外来種のもたらす影響(2017年香川)
下の図IIIは、ある池の魚類の生態調査を目的として定置網で捕獲した主な魚類について,漁獲量の経年変化を示したものである。あとの文は、図IIから考えられるこの池の生態系の変化に ついて述べようとしたものである。文中のP,Qの ( )内にあてはまる言葉として最も適 当なものを、あとの1~3からそれぞれ一つずつ選んで、その記号を書け。
1995年までは、全体の漁獲量が多く、体の大きなコイ類から体の小さなタナゴ類まで、 大小さまざまな魚類を捕獲することができた。しかし、1996年以降に、(P )が捕獲 されるようになってからは、全体の漁獲量が大幅に減少した。特に,1996年以降は,(Q )が、1997年以降はモツゴ類がほとんど捕獲できなくなっている。このことか ら(P )が捕獲されるようになってから、この池の生態系が大きく変化したことが推 測できる。
ア バス類 イ コイ類 ウ フナ類 エ モツゴ類 オ タナゴ類
資料を読み取る問題である。
1995年まで、この池にはいろいろな種類の魚がおり、その数も多かった。
しかし、1996年から魚の数が減ってきた。それは1996年前までにいなかった生物が1996年にこの池に入ったためと考えられる。
1996年以降にバス類が捕獲されるようになる。それまで多くいた、タナゴ類が大きく減少している。
バス類が食物網を破壊したため、それに伴い、タナゴ類の数が急激に減少した。
タナゴ類を取り巻く食物網が変化するとモツゴ類にも影響を与える。モツゴ類を取り巻く食物網が変化していく。その結果、この池の生物の多様性は失われ、生物全体の数が減少したと考えられる。
Pはア バス類 Qはオ タナゴ類
バス類、コイ類 フナ類 タナゴ類 モツゴ類というのは魚の総称である。
バス類が大形で肉食の魚で何でも食べる
コイ類 フナ類が小魚などを食べる
モツゴ類 が小さな虫などを食べる
タナゴ類 が動物プランクトンなどを食べる
タナゴ類が減るとタナゴの稚魚などを餌にしているモツゴ類が減る。モツゴ類が減るとコイ類、フナ類が減る。
生態ピラミッドでは、ある種の生物が減った時、上位の位置にいる生物が減ることでその種の数が回復する。
しかし、バス類は、タナゴ、モツゴ、コイ、フナのすべてを捕食する生物である。
タナゴが減って、モツゴが減ると、タナゴの数が回復すると思われるが、回復するタナゴをモツゴよりも多くバス類が捕食するためモツゴは増えない。
タナゴ類が減ることによって動物プランクトンが増えると考えられるが、その動物プランクトンもバス類は食べるためタナゴの数は回復できない。
動物プランクトンが減ると植物プランクトンや水草が増えるが。水草もバス類は食べるので水草も増えない。
外来種って何?
もともと生息していなかった地域に、人間の活動によって持ち込まれて定着した生物のことを外来種という。
外来種は、その場所にもともと住んでいた生物の生存や多様性をおびやかす場合がある。
その一つとして、ブラックバスの問題である。ブラックバスという名前の魚は存在しない。
ブラックバスというのはオオクチバスの仲間などの魚の総称で、動いているものなら何でも食べる魚。
動いているものに食いつくという習性があるので、えさをつけていないルアーを餌に似せて動かすことでブラックバスを吊り上げるというゲームフィッシングという釣りの標的になる。
日本にはもともといない魚で北アメリカにいた魚であるが、このバス釣りをするために、日本各地の川や池に人間が持ち込んだといわれている。
ブラックバスはなぜ問題になるのか?
