太陽パネルの角度(2014年大分)(2017年宮崎)(2019年山口)
黒い紙が熱くなる(2014ねん大分)
大分県内のある地点X(北緯 33.4 °)で,次の観察・実験を行った。
冬至の日の正午頃に,地点Xで[図4] のように,厚紙にはった同じ大きさの黒い 紙a~dを南に向け,水平面とのなす角度 を順に90°,60°, 30°,0°になるように 置いた。赤外線放射温度計で2分おきに南 10分間,黒い紙a~dの表面温度をはか った。 [図5は,その結果をグラフにまとめたものである。
太陽の光が黒い紙に当たる角度が垂直に近いものほど,表面温度が早く上昇した。[図7]のような太陽光 発電の発電量も,5で温度が早く上昇したのと同じ理由で 大きくなるとすると,地点Xで,春分の日の太陽が南中す る時刻に発電量が最大になるのは,太陽光発電のパネルと太陽光発電のパネルと水平面とのなす角」 水平面とのなす角が何度のときか,求めなさい。
冬至の日の南中高度は
90-緯度+23.4
=90-33.4-23.4=33.2度
太陽パネルの角度をaとして、
南中高度+90+a=180
a=180ー南中高度-90
a=90-33.2
a=56.8
図5のグラフから bの時の角度60度の時に温度が一番高くなることと、この時の南中高度が一致する。
問題は春分の日の角度である。ここがミスをしてしまうところである。冬至の記録を使っているのに問題は春分の日なのだから。
ここで南中高度の式の覚えかた
まず、昼間の長さが12時間の日は1年に2回しかない。
この時は地球の地軸が傾いている影響を受けない。太陽は真東から上って真西に沈む。
赤道では、一日中太陽が真上になる。
そのため。赤道では、図のオのようになる。
また緯度が高くなるとアのように南中高度は低くなる。
日本での透明半球の作図はウのようになる。
赤道の南中高度は90度
で求められる。
この南中高度の大きさを基準として夏至では一番南中高度が高くなる。
地軸の傾き23.4をたすか、ひくかと言ったら、南中高度を大きくするには足す
夏至の南中高度=90-緯度+23.4
冬至は一年で一番、南中高度が低いから23.4をひく
冬至の南中高度=90ー緯度ー23.4
問題は春分の日の南中高度を使う。
しかし
南中高度+90+a=180
a=90ー南中高度
a=90―(90-緯度)
という関係式から
a=緯度
である、
よって、答えは33.4度
南中高度と発電量(2017年宮崎)
宮崎市内に住む誠二君は,学校で光電池について調べるために,次のよう な実験を行った。次の1,2の問いに答えなさい。
1 誠二君は,太陽の光が当たる角度と光電池の発電量の関係について調べるために, 12月14日の太陽がほぼ真南にきたとき,実験 I を行い,結果を表にまとめた。
下の文は,実験についての先生と誠二君の会話である。下の(1)~(3)の問いに答えなさい。
実験
1 図Iのような装置で,光電池の面を真南に向け,太陽の光を当てた。
2 光電池の面と,地面に平行な台がつくる aの角度(図I)を,30° ずつ変えていき,それぞれのときの電流の値をはかった。
先生: 実験 I で,電流の値が大きいのは,aの角度が何度くらいのときですか?
