レールから飛び出す運動(2019年大阪)
位置エネルギーの大きさは質量と高さに比例する
【実験1】レールを用いて図IIのような斜面をつくり,斜面に沿って小球を落下させ,小球が水平面 上で木片に衝突する直前の速さと,小球の衝突 により木片が移動した距離を調べた。小球は質 量が 10g, 30g のものを準備し,図II に示した P(高さ 10 cm), Q (高さ 20 cm), R (高さ 40 cm) の3か所から落下させた。
【Fさんがまとめたこと】
表I は,実験1の結果の一部である。
・落下を始める高さが4倍になると、衝突直前の小球の速さは (a ) 倍になっている。
・小球の質量が同じであるとき,落下を始める高さが2倍になると,木片の移動距離は2倍になっていることから,A落下を始める高さと木片 の移動距離には比例の関係があると考えられる。
・落下を始める高さが同じであるとき、小球の質量が3倍になると,木片の移動距離は (b )倍にな っていることから,B小球の質量と木片の移動距離には比例の関係があると考えられる。
(5) 上の文中の ( a )(b )に入れるのに適している数をそれぞれ求めなさい。
同じ質量で高さの比較を見てみる
小球の質量が10gのとき
PQから高さを2倍にすると、移動距離は2倍
PRから高さを4倍にすると、移動距離は4倍
小球の質量が20gのとき
PQから高さを2倍にすると、移動距離は2倍になる。
このことから、位置エネルギーは高さに比例する
小球の質量10g
高さ10cmでは移動距離が1.6cm
高さ40cmでは移動距離が6.4cm
移動距離は=4倍 a 4
高さ10cmのとき
小球10gでは移動距離1.6cm
小球30gでは移動距離4.8cm
質量が3倍になると移動距離は=3倍 b 3
問題にされてはいないが
高さが10cmのとき、質量を10gから30gにかえても、小球の速さは同じである
高さが20cmのとき、質量を10gから30gに変えても、小球の速さは同じである
高さを10cmから20cmと2倍にすると
小球の速さの2乗は=2倍になる
小球の速さは 高さは同じとき、質量は関係しない。
位置エネルギーから衝突で移動する距離
(6) 上の文中の下線部Aと下線部Bがともに成り立つとすれば,実験1の斜面を用いて,質量 15gの小球 を斜面上の高さ 30 cm の位置から斜面に沿って落下させた場合,木片の移動距離は何cm になると考えら れるか,求めなさい。
質量が15gということは、小球10gの1.5倍の質量である。
高さが30cmということは小球10gで10cmの3倍の高さである。
よって移動距離は
小球10g高さ10cmの時の移動距離1.6cmの1.5倍×3倍=4.5倍
=7.2cm
【実験2】まさつのないレールを用いて図IVのような斜図IV 面をつくり,小球がもっ位置エネルギーと運動エネ ルギーとの移り変わりについて調べた。斜面上のA に小球を置いたところ、小球は運動エネルギーが0 の状態から斜面に沿って落下を始め,最も低いBを 通過した後,Cから斜め上方に飛び出した。飛び出 した後に小球が最も高くなった点をDとし,その高 さをAの高さと比較した。
エネルギー保存の法則
【Fさんが実験2から考えたこと】
Dの高さがAの高さより低くなったことから,小球のDにおける位置エネルギーは,小球がAにある ときに比べて減少した。物体がもつ位置エネルギーと運動エネルギーの和は,まさつ力や空気抵抗が はたらかない場合には常に一定に保たれることから考えて,小球がAにあるときに比べて減少した分の 位置エネルギーは,運動エネルギーに変わったと考えられる。
(7) エネルギー保存の法則(エネルギーの保存)のうち,上の文中の下線部ので述べられている法則は,特に何と呼ばれているか,書きなさい。
力学的エネルギー保存の法則
力学的エネルギー保存の法則のグラフ
(8) 小球がもっ位置エネルギーは,高さによって変わる。実験 2 において,小球のBにおける位置エネルギ ーを0とし,Bの高さを基準にして考えたとき、小球がもっ位置エネルギーはAで最大となる。図V は, 実験2で小球がAからDに達するまでの位置エネルギーの変化のようすを,横軸にAからの水平距離,縦 軸にエネルギーを用いて表したグラフである。 実験2において,上の文中の下線部が成り 立つとき,小球がAからDに達するまでの運動 エネルギーの変化のようすを表すグラフはど のようになるか。Aにおける運動エネルギーを 0として,解答欄中のグラフにかき加えなさい。
運動エネルギーはA点では0からはじまる。
位置エネルギーが減少した文が運動エネルギーになるので、横1目盛り目はエネルギーは縦2目盛り
2目盛り目は運動エネルギーは縦が4目盛り
B地点で最高の縦が6目盛りC地点で縦が1目盛り
D地点で縦が2目盛り
と縦の3目盛り目を対称に点を打ち滑らかな線で蒸す。このときCからDについての滑らかな曲電が間違えやすいので気を付ける。
C地点で飛び出した時、小球の持つ速さを鉛直方向と水平方向に分けて考える
水平方向は力を受けていないので等速直線運動をし、水平成分の速さは変わらない。
鉛直成分は重力によりf減少し、位置エネルギーに変わり、最高点Dに行く。
最高点Dでは水平方向の運動エネルギーの分だけ、Aよりも位置エネルギーが小さくなる。
この時の小球の運動は放物運動である。
CからDまで運動の奇跡が放物線を描くので、運動エネルギーも放物線を描く。
(放物運動は高校物理基礎で学習する内容)
問題は高校レベルであるが、中学の知識で思考判断してとく問題である。