまりで ２個電子を持っている。
このように２個以上の原子からなるイオンを多原子イオンという
Ｈ⁺のように 一つの原子からなるイオンを単原子イオンという
水酸化バリウムは 化学式では Ｂａ（ＯＨ）₂と書く。
これは
Ｂａ → Ｂａ²⁺ ＋２ｅ⁻
ﾊﾞﾘｳﾑ原子 ﾊﾞﾘｳﾑｲｵﾝ ２個の電子
ﾊﾞﾘｳﾑ原子が２個電子を失って ﾊﾞﾘｳﾑｲｵになっている
Ｈ⁺ 水素イオンのように一個電子を失ったイオンを一価の陽イオン
Ｂａ²⁺ ﾊﾞﾘｳﾑイオンのように２個電子を失ったイオンを二価の陽イオン
イオンが何個電子を持っているか、失っているかを表す数を価数という。
陰イオンでも同じように
ＳＯ₄²⁻は２個電子を得ているので ２価の陰イオンという。
水酸化バリウムは
Ｂａ（ＯＨ）₂ → Ｂａ²⁺ ＋ ２ＯＨ⁻
Ｂａ²⁺ ﾊﾞﾘｳﾑｲｵﾝは２価の陽イオン
ＯＨ⁻ 水酸化物イオンは１価の陰イオンである。
まとめ
| 価数 | 陽イオン | 陰イオン |
| 1 | Ｈ⁺ | ＯＨ⁻ |
| 2 | Ｂａ²⁺ | ＳＯ₄²⁻ |
硫酸と水酸化バリウムがはんのうすると
Ｈ₂ＳＯ₄ ＋ Ｂａ（ＯＨ）₂ →２Ｈ⁺ ＋ ＳＯ₄²⁻ ＋ Ｂａ²⁺ ＋２ＯＨ⁻
化学反応式で 反応前の物質のことを 反応物といい、矢印の左側に書く
左側に書いた式を 左辺という
化学反応式で 反応後の物質のことを生成物といい、矢印の右側に書く
右側に書いた式を 右辺という。
化学反応式は
反応物 → 生成物
左辺 → 右辺
というように書く。
左辺にある 原子の種類と数、右辺にある原子の種類と数は同じ数
左辺の電気の総和＝右辺の電気の総和
の関係がある。
反応物、生成物の物質の並び順は変えることができる。
そのため、
Ｈ₂ＳＯ₄ ＋ Ｂａ（ＯＨ）₂ →２Ｈ⁺ ＋ ＳＯ₄²⁻ ＋ Ｂａ²⁺ ＋２ＯＨ⁻
は
Ｈ₂ＳＯ₄ ＋ Ｂａ（ＯＨ）₂ →Ｂａ²⁺ ＋ ＳＯ₄²⁻ ＋ ２Ｈ⁺ ＋２ＯＨ⁻
ここで
Ｈ⁺ ＋ ＯＨ⁻ → Ｈ₂Ｏ
水素イオン 水酸化物イオン 水
の反応が起こるので
２Ｈ⁺ ＋ ２ＯＨ⁻ → ２Ｈ₂Ｏ
がおこり、２分子水ができる。
一方
Ｂａ²⁺ ＋ ＳＯ₄²⁻ → ＢａＳＯ₄
の反応が起こり、硫酸バリウムは水に溶けにくいので白色の沈殿が生じる。
ここで、問題を見てみる。
問題は
「できた物質の名称を書きなさい」である。
化学式で答えなさい と問題なら ＢａＳＯ₄ と書く
名称を書きなさい という問題なので 硫酸バリウム と答える。
塩以外にできたもの
塩以外に、共通してできた物質は何か、化学式で書きなさい。
塩酸と水酸化ナトリウムとの反応で
ＨＣｌ＋ＮａＯＨ→ＮａＣｌ＋Ｈ₂Ｏ
硫酸と水酸化バリウムとの反応で
Ｈ₂ＳＯ₄＋Ｂａ（ＯＨ）₂→ＢａＳＯ₄ ＋ ２Ｈ₂Ｏ
ここで 酸性の物質とアルカリ性の物質が反応すると塩（えん）と水Ｈ₂Ｏが生じる。
塩をしおと読まないようにする。しおというと、塩化ナトリウムであるが、
中和で出来るものは縁化ナトリウムだけではなく、硫酸バリウムなどほかの物質もできるからである。
しかし、共通してできるのは Ｈ₂Ｏ の水である。
硫酸バリウムは「名称」で答えたが、ここでは「化学式」で答えなさい
とあるので Ｈ₂Ｏ
と書く。
ポイント
イオンが持つ電気の数のことを価数という。
化学反応式では左辺と右辺では原子の種類、数のほかに電気の数も同じである
酸とアルカリの反応では塩（えん）と水 Ｈ₂Ｏができる