その川や池にいた生物を何でも食べてしまうから、その川や池の食物網が壊れる。
食う生物と食われる生物の一対一の関係は食物連鎖といわれる。生物は複数の生物間でこの食物連鎖が行われているのでその関係は網のように複雑になっている。これを食物網という。
この食物網の網をくいやぶっていくもの、それがブラックバスなのである。とくにオオクチバスやブルーギルは問題になる。様々な生物を餌にするため、その川や池の生物の多様性が失われる。
多様性が失われると食物網が小さくなる。食物網が小さくなると生物全体の量が減っていくのである。
外来種によって琵琶湖の魚が減少する
外来種が生態系に与える影響
小笠原、佐賀、札幌の昼の長さの違い(2020年佐賀)
図1は佐賀(東経130度、北緯33度)における1年間の日の出と日の入りの時刻の 変化を表したもので、破線A~Dは1年のうち、それぞれ特徴的な日を示している。 また、図2は、東京の小笠原(東経142度、北緯27度)と北海道の札幌(東経141度、 北緯43度)における1年間の日の出と日の入りの時刻の変化をまとめて表したもので ある。表は、図1のA~Dの日における、佐賀と小笠原、札幌の太陽の南中高度をま とめたものである。1~7の各問いに答えなさい。
昼の長さが一番長いのはいつか。
1 図1のA~Dのうち、昼の長さが最も長い日はいつか。最も適当な日を1つ選び、 記号を書きなさい。
A 春分(昼と夜が同じ)
B 夏至(昼が1年で一番長い)
C 秋分(昼と夜が同じ)
D 冬至(昼が一番短い)
よって、昼の長さが一番長いのは夏至のB
これは基本問題、すぐに答えたい問題である。
札幌と小笠原の昼の長さの違い
2 昼の長さについて、図2を用いて説明しなさい。ただし、次の点を踏まえること。 ・夏と冬それぞれについて、小笠原と札幌を比較すること。
この問題は与えられた資料を基に「言葉で表現する問題」
正しいものを選びなさいという選択肢の問題に比べて解きにくい問題である。
資料は
低緯度の小笠原と高緯度の札幌の日の出と日の入りの時刻を表したものでその間の時間が昼間の長さになる。
小笠原と札幌を比較すると
昼の長さを比較すると夏至では札幌の方が長く、冬至では小笠原の方が長い
これは地球の地軸が公転面に垂直な方向に対して23.4°傾いているためである。
夏になると高緯度になるほど、昼の時間が長くなり、
冬になると高緯度になるほど、昼の時間が短くなる。
このため、高緯度では夏には夜が来ない白夜、冬には昼が来ない極夜が起こる。
このことを知っているかどうかを答える問題である。
昼の長さは、夏は札幌の方が小笠原より長く、冬は小笠原の方が札幌より長い
- 昼の長さに関しての問いである
- 夏と冬の違いを聞いている
- 札幌と小笠原の違いを聞いている
3つの条件が当てはまっていればいい。
昼の長さは、夏は札幌と小笠原では小笠原の方が短いが、冬では小笠原の方が長い。
昼の長さは、夏は札幌と小笠原では札幌の方が長いが、冬では札幌の方が短い。
昼の長さは、夏は札幌と小笠原では小笠原が短い。冬は札幌と小笠原では札幌の方が短い
という4種類の答え方がある。
南中高度の計算
3 表中の ( X )、( Y )にあてはまる数値を、それぞれ整数で書きなさい。
AとCが同じ南中高度になるから 小笠原の秋分の南中高度は小笠原の春分の南中高度と同じである。よってYは63°
Xは 佐賀の夏至である。夏至は春分、秋分よりも23.4度、高度が高くなっている。
佐賀の春分の南中高度が57度より
57+23.4=80.4°
整数で答えよとなっているので80°
この問題は緯度をまず求めてから、夏至の日の公式に当てはめるというときかたもある。
佐賀の緯度をxとすると、
春分の日から 90ーx=57
x=90-57
x=33° 佐賀の緯度は33度
ここから夏至の公式
90ー緯度+23.4=90-22+23.4=80.4°
と出せるが、夏至は春分より23.4°高度が大きい、冬至は秋分より23.4°高度が小さいということを知っていれば、表のほかの値を利用して問題を解くことができる。資料を活用する能力があるかどうかの問題である。
影の長さ
4 次の文は表の太陽の南中高度について述べたものである。文中の ( a )、( b )にあてはまる語句の組み合わせとして最も適当なものを書きなさい。
水平面に対して垂直に立てた棒が水平面につくる影の長さを観察すると、太 陽の高度が高くなればなるほど、影の長さは( a ) なるので、表の中で太 陽が南中したときの影の長さが最も長くなるのは、( b )である。
影の長さに関する問題である。
南中高度が大きくなるほど、影の長さが短くなる。 a(短く)
南中高度が一年のうち一番高いのは夏至の日 Bのとき
そして緯度がちいさい小笠原である b(小笠原)
