緊急地震速報の計算問題の解き方(2020年沖縄)
緊急地震速報の問題を解くのは4ステップ
表1は、ある地震のP波のデータである。ただし、地震波 は一定の速さで伝わるものとする。
表1
震源からの距離 | P波の届いた時刻 |
30km | 7時30分15秒 |
90km | 7時30分25秒 |
150km | 7時30分35秒 |
緊急地震速報を受信してから何秒後に揺れるか?
震源から 60 km 離れた地点で、地震発生から 12 秒後に緊急地震速報を受信した。この地点 では、受信から何秒後に大きなゆれ(主要動)がくるか答えなさい。
第1ステップ 地震の発生時刻を求める
考え方
①距離と時刻がわかっている2つの地点から距離の差と時刻の差で速さを求める
②いま求めた速さで、距離と時刻がわかっている所にまで到着する時間を求める
③距離が分かっている地点での到着時刻から、いま求めた時間を引いたものが地震の発生時刻である。
発生時刻を知るためには、30km地点までに何秒かかったのかを知る必要がある。
そのために、P波の速度が必要になる。
表1から 30kmのときと90kmのときではP波が伝わるまで10秒の差がある。
これは 差の60kmでP波は10秒で伝わる。
=
=6.0km/s
P波の速度が分かったので、30kmの地点まで何秒かかったかがわかる。
求める時間 をt秒とすると
このことから30km地点にはP波は5秒で行ったのだから地震の発生時刻は
到着時刻7時 30分15秒よりも5秒早い 7時30分10秒である。
地震の発生時刻 7時30分10秒
第2ステップ 地震が発生してから緊急地震速報を受信した時刻を求める。
考え方
問題文より、地震が発生してから12秒である。地震の発生が7時30分10秒より
緊急地震速報を受信したのは7時30分22秒になる。
第3ステップ 主要動が到着した時刻を求める
考え方
①S波の速さをもとめる
②観測地点の距離÷S波の速さでS波の到達するまでの時間を求める
③地震の発生した時間に今求めた時間を足す。
この沖縄県の問題には次の問題が緊急地震速報の計算問題を解く前にある。緊急地震速報の計算問題は、地震の問題の最後に出されることが多く、その前の問題ができていないと解けないことが多い。主要動が到着した時刻を求めるためにはS波の速さを知らなくてはいけない。それに関する問題を解いておく。
ここでは次の問題がある
震源から60 km 離れた地点で、初期微動継続時間が5秒であった。このことからS波の速さを求めなさい。
考え方
①60km地点でのP波の到着時刻をもとめる。
②もとめた到着時刻に5秒を足したものがS波の到着時刻になる
③60kmでのS波の到達時刻ー地震の発生時刻でS波のかかった時間を求める
④S波のかかった時間から 60km÷S波のかかった時間=S波の速さ を求める
P波の速さは6km/sだから震源から60km離れた地点に到着するまでにかかる時間Tsは
地震の発生時刻は7時30分10秒よりP波の到着した時刻は7時30分20秒
初期微動継続時間が5sよりこの5秒後である7時30分25秒にS波が届いた
地震の発生時刻が7時30分10秒だから15秒後に届いたことになる。
S波の速さはP波の速さと同じように
問題文より地震が発生してから12秒後に緊急地震速報を受信したのでその時刻は
7時30分10秒に12秒を足した 7時30分22秒
S波の到着した時刻は
7時30分10秒に15秒を足した 7時30分25秒
第4ステップ 緊急地震速報を受信してからS波が来るまでの時間差を求める
7時30分22秒と7時30分25秒との時間差は3秒
よって 答えは3秒
ポイント
緊急地震速報に関する問題はいろんなものがあるがこの4パターンで解くとたいていが解ける。
次の解説動画はいろいろな緊急地震速報の計算問題をまとめたものである。