種子や果実の運ばれ方(2017年大分)
種子や果実の運ばれ方のちがいについて調べた。
- カラスノエンドウ,ホウセンカは,果実が熟すと種子がはじ けて飛び散る。
- ヌスビトハギ,イノコズチは,動物などに付着して運ばれる。 マツ, カエデは,風に運ばれる。
- ヤドリギは,動物に食べられて運 ばれる。
カエデは,[図2] のような翼状 の果実ができる。この果実が落下す るようすを観察すると,種子の入っ ている部分を中心に水平に回転しな がら落下した。
さらにくわしく調べるために,対照実験を行った。カエデの果実と金 属球とを,目安となるものさしを置 いて,風のない状態で落下させ,デ ジタルカメラを用いて, 秒間隔で撮影した。
[図3] は,そのときのようすを 記録したものである。
【図4]は,風が図の左から右の 方へわずかにそよいでいる状態で, カエデの果実を静かに落下させてい るときのようすを記録したものであ る。
植物は子孫を残すために、種子を様々な方法で遠くに運ぶ。
種子をはじけさせる
ヌスビトハギ
ヌスビトハギとアレチヌスビトハギの種子 (京都九条山の自然観察日記)から画像引用
種子の表面に、かぎづめが多数あり、それが動物の毛につくと容易に落ちない
そのため、動物に着いて遠くに運ばれる。
マツ、カエデは風で運ばれるときに種子の持つ翼で遠くに飛ぶ。
花の構造
種子の運ばれ方に関する問題かと思いきや、様々な分野からの出題になっている。
(1) 被子植物のエンドウと,裸子植物のマツに共通して見られるものを,ア~エから1つ選び,記号で書きなさい。
ア 子房 イ 胚珠 ウ 子房とがく 工 胚珠とがく
両方とも胚珠がある。
よって イ
遺伝の形質
(2) 孫の代の丸い種子としわのある種子が,子の代のエンドウの体についているつき方として適切なものを,ア~エから1つ選び,記号で書きなさい。
ア 丸い種子だけが入ったさやをつける株と,しわのある種子だけが入ったさやをつける株に分かれている。
イ 1本の株に,丸い種子だけが入ったさやをつける枝と,しわのある種子だけが入ったさやをつける枝に分かれている。
ウ 1本の枝に,丸い種子だけが入ったさやと,しわのある種子だけが入ったさやに分かれてついている。
エ 1つのさやに丸い種子だけが入っていたり,しわのある種子だけが入っていたり,丸い種子としわ のある種子が混ざって入っていたりする。
エンドウは自家受粉をする。自分の中で作ったおしべの花粉がめしべの柱頭に受粉し、花粉から精細胞が出て受精する。
花粉ができるときに減数分裂が起きる。
丸い種子では花粉で しわの遺伝子 卵細胞でしわの遺伝子が減数分裂で分かれていれば、それが受精してできた種子はしわ
花粉、または卵細胞で◦の遺伝子が減数分裂で分かれていれば、それが受精せいてできた種子は丸
しわの種子では すべてしわの種子ができる
一つの柱頭から、複数の胚珠にわかれる
そうなると一つのさやの中で 丸のみ しわのみ 丸としわがまざっているがある。よってエ
エンドウの花のつくりについて詳しく聞かれている問題である。一つの花から一つの種子ができるというものと違い、エンドウでは一つの花で多くの種ができるので迷うかもしれない。
落下運動の時間と距離
1 [図3] で,金属球の落下しはじめた0cm から 50 cm までの間について,時間と落下した距離の関 係を表したグラフとして最も適当なものを,ア~エから1つ選び,記号で書きなさい。ただし,金属球 が落下するときの空気の抵抗は考えないものとする。
移動した距離=
であるから、落下した距離は時間の2乗に比例する。ウになる。
2 次のア~エは,4種類の植物の名称とその果実のスケッチである。種子の運ばれ方がカエデと最もよ く似ているものを,ア~工から1つ選び,記号で書きなさい。
- クワは動物に果実を食べられ、糞として種子が排出されることで運ばれる
- オナモミはヌスビトハギのようにかぎ爪型の突起が動物の毛にくっつき運ばれる
- コナラはリスが秋に冬眠時の食事として土の中に埋められる。リスは埋めたことを忘れてそのままになることがある。このようにして、コナラを食べる動物が運んで食べ忘れたものが広がる
- ススキは風に乗って運ばれる。
今回のカエデは風で運ばれるので、同じように運ばれるのはススキ エになる。
大きな種子の利点
3 大きな種子ができる植物にとって,種子が大きいことは,種子が風で広い範囲に運ばれることには適 していないと考えられるが,利点もある。その利点とは何か,「種子の中の養分」という語句を用いて 簡潔に書きなさい。
種子が大きいとき、種子の中には発芽して成長に必要な養分を多く含む。
種子の中の養分が多くなり、植物の成長を助ける
ポイント
- 花のつくり(中学1年)
- 植物の遺伝(中学3年)
- 物体の落下運動(中学3年)
- 子孫の残し方(中学3年)
一つの問題の中に分野の違うものが混ざっている。それも思考判断力が問われる問題になっている。答えにくい問題である。