入試問題では文章中の穴埋めはすべて正しくて得点になる。
XとYの値を求める問題で計算ミスをしても止められなかったとしても、北半球では南中高度は低緯度ほど大きく、夏至が一番大きいということを知っていれば答えられる。
この問題では、昼の長さがなぜ季節によって異なるのかというのが出題されていない。
もちろん
地軸が傾いているから
と答えられるようにしておこう。
図3は、小笠原における6月と12月の天球上の太陽の動きを表したものである。実 線 ( ― )が昼の太陽の動きを、破線( ----- )が夜の太陽の動きをそれぞれ表して いる。
観測できるの上半分で透明半球で観測している。
夜の太陽の動きというのは、南半球で同じ緯度の太陽の運動に等しい。
また太陽の通り道を黄道という、
6 図3において、観測者の真上の天球上の点を何というか、書きなさい。
天頂という
7 札幌における6月と12月の天球上の太陽の動きを表した図として最も適当なもの を、次のア~エの中から1つ選び、記号を書きなさい。
小笠原よりも年間を通じて、南中高度は低い。さらに6月と12月は6月の方が南中高度が高い。
アは6月の日の出が真東、日の入りが真西になっている。これは春分と秋分の日の出、日の入りである。
イは小笠原よりも南中高度が高い。高緯度なのでこれはありえない。
ウは6月と12月で地軸が異なるのはありえない。
エは小笠原より南中高度が低いのでこれが答えになる。
昼の長さ(2016年長崎)
発泡ポリスチレン球にひもを巻いて昼と夜を作る
【実験】
図1のような、発泡ポリスチレンの球に赤道をかいた地球の模型を使って、長崎県内のある地点(北緯33° )における昼と夜の長さの変化を以下の手順で調べた。
手順1
図2のように、地球の模型の北緯33° にひ もを一周まき、画用紙に、地球の模型のを画用紙の面に垂直な方向に対して23.4° かたむけて貼り付けた。
手順2
図3のように、太陽にみたてた白熱球のまわりに地球の公転軌道を模式的に円で示した。 その軌道上の、夏至、冬至、春分、秋分のいずれかの位置を示すA~Dに、模型のかたむきの方向が図3の矢印の方向になるように、地球の模型をそれぞれおいた。
手順3
図3のA~Dにおいたそれぞれの地球の模型について、図4のように、ひもの光があたっ ていない部分を黒くなり、色の境目の一方で ひもを切断し、取りはずした。
手順4
手順3で取りはずしたひもを、図5のように並べた。
春分の場所
問1 図3のA~Dのうち、春分の地球の模型の位置として、最も適当なものはどれか。
図3は上が北極なので、地球は反時計回りに回転する。Bは地軸が太陽の方に傾いているので夏至、Dは地軸が太陽と反対の向きに傾いているので冬至である。
南半球ではどのようになるか
問2 地球の模型の南緯33° にひもを一周まき、同様の実験を行った。このとき、取りはずしたひもを並べたものとして、最も適当なものは、次のどれか。
図5は北緯33度でBが夏至 Dが冬至、AとCは春分と秋分が入れ替わるが昼間の長さは変わらない。
これを満たすのはイ
南緯33度ではこれが逆になっているものを選ぶ BとDが逆
Bの昼の長さが短く、Dの昼の長さが長い。
AとCは同じ長さで昼の長さはDより水各Bより長い
地軸の傾きが無かったら
問3 図6のように、地球の模型の地軸が画用紙の面に対して垂直になるように貼り付けて、手順2から手順4を行う。この とき、図3のA〜Dにおいた模型から取りはずしたそれぞれ のひもについて、黒くぬられた部分の長さとなられていない 部分の長さはどのようになるか、説明せよ。
地軸に対して垂直になるようにする→地軸に傾きがない。
地軸に傾きがないと 一年中、昼と夜の長さが変わらない。
このため、一年中、黒く塗られて部分の長さと塗られていない部分の長さが同じである。
南中高度の計算
問4 北半球のそれぞれの場所では、1年の中で昼夜の長さが変化するとともに、太陽の南中高度も変化する。長崎県内のある地点(北緯33°)における、冬至の日の太陽の南中高度の求め方 を説明した次の文の(1)には数式を(2|には数値を記入し、文を完成せよ。
北半球のある地点における春分の日および秋分の日の太陽の南中高度は、その地点の緯度 をXとすると(1 90ーX )°となり、冬至の日の南中高度は( 1 90-X )から23.4°を引いた 高度になる。したがって、長崎県内のある地点(北緯33°)における冬至の日の太陽の南中高度は( 2 33.6 )° である。
90ー緯度
で求められる。
90ーXー23.4
90ーX+23.4
長崎(北緯33度)の冬至の南中高度は
90ー33+23.4=33.6度
夏至の日、赤道(緯度0度)では90ー0+23.4=113,4度
となってしまい、真上を通り越して、北側に太陽がある。
夏至の時にちょうど真上に太陽が通る緯度を北回帰線といいその緯度は23.4度である。
