光の強さと二酸化炭素濃度は光合成とどのような関係があるのか。(2020年宮崎)
光の強さと二酸化炭素濃度
【実験】光合成に十分な量の二酸化炭素を入れ、実験する。
1 暗い場所に一晩置いた植物にポリエチレンの袋をかぶせた。
図3のように,ストローで息をふきこんだ後,袋の中の湿度を調べた。袋の中の二酸化炭素の割合が、空気中の約10倍である 0.40%になっていることを,図4のように,気体検知管で確認した。
2 照度計で測定した値が7000ルクスを示す明るさで,気温が図4 28°Cの場所に,1の植物を置いた。
3 2から60分後,120分後,180分後における袋の中の二酸化炭素の割合を気体検知管で調べた。また,袋の中の湿度を調べた。
4 2の照度計で測定した値が,2000ルクス,0ルクスを示す明るさに変えて,それぞれ1~3と同様の操作を行った。
【結果】光の強さと二酸化炭素濃度の関係
気体検知管で調べた袋の中の二酸化炭素の割合は,次の表のようになった。
袋を密閉する前の湿度は,どの明るさのときも同じであり,時間による湿度の変化は
なかった。
(注) 明るさは照度であらわされ,「ルクス」という単位を用いる。
(1) 【結果】をもとに,7000ルクスのときの「光を当てた時間」と「袋の中の二酸化炭素の割合」の関係を表すグラフを,解答用紙 にかきなさい。
(2) 下線部に関して,今回の実験では2000ルクスのときに袋の中の 二酸化炭素の割合が変化しなかった理由を,「光合成」,「呼吸」 という言葉を使って,簡潔に書きなさい。
考え方
(1)表の中の7000ルクスの二酸化炭素濃度をグラフ上に表していく。
各時間における濃度を点で打ち、それを結ぶ。(この場合は直線になった)
作図すると、直線になる。光の量が一定のとき、光合成による二酸化炭素吸収量と呼吸による二酸化炭素の排出量で光合成による吸収量の方が大きいためである。
暗闇における二酸化炭素濃度は呼吸量(a)によるものだけになる。
光を当てた時の二酸化炭素の濃度は二酸化炭素吸収量と呼吸量を合わせた量(b)になる。
(a)ー(b)=二酸化炭素の吸収量になる
二酸化炭素の吸収量 |
0分 |
60分 |
120分 |
180分 |
0ルクス |
0 |
0. |
0 |
0 |
2000ルクス |
0 |
0.04 |
0.08 |
0.12 |
7000ルクス |
0 |
0.12 |
0.24 |
0.36 |
この表より、二酸化炭素の吸収量は時間に比例し、光を強くするほど大きくなる。
(2) 下線部に関して,今回の実験では2000ルクスのときに袋の中の 二酸化炭素の割合が変化しなかった理由を,「光合成」,「呼吸」 という言葉を使って,簡潔に書きなさい。
光合成による二酸化炭素の吸収量と呼吸による二酸化炭素の放出量が同じ量のため
2021年東京での出題
光の強さと光合成の関係については2021年の東京でも出題された。
2016年千葉県後期選抜の出題
この問題の特徴
光合成の実験に関する問題は2021年には和歌山でも出題されている。
多くの県では対照実験という問題と同時に出題されている。
この問題の特徴は、二酸化炭素の濃度が変化しないことはどういうことを示しているかということを思考、判断させる。ということである。