備長炭電池は空気電池の一つである。(2018年群馬)
電池のうち、片方の電極が空気中の酸素を使うのを空気電池という。
中学段階では2枚の異なる金属を用いた電池を扱うことになっているが、入試では応用として空気電池が出題されている。
2018年の群馬県では、備長炭電池のモデルの仕組みも出題された。
備長炭電池の原理
①には化学式を②はどちらかを選びなさい。
電池のイオンモデル
中学校の教科書には、アルミニウムイオンの記述はないが、「理科の世界3年」p182大日本図書で原子の電子配置が載っている。
最外殻電子がイオンの形成に関係しているという記述もされている。
今後はこれに基づいた問題も出題されると考えられる。
アルミニウムは最外殻電子が3個あり、安定な形のネオンになりやすい。
このため、
Al→Al³⁺+3e⁻
とアルミニウムイオンになる、アルミニウムはくは電子を受け渡すので負極(マイナス極)になり。木炭は反対の正極(プラス極)になる。
①Al³⁺ ②+極
問題
木炭における反応を調べるために,実験において、食塩水をしみ込ませたろ紙にフェノール フタレイン溶液を数滴加えたところ、電流が流れる前では、ろ紙の色の変化は見られなかったが、 電流が流れた後では、ろ紙は赤色に変化した。次の1,2の問いに答えなさい。
(1) ろ紙が赤色に変化したことからわかることを、簡潔に書きなさい。
(2) 木炭における化学変化は、
(ア ) +4e-+ 2H₂O →(イ )(ウ )
と表すことができる。 ア、 ウには化学式またはイオン式を, イ には数字を,それぞれ書きなさい。
(3) 木炭の小さい穴の中に取り込まれている酸素分子3個が電子を受け取るとき, アルミニウムはく 中では少なくとも何個のアルミニウム原子がアルミニウムイオンになる必要があるか、書きなさい。 ただし、アルミニウム原子1個当たり電子3個を放出し、酸素分子1個当たり電子4個を受け 取るものとし、それぞれの電極で受け渡される電子の総数は等しいものとする。
考え方
(1)フェノールフタレインが赤色に変化したことから、アルカリ性の水酸化物イオンが生成していることが分かる。
(2)空気電池の仕組みで
木炭の正極(プラス極)では
酸素と水が電子を受け取って、水酸化物イオンになる
O₂+4e⁻+2H₂O→4OH⁻
ア O₂ イ 4 ウ OH⁻
(3)
O₂+4e⁻+2H₂O→4OH⁻
より酸素3分子では電子12個受け取る
Al→Al³+3e-
Alは1原子が3個電子を放出する。
負極の電子の数=正極の電子の数
アルミニウム原子の数×1個の原子が放出する電子の数=酸素の分子の数×1個の分子が受け取る電子の数
アルミニウムの原子の数×3=3×4
より
アルミニウムの原子の数=4
電子の総数は 12個
最後の電子の数の考え方は高校レベルの問題であるが、モデルを見ながら答えを出すことができる。そして、モデルを使って解けるようにするというのが今年から始まった新学習指導要領なので、この問題はそれを先取りして問題になる。