夏至では
北緯0度~北緯23.4度未満では太陽は北側を通る。
北緯23.4度では真上を通る
北緯23.4度より大きいと南を通る
さらに、北緯77.6度を超えると一日中、太陽が沈まない白夜が起こる。
逆に冬至では
南緯0度~南緯23.4度未満では太陽は南側を通る
南緯23.4度では真上を通る(ここを南回帰線という)
南緯23.4度より大きいと北を通る
さらに、南緯77.6度を超えると一日中、太陽が沈まない白夜が起こる。
北緯80度の場所を考えてみよう。冬至の日、この日の南中高度は
90-80-23.4=-13.4度
ということで、南中高度がマイナスの値になっている。これは日が昇らないことを示している。一日中太陽が昇らないことを極夜(極夜)という。
白夜と極夜の解説動画
場y国屋を扱った問題の解説動画
太陽の熱による温度上昇(2012年滋賀)
太陽の光に光による温度上昇
【実験】
図1のように、ボトル缶のキャップに開けた穴にデジタル温度計を差し込み、缶全体を黒色の画用紙でおおった後,直方体の発泡ポリスチレンに半分埋め込んだ装置を3つ用意し、A~Cとした。 8月のある日の正午ごろに、それぞれのボトル缶に,くみ置きした 水を300gずつ入れた。次に,図2のように、日光が当たる場所で、 装置を真南に向けて並べ、水平な地面となす角度を30度,60度,90度 になるようにして固定した。その後,装置A~Cの水の温度を10分 ごとに90分間測定した。図3はその結果をまとめたものである。
【調べ学習】
測定した地点での、1年間の太陽の南中高度を調べた。図4はその結果をまとめたものである。
実験前に行うこと
1 実験で、水をくみ置きしたのは何のためか。書きなさい。
水をくみおきしておかず、水道水をそのまま使ったら、水温水の温度はは\\気温と異なってしまう。(夏場は水道水が熱いということも考えられる)
太陽のエネルギーを得て温められたのか、はじめに水が持っていた熱が関係しているのかわからない。
そのため、くみおきして
水温と気温との差を小さくするため
この作業を行った。これは、実験をする準備としてよく行う。
水温を測定する実験では、室温と同じ温度になるように、くみ置きの水を使う。
装置が受け取る熱量
2 実験で、装置Aに90分間日光が当たったとき,1分間に装置の水が受け取った平均の熱量は何Jか、求めなさい。ただし、1calは4.2J とする。
装置Aに光が当たって温度を上昇させたとき、比例直線になっていないので時間と温度上昇は比例していない。そこで使われるのが、「平均の熱量」である。
90分では 24度から42度に温度上昇した 42-24=18℃温度が上昇した。
水1gを1℃上げるのに必要な熱量が1calである。
装置Aには水300g使われているので
calの熱量が水に加えられている。
1calは4.2Jよりこの熱量を4.2倍するとジュールに変換できる、
さらに1分間当たりなのでかかった時間の90でわると求める熱量が出る..
=
==252J
この計算でも、理科の計算の鉄則でかけ算は途中で行わないで最後に約分を考える。
42-24=18
18=2✕9
と約分できる形に持っていくのが勝負である。
地軸が傾くと起こる現象
3 太陽の南中高度が1年を通して変化するのと同じ理由で起こることは何か。次のア~エから1つ選びなさい。
ア 日の出,日の入りの方位が変化する。
イ 同じ時刻に見える月の位置が変化する。
ウ 金星の見かけの形と大きさが変化する。
エ 太陽の黒点の位置が変化する。
太陽の南中高度が1年を通じて変化するのは地球の地軸が公転面に対して垂直な方向から23.4度かたむいているためである。
地軸が傾いていなくても起こる現象は答えにはならない。
ア 日の出は夏至では北東、春分では真東、冬至は南東、日の入りは夏至は北西、春分は真西、冬至は南西。という風に変化する
地軸の傾きが無ければ一年中真東から上って真西に沈む。日の出、日の入りの方位が変化するのは地軸の傾きのせいである。
イ 月の見え方が変わるのは月が地球の周りを公転しているからで地軸の傾きとは関係がない
ウ 金星の見かけの形と大きさが変わるのは金星が太陽の周りを公転しているためであり、地軸の傾きと関係がない
エ 太陽の黒点の位置が変化するのは太陽の自転によるためであり。地軸の傾きとは関係がない。
よって、答えはアになる。
南中高度から装置の角度を求める
4 10月1日の太陽が南中する時刻に,装置の水が最大の熱量を受け取るには、装置が水平な地面となす 角度を何度にすればよいか。書きなさい。
今回この滋賀県の問題を取り上げたのは、南中高度を計算で求めるのではなく、図から求めるものだからである。そして考え方は太陽光パネルと同じである。
図より10月1日の南中高度は52°である。
