学校のテストとは違う入試に出る独特な問題~水の電気分解(2011年京都)
水の電気分解では陰極には水素、陽極には酸素が発生する。
電極Aと電極Bの発生する気体についてその性質について答えなさい。
という問題が出題されている。
ここでは、発生する気体が分かっているということが前提になっている。
そして、次のような問題がある
電極Aと電極Bに発生した気体の体積比
電極A側で発生した気体の体積と電極B側で発生した気体の関係を示すグラフを次から選びなさい。
学校のテストでは、発生する気体は何か?というのを聞く。
それはこの電気分解で起こる現象で気体の物質名を覚えたかというのが、大事だからである、
しかし、入試では発生する気体が分かっているものとして、
出来た物質の性質は何か?
電極Aの気体は、マッチの火を近付けるとおとをたててもえ、水滴が生じる
酸性の水溶液に金属を入れると発生する
一番密度の小さい気体
無色、無臭の気体
電極Bの気体は 火のついた線香を入れると激しく燃える
乾燥空気中に約20%含まれる、無色、無臭の気体
呼吸に使われる気体
というのでどれが来ても選べるように気体の性質を知っていないといけない。
間違っているのに答えが正解してしまうマジック
この問題は出題者の意図とは違う結果を引き起こすこともある。
例えば、この問題は水の電気分解なのに、塩酸の電気分解しか覚えていなくて陽極に発生するのは塩素というのを覚えている受験生がいたとする。
しかし、塩素の性質を覚えていなくて解答に「塩素酸カリウムの熱分解で生じる」というのを選んだとする。
この受験生は、陽極に生成するのが酸素であるのに塩素だと思い込んだ
塩素酸カリウムの熱分解では酸素が生じるのを塩素という言葉が入っているので、適当に塩素酸カリウムの熱分解と答えた。
二つの間違いをしているのにもかかわらず、「陽極で発生する気体は塩素酸カリウムの熱分解で生じる酸素である」ので「塩素酸カリウムの熱分解」を選択して正解になってしまう。
入試問題の過去問を解いて答えだけ当たって入ればそれでいい。
というやり方で問題を解くと本番では大きなミスをする一つの例である。
学校のテストではこのような2つの間違いをしているかをチェックする問題があるが入試にはないのである。
それが入試問題の独特なところである。
そして、次のグラフを選ぶ問題
水素:酸素=2:1
というのを知っていても
電極Aが水素、電極Bが酸素ということを知っていないと答えられない
電極Aの気体が2㎝³のとき 電極Bの気体が1㎝³であるという、
グラフ問題が出た時は、読み取りやすい値を読み取る
という訓練をしていなければアを選択することはできない。
発生する気体を知っててもグラフを読めない
理科でグラフが出たら、比例のグラフを選ぶでイを選ぶ。
ウをみると、横軸が2のとき縦軸が1で2:1だから選ぶ
という 水素が横軸、酸素が縦軸を示しているというのを無視して選択する受験生が多い。
これは、出題者の引っかけにまんまと引っかかっているということである。