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不要な窒素の排出、腎臓の働き(2014年山梨)(2021年群馬)(2021年愛媛)

 

タンパク質の分解

|1| 次の図1は,タンパク質がヒトのからだの中で分解されてできる物質と,その物質が体外へ排出される過程についてまとめたものである。なお,矢印 → は物質の変化を表し,矢印 → は 物質の移動を表している。1~3の問いに答えなさい。

 

図1

タンパク質 → 物質X ⇒ 器官Y → 尿素 ⇒心臓⇒ じん臓⇒ 「体外へ]

 

タンパク質からできる有害な物質は「アンモニア

1 物質Xは,窒素をふくみ,からだにとって有害な物質であり,器官Y で尿素に変えられる。物質Xを何というか,その名称を答えなさい。

 

体の中で起こる化学変化のことを代謝(たいしゃ)といい、それによってできる物質を代謝産物という。

 

この問題は中学レベルなら、答えは「アンモニア」と答える。

 代謝で出来る有害な物質はアンモニアしか学習しないからである。しかし、アンモニアだけが、有害な物質で出来るのではない。タンパク質からは窒素をふくむさまざまな有害物質が生まれる。

 タンパク質が分解してできるアミノ酸の中にフェニルアラニンがある。フェニルアラニンは体の中でチロシンという別のアミノ酸になる。

 しかし、フェニルアラニンからチロシンへの変化を起こすことが生まれつきできない人にとっては、フェニルアラニンフェニルケトンになり有害な物質になる。

 タンパク質からアレルギーのもとになる物質もできる、

 その一つとして、アミノ酸の一つであるヒスチジン代謝されてできるヒスタミンである。花粉症などのアレルギーを引き起こすときの原因物質でアレルギーを抑える薬にはこのヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン剤が使われる。

 どれも、窒素をふくむ化合物で肝臓で尿素になるので、この問題の答えになる。

この問題の答えは、多くの答えが考えられる。しかし、他の化合物を知らないという前提で出されている高校入試では「アンモニア」と答える。

 

肝臓はどこか 

2 図2は,ヒトのからだのつくりの一部を模式的に表したものであり,ア~エは,からだの器官を示している。図1の器官Yはどれか," ア~エから最も適当なものを一つ選び, その記号を書きなさい。

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尿素を作り出す期間は肝臓である。肝臓はどの器官を示すか。という定番問題である。

 素直に「」と答える

 

肝臓の働き

www2.nhk.or.jp

 

ア 肝臓 (尿素、グリコーゲンの合成、胆汁を作り出す。アルコールの分解など解毒能力がある。)

イ 胃  (酸性の胃液やたんぱく質を分解するエプシンを出す。食物を細かくする)

ウ 小腸 (多くの酵素により食物が分解されるとともに、柔毛の毛細血管にブドウ糖アミノ酸、リンパ管にモノグリセリドが吸収される)

エ 大腸 (水分を吸収し、便を作る。腸内細菌が多く存在する)と答える。

 

中学レベルで知っておけばいいのはこれだけである。これ以上のことは聞かれないからである。これらの臓器は自律神経によって無意識に動いている器官であり、免疫にも影響を及ぼすなど消化吸収だけではない働きもある。

 

よく「もうちょう」とよばれる「虫垂」、虫垂は免疫に必要な抗体を作り出し、腸内細菌をコントロールする働きがある。

youtu.be

 よく扁桃腺がはれてしまうので、扁桃腺をとってしまうということをせざる負えない人もいるが、扁桃腺がはれるのは免疫作用によるもの。免疫作用はときにヒトを様々な病原菌から守る働きだけでなく、ヒトの体を傷つける働きもする。

 同様なことが虫垂で起こるのである。

 

 これは入試には出ない事柄である、テストにも出ない。それではいらない知識?

 役に立たないのならいらないのではないの?それこそ、知識の虫垂である。

 進化の過程でいらない器官としてあるものを痕跡器官というが痕跡としてなぜ残っているのかにも意味がある。本当に要らないものなんてあるのだろうか?

 

腎臓の働き

3 図3は,ヒトのじん臓のつくりを,図4は、図3のじん臓の断面を拡大したものを,それぞれ模式 的に表したものである。また,図3,図4の矢印 ⇒ は,それぞれの管の中を流れる液体の向き を表している。次の(1), (2) の問いに答えなさい。

 

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(1) 図3で,A,B,Cの名称として最も適当なものを,次のア~エからそれぞれ一つずつ選び、その記号を書きなさい。  

   ア 動脈 イ 静脈  ウ  輸尿管 エ リンパ管

 

腎臓のつくりを入試で出題するのはあまりなく、珍しいので今回この山梨県の問題を取り上げた。

「理科の世界2年」(大日本図書)p132には図で出ている。

AとBは赤いのが動脈で青いのが静脈と教科書の図を見ればわかる。

 しかし、このテストに色はついていない。そもそも血管に実際に色はついていないのだから、色で見分けるのは意味がない。

 ここでは、血管とともに描いてある 心臓へ行く血液が流れているのが静脈

心臓から血液が流れているのが動脈

 A 静脈 イ

 B 動脈 ア

 

ウはぼうこうにつながっている管なので、輸尿管 ウになる。

Dは心臓から来ているから腎動脈 Eは心臓に向かうので腎静脈[

 

www2.nhk.or.jp

 

教科書P132には 腎臓のミクロで見た時の構造

 

糸球体とぼうまんのうの働きも今年から加わっている。発展内容なので直接出題されることはめったにないと思われるが、資料として問題文中に現れる可能性はある。

 

動脈と静脈

(2) 図4で,DとEの中を流れる液体にふくまれる尿素の割合を,それぞれ d, e とすると, その大きさの関係はどのようになると考えられるか。次のア~ウから最も適当なものを 一つ選び、その記号を書きなさい,それを選んだ理由を簡単に書きなさい。
ア d>e     イ d<e  ウ d=e    

 

D 腎動脈 尿素を多く含む血液が流れる

E 陣静脈 尿素をあまり含まない血液が流れる

 

d>e だから アが答えになる。

教科書にどちらが動脈でどちらが静脈化は書いていない。問題の図で心臓に行く血管かどうかで判断する。

 

動脈は尿素が多い。静脈は尿素が少ないということは知っていても、それを図としてあらわされたときに判断できるかという問題である。

 

ポイント

問題自体は難しい問題ではない。

血液の循環でよく問われる

 肝臓でアンモニアから尿素は作られる

 尿素は腎臓でこしだされる

 動脈には酸素や栄養分、尿素が多い

 静脈には二酸化炭素が多く、尿素は少ない

という定番問題である。

2021年の群馬県でも出題された

youtu.be

2021年の愛媛県での問題はそのものずばりである

youtu.be