最大の熱量を受けるとき、太陽と装置とのなす角が90度である。
求める角度aは太陽光パネルの時と同じ考えである。
南中高度+90+a=180
a=90ー南中高度
南中高度が52度より
a=90-52
a=38°
年間の熱量の受け方の変化
5 測定した地点で、太陽が南中する時刻に、装置A, Bの水が太陽から受け取るエネルギーの量は、1年を通してそれぞれどのように変化すると考えられるか。次のア~エから1つ選びなさい。ただし、地表に届く太陽エネルギーの量は、1年を通して変わらないものとし、装置が水平な地面となす角度と南中高度 との関係から考えることとする。
この実験は8月に行われたので南中高度が大きく、装置Aの方が熱量を多く蓄えらと考えられる。
装置Aは夏至の時に一番、熱量を多く受け取る、
装置Bは冬至の時に一番、熱量が小さい。
装置Bは冬至の時に一番、熱量を受け取る。
装置Bは夏至の時に一番、熱量が小さい
これから装置Aと装置Bは逆の関係にある。これを示しているのは
アとウである。
2つの違いはBの曲線である。
一年を通じて太陽エネルギーの量は同じであるから。装置Aの最大の熱量と装置Bの最大の熱量の大きさは同じで最小のエネルギーの大きさも同じである。
よって、エになる。
教科書参照
この実験は「理科の世界3年」p245(大日本図書)にある。
光の量の違いはp246にある。当たる面に対して斜めになるほど光の量が少なくなる。
水の温度上昇の実験は
「理科の世界2年」p190(大日本図書)にある。
p187に電力と熱量の関係で水の温度上昇の実験を扱っている。
2年生で習う熱量の計算を3年生で習う太陽の南中高度との関係と一緒に出題されている。
二つの知識がばらばらの場合解けない問題である。
太陽の高度と四季の気温の変化(2020年大分)(2016年長野)
四季の変化はなぜ起こるか
太陽の高度と四季の気温の変化に何か関係があるのではないかと考えた2人は,次の課題を設定し て予想を立て,解決するための実験方法を考えた。
【課 題 】 夏の方が冬よりも,気温が高いのはどうしてだろうか。
【予想】夏の方が冬よりも,太陽の南中高度が高いから。
【実験方法】 太陽光があたる角度と温度変化の関係を調べる。
そこで2人は、ある年の1月下旬に大分県のある地点で,次の実験を行った。
III 黒い紙をはった同じ面積の長方形の板A,Bを準備し, 太陽光があたる角度と温度変化の関係について調べた。
6 [図4] のように,板Aには、板の面に太陽光が垂直にあたるよう調節し,板Bは,水平な位置に置いた。 7 赤外線放射温度計を用いて,2分おきに 10分間,板A 板A,Bの表面温度をはかった。
7 [図5] は,その結果をグラフにまとめたものである。
(5) 次の文は、「7」の結果から,2人が考察したときの会話の一部である。正しい文になるように, ( )に当てはまる語句を簡潔に書きなさい。ただし,「面積」「光の量」という2つの語句を用いて書くこと。
太郎:「図5] の温度の測定結果から,太陽光が垂直にあたる板Aの方が早く温度が上昇しているので、太陽の高度が高い方が,早く温度が上昇するといえるね。
花子:でも,なぜ太陽の高度が高い方が,早く板A 温度が上昇するのだろう。
太郎:[図6] のように考えると,太陽の高度が高い方が,低い方よりも ( )
からだよ。
花子:なるほどね。でも太陽の南中高度が高い方が,気温が高くなる理由は,本当にそれだけかしら。
新たな疑問が生じた2人は,それを解決するため、続けて次の観察を行った。
IV 太陽の1日の動きについて調べた。
8 [図7]のように,水平な位置に置いた白い紙に透明太陽光、 半球と同じ直径の円をかき、円の中心を通る2本の直 角な線を引いた。方位磁針で東西南北を合わせ,透明
半球を固定した。
9 9時に油性ペンの先端Aの影が円の中心と一致する半球上の位置に,丸印とその時刻を記入した。15時ま で、1時間おきに記録し、記録した点をなめらかな線で結んだ。
10 8,9を,同じ地点で,半年後の7月下旬に行った。 【図8]は, 8 ~ 10 の結果を,模式的に表したものである。
(6) [図8]をもとに考えると,会話文の ( )以外にもう一つ,夏の方が冬よりも気温が高くなる理由があることがわかる。その理由を,簡潔に書きなさい。
考え方
図4のように光が垂直に当たるようにしておいた板Aは最高温度に達するまでの時間が2分、最高温度が50度だった。
板Bは最高温度に達するまで4分、最高温度は30度だった。
このことから、垂直に当てたほうが、最高温度に達する時間が短く、最高温度も高いことがわかる。
これが起こった理由を図6のように太陽の光が斜めから等間隔に当たる模式図で考えると
板Aには太陽の光が6本
板Bには太陽の光が4本
当たっていることになる。
