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メダカはカメレオン???(2020年大阪)

 

環境の変化によって体の色を変える

環境の変化によって体の色を変えるのはカメレオンが有名です。

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カメレオンは、周りの植物と同じ色になり、同化しています。このように他のものに体を似せることを擬態といいます。

 

周りの環境に合わせて変化するというのは、多くの動物にみられます。

 ノウサギは春と秋に毛が生え変わります。

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自然の中にいるウサギは、自然の色とよく似た色をしているので見た目ではわかりません。

 

 これらの動物が擬態をするのはなぜでしょうか?

 捕食するのに相手に気付かれないようにするため

 捕食されないため

といろいろ考えることができます。

 動物の毛が生え変わるという換毛(かんもう)はすぐには起きません。周りの環境に合わせて白になったり茶色になったりを瞬間的に行うというには動物の体にとって大きな負担になるからです。

 

しかし、動物の中では、瞬時に色が変わるものがあります。

 

タコが一瞬にして周りの石と同じ色になるというのは、驚きます。

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瞬時に色が変わるのは一体どのような仕組みなのでしょうか?

 

これについて2020年大阪ではこのような問題が出題されました。

 

メダカの体色変化はなぜ起こるか

【EさんとSさんとU先生の会話1】

Eさん:メダカが水槽の中にいたとき、メダカの背中の色はすべて淡い茶色でした。水槽の水を替えるため、メダカを内側が黒いバケツに移し、日光の当たらない場所に置いていたら、すべてのメダカの背中の色が黒っぽく変化しました。

U先生:なるほど。理科部で飼育しているメダカは、すべて黒メダカです。黒メダカは、野生にも多く見られるごく普通のメダカですが、条件によって背中の色が変化します。何が原因でメダカの背中の色が黒っぽくなったのだと思いますか。

Sさん:バケツの内側の色が黒かったため、黒っぽくなったのだと思います。容器の内側の色によって、メダカの背中の色が変わると思います。

Eさん:メダカを日光の当たらない場所に置いていたから、黒っぽくなったのだと思います。水面に差し込む光の強さによって、メダカの背中の色が変わると思います。

U先生:それでは二人の考えを、次のように仮説1,仮説2としましょう。

仮説 1:容器の底や側面の色が黒いと黒っぽくなり、底や側面の色が白いと淡い茶色になる。
仮説2:水面に差し込む光が弱いと黒っぽくなり、光が強いと淡い茶色になる。

このように高校入試では、教科書に載っていない擬態についても、「会話文」での説明というのを付けてあれば、普通に出題されます。さらにこの問題は文章を読めばわかる問題なので正答率は70%近くと非常に高いです。

 仮説では、容器の底の色によって色が変わるというのと、光によって色が変わるという2つを考えました。これに対して、実験を計画します。

 どのような実験を行えばよいのか?というのが最近では多く出題されていますが、大阪では、実験方法がもう示されています。

 

【実験】

内側が黒い容器ア,イと、内側が白い容器ウ、エを準備 し,理科部で飼育している背中の色が淡い茶色のメダカを, それぞれ3匹ずつ容器に入れた。アとウの容器は水面に差し 込む光が強い場所に、イとエの容器は水面に差し込む光が弱 い場所に,それぞれ5分程度置いた。表は、各容器の内側 の色と差し込む光の強さについてまとめたものである。

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これはどのような実験計画を立てて行った実験でしょう?

 内側の色に対して変化するのならば、光の量に関係なく色が変わる

というのを調べる実験ですね。

 内側の色が黒ならば、光の強さには関係なく黒になる

 内側の色が白ならば、光の強さには関係なく白になる

 この実験の前提条件としてアイウエのそれぞれ3匹のメダカは同じ能力を持つということになっています。光が強くても黒くなるという性質のメダカがアにいた。エは光が弱くても白色になるという個体だけだった。ウは光を強く当てると白くなる個体だった。というのではこの実験は意味がありません。

 では、この4つに分けたメダカが同じ能力があるということを確かめるにはどうすればよいでしょう。

 

という問題がここでは出題される可能性があります。

 「3\times4=12匹のメダカでこの4つの実験を行って同じように反応するのを確かめる。」

 動物には個体差があります。この個体差のため、ちょうど実験の時は内側の色には変化するが光には変化しにくかったということもあります。

 

そのため、4つにわけずに行った方が実験結果としてはより正確かもしれません。

 さらに、この仮説では次のようなこともしなければいけません

 光の量で変わるのならば、内側の色を変化させても変わらない

という実験計画の下で、

 強い光に置いたメダカは内側の色に関係なく白色に変化する。

 弱い光に置いたメダカを内側の色に関係なく黒色に変化する。

 

これを確かめる実験を計画して実施したということになります。

出題された問題を見ながら、実験計画は何だったのかを考えると考えやすくなります。

 