誠二 : 60°くらいです。光電池の面を太陽の方に向けたときに,電流の値が大きくなっています。
先生: そうですね。実は,光電池の面を太陽の光に対して垂直にしたときが,発電
量が最も大きくなります。
誠二: では,1日のうちで発電量が最も大きいときのaの角度は,南中高度がわかれば、求められますね。
(1) 図IIIは,この日の天球上の太陽の動きを示したもの図III である。太陽が最も高くなった位置をFとしたとき,南中高度を表す角度として適切なものを,次のア~エ から1つ選び,記号で答えなさい。
ア ∠BFD イ ∠EFG ウ ∠FCA エ ∠FOA
(2) 下線部について,この日の南中高度は35° であったとすると,この日,発電量が最も大きいときのaの角度は何度と考えられるか,求めなさい。
南中高度+90+a=180
a=180-90-南中高度
a=90ー南中高度
南中高度=35より
a=90-35
a=65
65度
ということで、実験で求めた60度に近い
(3) 次の文は,誠二君がこの実験をもとに,aの角度について,さらに調べてまとめ たものである。次の文のア,イに,適切な言葉を入れなさい。
同じ地点で,3か月後に同じ実験を行うと,太陽の南中高度がア( )なるので光電池の発電量が,最も大きくなるときのaの角度は,実験を行った日よりもイ( )なる。
実験をした日は冬至(12月21日)に近いので、南中高度が低い時期である。
これより、3か月後は南中高度は大きくなる。すると図のようにaの角度は小さくなる。
図 aの角度の変化
春分の日の実験(2017年山口)
春分の日に,山口県の北緯 34° の日あたりのよい場所で実験を行った
[実験]
1 図3のように太陽電池と電流計をつないだ装置をつくり,正午 ごろに,太陽電池のパネル面を南に向けて,水平な場所に置いた。 図4は、太陽電池のパネル面を 真横から見た模式図である。
2 図4に示すように,水平面と太陽電池のパネル面のなす角を 角aとし,角a の角度を0°~90° まで10° ずつ変化させたときの 電流計の値を記録した。
3 2の記録をもとに,角aの角度と電流計の値との関係を表す グラフを,図5のようになめら かな曲線でかいた。
図5から, 角 a の角度が 30 から 40°の間のとき,電流が最も大きくなる ことが推測できる。次の文章が,角aの角度が 30 から 40° の間のときに電流が最も大きくなる理由 を説明したものとなるように,図6を もとにしてAにはあてはまる数値 を, B には適切な語をそれぞれ 書きなさい。
山口県の北緯 34° の地点においては,春分の日の太陽の南中高度はA( )度である。 [実験]を行った春分の日に太陽が南中したとき,角aの角度を 34° にすると,太陽 電池のパネル面に対して、B( )な方向から太陽の光があたるため,太陽電池の パネル面が受けとる光の量が最も多くなるから。
春分の日の南中高度は
90―緯度なので
90ー34=56度
太陽電池パネルはパネルの面に対して垂直な方向に太陽の光が当たると発電量が大きくなる
ポイント
太陽光パネルの実験は定番問題である。
- 南中高度を求める
- 太陽パネルの角度を求める
太陽光発電は発電時に二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーの一つである。
しかし、太陽光発電は天気に左右され、一定量の発電量を得ることができないのでベース電源(ほかの発電所や送電システムを動かすための電源)として利用するのが難しい。
ベース電源として原子力発電が使われてきたが、2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以来、稼働している原子力発電所が少なくなっている。
その代わりに、火力発電所が多くつかわれ、二酸化炭素排出の問題が出ている。
そして、火力発電所は事故で動かなくなると、他の発電所の稼働も止まることがある。
火力発電は電力量を調整することが可能であるが2018年に起きた平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震により、苫東厚真発電所が止まった時は、北海道の電力の半分を供給していた発電所だったため、他の発電所に大きな負荷がかかり、北海道全域の発電、送電システムが止まるというブラックアウトが起こった。
これを教訓にして、電力の多様性が求められてきた。大出力の火力発電所だけに頼るのではなく、再生可能エネルギーによる発電である。
しかし、再生可能エネルギーは安定供給ができないという問題を持っている。
九州電力では秋は、需要よりも太陽光発電による供給が増えてしまうので太陽光発電による電力を買いとらない制度を使っている。
昨今、化石燃料を使うため、電気代が高騰しているなか化石燃料を使わない太陽光発電を使わないという矛盾が起きている