これは同じ面積に当たる太陽の光の量が板Aの方が板Bよりも多いことを示す。
空欄には 同じ面積に当たる光の量が多い と答える
太陽の南中高度が大きくなると板Aのように光が垂直に近く当たるようになる。
夏は南中高度が高いため、光が垂直に当たれば当たるほど、温度上昇が大きい。
光が当たる面積の大きさだけで気温の上昇が決まるかどうかを、透明半球を用いて1月と7月の太陽の日周運動を比較すると、
1月は南寄りから太陽は昇り、南寄りに太陽は沈む
7月は北寄りから太陽は昇り、北寄りに太陽は沈む
このことから、昼間の長さを比較すると、1月よりも7月の方が昼間の長さは長いことがわかる。
1月は冬、7月は夏なので夏の方が、昼間の長さが長いことがわかる。
このことから
(6)太陽光の当たる時間が長いから
夏の方が冬よりも暑いのは
1 南中高度が高いため、同じ面積に当たる光の量が多い
2 昼間の時間が長いため、太陽光の当たる時間が長い
この二つが考えられる
この大分の問題では出題されていないが、このように季節によって、太陽の光の量や光の当たる時間が変化する理由を答えなさいというのが定番問題としてある。
これは、
地球の地軸が公転面に垂直な方向に対して23.4度かたむいているため
と答える。
南中高度に関する解説動画
南中高度の計算の仕方(東京)の解説動画
太陽パネルの角度と発電能力(2016年長野)
日本で,太陽光発電パネルを設置するときの傾きについて調べた。
【実験1] 光電池の傾きをかえて発生する電流の大きさを調べた。 図1のように,太陽の光が光電池に垂直に当たる傾きにしたとき太陽の光 電流が最も大きくなった。
図5のように,光源の光をAは斜めから,Bは垂直に,地面に図5 当てる。ただし,光の量は同じで,光は広がらずに平行なまま進むものとする。光が地面に当たる部分の面積を比べると, Bの方がAよりも(小さい )。したがって,1cm2あたりに当たる 光の量はBの方がAよりも( 大きい )。
二つの問題の違い
2020年の大分県の問題と2016年の長野県の問題はどちらも光を垂直に当てた時と斜めに当てた時で光の量がどうなるかについて答える問題である。
長野県の問題では
光を斜めからあてると、光の当たる面積が大きくなる
光の量は同じとすると面積が広くなった分、同じ面積に当たる光の量は小さくなる。
光を真上からあてると、光の当たる面積は小さくなる
光の量は同じとすると面積が小さくなった分、同じ面積に当たる光の量は多くなる。
これを大分の問題では
同じ面積に当たる光の量は角度が大きくなるほど多くなる
となっている。
この分野では同じことを聞くのに答え方を変えるというのが難しい所である。
秋分の日の影の動き(2016年広島)
太陽の光によってできる影の長さと向きは,時間の経過とと、 もに変化します。美咲さんは,右の図に示した装置を用いて,家の近くで,秋分の日の8時から16時まで, 太陽の光によって できる棒の影の先端の位置を1時間ごとに記録用紙に記録し,記録用紙 滑らかな線で結びました。これについて,次の(1)・(2)に 答えなさい。
太陽の見かけの運動
(1)次の文章は,太陽の動きについて述べたものです。文章中の空欄に当てはまる語を書きなさい。
棒の影の向きが時間の経過とともに変化するのは,太陽が朝,東の地平線から昇り,夕方 西の地平線に沈んでいくからである。太陽のこの動きは,地球の自らの回転によって生じる 見かけの動きである。この見かけの動きを太陽の( 日周運動 )という。
秋分の日の影
(2)次のア~エの中に,図中の記録用紙にかかれた線を示したものがあります。それはどれですか。その記号を書きなさい。
この日は世界中どこでも太陽は真東から上って真西に沈む。
春分の日影曲線が直線なのは? | 中学受験理科の玉手箱より図を引用
赤道では真上に南中します。
上の図を見ると東から南に結んだ半円が太陽の道筋になります。
この円の直径上に常に影ができることになります。
この円弧の長さは世界中同じなのがこの春分の日、秋分の日なのです。
ということは影は透明半球の直径上にできる条件は変わらないわけです。
だから直線になります。
中3理科 春分・秋分・夏至・冬至の影の動きまとめと問題より引用
ア 冬至 北西から南、そして北東。夕方の影が長い
ウ 夏至 西南西から、南(影が短い)、東南東、影が短い
光電池を2種類の置き方でおく
美咲さんは,屋根に設置された太陽光発電のパネルを見て,効率よく太陽の光を受けて発電する光電池の傾き について興味をもち,光電池の傾きと発電される電力と の関係を調べる実験をしました。次に示したものは,こ の実験の方法と結果です。また,表は,この実験を した場所における春分,夏至,秋分,冬至の日の太陽の 南中高度を示したものです。これについて,下の(1)・ (2)に答えなさい。