(6) EさんとSさんは、仮説1,仮説2のそれぞれが正しいとした場合について,実験の結果を予想した。

①仮説1が正しいとした場合、メダカの背中の色が3匹とも黒っぽくなると考えられる容器はどれか。表1中のアーエから適切なものをすべて選びなさい。

 

仮説1 容器の色で黒くなる

 容器の色を黒くした アイだけ黒くなる  正答率69.4%

               

②仮説2が正しいとした場合、メダカの背中の色が3匹とも淡い茶色のまま変化しないと考えられる容器はどれか。表1中のアーエから適切なものをすべて選びなさい。

 仮説2 光が強いと黒くなる

   光が強い アウが黒くなる     正答率59%

 

 
【EさんとSさんとし先生の会話2】

Sさん:実験では、仮説1が正しいと考えられる結果になりました。

U先生:実は、黒メダカは川底の色によって背中の色を変化させ、身を守っています。黒メダカが背中の色を変化させることで身を守れるのはなぜだと思いますか。

Eさん:(              )からです。
(7) 上の文中の(     )には、黒メダカが背中の色を変化させることで、自然界において外敵か ら身を守ることができる理由が入る。(         )に入れるのに適している内容を、「背中の色」「鳥」 の2語を用いて書きなさい。

 

背中の色を川底の色と同じように変化させることで、鳥から見つかりにくくなる

(正答率65.9%)

 

擬態する理由について、説明しなさいという問題である。

これは前提として鳥が見る光の波長は人間の見る光の波長と同じであるということが前提になっている。鳥は人と同じ光の波長を認識して魚を捕食しているとすると、ヒトが擬態して見えるものは鳥にとっても擬態して見えている。だから、鳥は餌を見つけられないという説明である。

 

人間中心のものの見方である。鳥は本当に人と同じ光の波長を認識し、擬態しているものが見えにくくなっているのだろうか?

 

昆虫は紫外線を認識することができる。

花のみつは紫外線を反射する。その反射したものを認識して花のみつにあつまると考えられる、花のみつは人間には見えにくいが昆虫には見えているのである。

 

人間は20000Hz以上の音を認識することができない。これ以上の振動数の音を超音波と呼ぶが、これらの超音波を海中のイルカやクジラは聞くことができる。

 

人間を中心とした考えで自然界で起こることを判断すると擬態をすることで生存することに有利であったため」と擬態を合目的的に解釈することができるが本当にそうなのだろうか。

 

なぜ擬態できるのか?(高校レベル 生物基礎)

中学校では、生態系の学習の中で生き残る戦術として擬態を学習するがその仕組みについては発展内容で学習しない。

 

 黒メダカ、タコ、イカには色素胞というものが存在している。その色素胞が周りの色が変化すると同じような色になるように集まったり、広がったりすることで色を変えることができる。

 

メダカの色素胞はアドレナリンを加えることで集まることがわかっている

集まると黒くなる、

 メダカは周りが黒いとアドレナリンを出して、黒くすると考えられる

 

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イカの色素胞の変化について

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 合目的的

進化の話になると、自然界の中で多様な生物が生まれたが、その生物の中で捕食されにくいという体の特徴を持つものが生き残った。

とするダーウィンの「自然選択説」を定説として学ぶ。

 自然選択説が唱えられたのは1859年の「種の起源」によるものである。

進化論の歴史は162年である。生物の長い歴史からするとこの162年でこれが証明されたかどうかを決定することはできない。

 本当に生物が合目的的に変異するかどうかはわからない。

 

このように解釈すると都合がよいという例が多いだけである。

これについてのエビデンス(証拠)は何ですかといわれも、生物の世界に確実な証拠は数量化して提示するのは難しいのである。

 ウィルスの変異株が生存に適するために変異していると解釈するか、多くの変異の中で生存しているものだけが多くなっていると解釈するかの違いである。

 

様々な前例からわかっていること

 感染が広がって変異を多くすればするほどより、根絶しにくいものになるということ

これは、たとえ治療薬ができたとしても変わらない。治療薬に対して耐性を持つように変異するからである。抗生物質に耐性のある細菌が院内感染で問題になるのは、感染が広がると変異をする。変異をすればどんな薬剤に対して効かなくなるからである。

 

耐性菌や変異株を出さないためにはどうするか、
 感染症拡大防止は「検査と隔離」

今、日本では災害級のデルタ株感染拡大に対して、「検査」も「隔離」も不十分な状態である。

 このまま、感染が拡大し続けるというエビデンスはない。と楽観的に考える人もいるが、感染が止まるというエビデンスもない。

 多くの感染症は今まで、検査と隔離をしなければ増え続けてきたのだから、このデルタ株だけがほかの感染症の拡大に反して、楽観的に自然消滅するということはありうるのだろうか?