太陽の南中高度(度) | |
春分の日 | 56 |
夏至 | 79.5 |
秋分の日 | 56 |
冬至 | 32.6 |
〔方法〕
I 図に示した,性能が同じ光電池とモーターをつないだ装置を2つ用意する。
II 家の近くで,秋分の日の正午頃,図中の光電池Aは 水平になるように,光電池Bは南中した太陽の光が垂 直に当たるように,それぞれ日なたに置き,太陽の光を当ててモーターの回る速さを調べる。
[結果]
・光電池Bにつないだモーターの方が速く回った。
・光電池Bの水平な地面からの角度は, ( )度であ った。
秋分の日の太陽電池の傾き
(1) [結果]の空欄に当てはまる値を書きなさい。
図のaを求める
南中高度+90+a=180
秋分の日より 南中高度は表から56
56+90+a=180
a=34
34度
水平に置いたときの発電
(2) 美咲さんは,広島で,光電池を日当たりのよい場所に水平になるように置いたとき,春分,夏至, 冬至の日の中で,1日に発電される電力量が最も多くなる日について考察しました。次 の文章は,美咲さんの考察の一部です。文章中の1 に当てはまる日を,下のア~ウの中 から選び,その記号を書きなさい。また, 「2 に当てはまる内容を,「光電池」の語 を用いて簡潔に書きなさい。
1日に発電される電力量が最も多くなる日は,(1 夏至の日 ) だと考える。それは,ほかの日に 比べて,(2 太陽の光が光電池に当たる角度が垂直に近く、昼間の長さが長い )から,1日に光電池が太陽から受ける光エネルギーの量が多くなるためである。
太陽パネルの角度(2014年大分)(2017年宮崎)(2019年山口)
黒い紙が熱くなる(2014ねん大分)
大分県内のある地点X(北緯 33.4 °)で,次の観察・実験を行った。
冬至の日の正午頃に,地点Xで[図4] のように,厚紙にはった同じ大きさの黒い 紙a~dを南に向け,水平面とのなす角度 を順に90°,60°, 30°,0°になるように 置いた。赤外線放射温度計で2分おきに南 10分間,黒い紙a~dの表面温度をはか った。 [図5は,その結果をグラフにまとめたものである。
太陽の光が黒い紙に当たる角度が垂直に近いものほど,表面温度が早く上昇した。[図7]のような太陽光 発電の発電量も,5で温度が早く上昇したのと同じ理由で 大きくなるとすると,地点Xで,春分の日の太陽が南中す る時刻に発電量が最大になるのは,太陽光発電のパネルと太陽光発電のパネルと水平面とのなす角」 水平面とのなす角が何度のときか,求めなさい。
冬至の日の南中高度は
90-緯度+23.4
=90-33.4-23.4=33.2度
太陽パネルの角度をaとして、
南中高度+90+a=180
a=180ー南中高度-90
a=90-33.2
a=56.8
図5のグラフから bの時の角度60度の時に温度が一番高くなることと、この時の南中高度が一致する。
問題は春分の日の角度である。ここがミスをしてしまうところである。冬至の記録を使っているのに問題は春分の日なのだから。
ここで南中高度の式の覚えかた
まず、昼間の長さが12時間の日は1年に2回しかない。
この時は地球の地軸が傾いている影響を受けない。太陽は真東から上って真西に沈む。
赤道では、一日中太陽が真上になる。
そのため。赤道では、図のオのようになる。
また緯度が高くなるとアのように南中高度は低くなる。
日本での透明半球の作図はウのようになる。
赤道の南中高度は90度
で求められる。
この南中高度の大きさを基準として夏至では一番南中高度が高くなる。
地軸の傾き23.4をたすか、ひくかと言ったら、南中高度を大きくするには足す
夏至の南中高度=90-緯度+23.4
冬至は一年で一番、南中高度が低いから23.4をひく
冬至の南中高度=90ー緯度ー23.4
問題は春分の日の南中高度を使う。
しかし
南中高度+90+a=180
a=90ー南中高度
a=90―(90-緯度)
という関係式から
a=緯度
である、
よって、答えは33.4度
南中高度と発電量(2017年宮崎)
宮崎市内に住む誠二君は,学校で光電池について調べるために,次のよう な実験を行った。次の1,2の問いに答えなさい。
1 誠二君は,太陽の光が当たる角度と光電池の発電量の関係について調べるために, 12月14日の太陽がほぼ真南にきたとき,実験 I を行い,結果を表にまとめた。
下の文は,実験についての先生と誠二君の会話である。下の(1)~(3)の問いに答えなさい。
実験
1 図Iのような装置で,光電池の面を真南に向け,太陽の光を当てた。
2 光電池の面と,地面に平行な台がつくる aの角度(図I)を,30° ずつ変えていき,それぞれのときの電流の値をはかった。
先生: 実験 I で,電流の値が大きいのは,aの角度が何度くらいのときですか?
誠二 : 60°くらいです。光電池の面を太陽の方に向けたときに,電流の値が大きくなっています。
先生: そうですね。実は,光電池の面を太陽の光に対して垂直にしたときが,発電
量が最も大きくなります。
誠二: では,1日のうちで発電量が最も大きいときのaの角度は,南中高度がわかれば、求められますね。
(1) 図IIIは,この日の天球上の太陽の動きを示したもの図III である。太陽が最も高くなった位置をFとしたとき,南中高度を表す角度として適切なものを,次のア~エ から1つ選び,記号で答えなさい。
ア ∠BFD イ ∠EFG ウ ∠FCA エ ∠FOA
(2) 下線部について,この日の南中高度は35° であったとすると,この日,発電量が最も大きいときのaの角度は何度と考えられるか,求めなさい。
南中高度+90+a=180
a=180-90-南中高度
a=90ー南中高度
南中高度=35より
a=90-35
a=65
65度
ということで、実験で求めた60度に近い
(3) 次の文は,誠二君がこの実験をもとに,aの角度について,さらに調べてまとめ たものである。次の文のア,イに,適切な言葉を入れなさい。
同じ地点で,3か月後に同じ実験を行うと,太陽の南中高度がア( )なるので光電池の発電量が,最も大きくなるときのaの角度は,実験を行った日よりもイ( )なる。
実験をした日は冬至(12月21日)に近いので、南中高度が低い時期である。
これより、3か月後は南中高度は大きくなる。すると図のようにaの角度は小さくなる。
図 aの角度の変化
春分の日の実験(2017年山口)
春分の日に,山口県の北緯 34° の日あたりのよい場所で実験を行った
[実験]
1 図3のように太陽電池と電流計をつないだ装置をつくり,正午 ごろに,太陽電池のパネル面を南に向けて,水平な場所に置いた。 図4は、太陽電池のパネル面を 真横から見た模式図である。
2 図4に示すように,水平面と太陽電池のパネル面のなす角を 角aとし,角a の角度を0°~90° まで10° ずつ変化させたときの 電流計の値を記録した。
3 2の記録をもとに,角aの角度と電流計の値との関係を表す グラフを,図5のようになめら かな曲線でかいた。
図5から, 角 a の角度が 30 から 40°の間のとき,電流が最も大きくなる ことが推測できる。次の文章が,角aの角度が 30 から 40° の間のときに電流が最も大きくなる理由 を説明したものとなるように,図6を もとにしてAにはあてはまる数値 を, B には適切な語をそれぞれ 書きなさい。
山口県の北緯 34° の地点においては,春分の日の太陽の南中高度はA( )度である。 [実験]を行った春分の日に太陽が南中したとき,角aの角度を 34° にすると,太陽 電池のパネル面に対して、B( )な方向から太陽の光があたるため,太陽電池の パネル面が受けとる光の量が最も多くなるから。
春分の日の南中高度は
90―緯度なので
90ー34=56度
太陽電池パネルはパネルの面に対して垂直な方向に太陽の光が当たると発電量が大きくなる
ポイント
太陽光パネルの実験は定番問題である。
- 南中高度を求める
- 太陽パネルの角度を求める
太陽光発電は発電時に二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーの一つである。
しかし、太陽光発電は天気に左右され、一定量の発電量を得ることができないのでベース電源(ほかの発電所や送電システムを動かすための電源)として利用するのが難しい。
ベース電源として原子力発電が使われてきたが、2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以来、稼働している原子力発電所が少なくなっている。
その代わりに、火力発電所が多くつかわれ、二酸化炭素排出の問題が出ている。
そして、火力発電所は事故で動かなくなると、他の発電所の稼働も止まることがある。
火力発電は電力量を調整することが可能であるが2018年に起きた平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震により、苫東厚真発電所が止まった時は、北海道の電力の半分を供給していた発電所だったため、他の発電所に大きな負荷がかかり、北海道全域の発電、送電システムが止まるというブラックアウトが起こった。
これを教訓にして、電力の多様性が求められてきた。大出力の火力発電所だけに頼るのではなく、再生可能エネルギーによる発電である。
しかし、再生可能エネルギーは安定供給ができないという問題を持っている。
九州電力では秋は、需要よりも太陽光発電による供給が増えてしまうので太陽光発電による電力を買いとらない制度を使っている。
昨今、化石燃料を使うため、電気代が高騰しているなか化石燃料を使わない太陽光発電を使わないという矛盾が起きている