太陽の熱による温度上昇(2012年滋賀)
太陽の光に光による温度上昇
【実験】
図1のように、ボトル缶のキャップに開けた穴にデジタル温度計を差し込み、缶全体を黒色の画用紙でおおった後,直方体の発泡ポリスチレンに半分埋め込んだ装置を3つ用意し、A~Cとした。 8月のある日の正午ごろに、それぞれのボトル缶に,くみ置きした 水を300gずつ入れた。次に,図2のように、日光が当たる場所で、 装置を真南に向けて並べ、水平な地面となす角度を30度,60度,90度 になるようにして固定した。その後,装置A~Cの水の温度を10分 ごとに90分間測定した。図3はその結果をまとめたものである。
【調べ学習】
測定した地点での、1年間の太陽の南中高度を調べた。図4はその結果をまとめたものである。
実験前に行うこと
1 実験で、水をくみ置きしたのは何のためか。書きなさい。
水をくみおきしておかず、水道水をそのまま使ったら、水温水の温度はは\\気温と異なってしまう。(夏場は水道水が熱いということも考えられる)
太陽のエネルギーを得て温められたのか、はじめに水が持っていた熱が関係しているのかわからない。
そのため、くみおきして
水温と気温との差を小さくするため
この作業を行った。これは、実験をする準備としてよく行う。
水温を測定する実験では、室温と同じ温度になるように、くみ置きの水を使う。
装置が受け取る熱量
2 実験で、装置Aに90分間日光が当たったとき,1分間に装置の水が受け取った平均の熱量は何Jか、求めなさい。ただし、1calは4.2J とする。
装置Aに光が当たって温度を上昇させたとき、比例直線になっていないので時間と温度上昇は比例していない。そこで使われるのが、「平均の熱量」である。
90分では 24度から42度に温度上昇した 42-24=18℃温度が上昇した。
水1gを1℃上げるのに必要な熱量が1calである。
装置Aには水300g使われているので
calの熱量が水に加えられている。
1calは4.2Jよりこの熱量を4.2倍するとジュールに変換できる、
さらに1分間当たりなのでかかった時間の90でわると求める熱量が出る..
=
==252J
この計算でも、理科の計算の鉄則でかけ算は途中で行わないで最後に約分を考える。
42-24=18
18=2✕9
と約分できる形に持っていくのが勝負である。
地軸が傾くと起こる現象
3 太陽の南中高度が1年を通して変化するのと同じ理由で起こることは何か。次のア~エから1つ選びなさい。
ア 日の出,日の入りの方位が変化する。
イ 同じ時刻に見える月の位置が変化する。
ウ 金星の見かけの形と大きさが変化する。
エ 太陽の黒点の位置が変化する。
太陽の南中高度が1年を通じて変化するのは地球の地軸が公転面に対して垂直な方向から23.4度かたむいているためである。
地軸が傾いていなくても起こる現象は答えにはならない。
ア 日の出は夏至では北東、春分では真東、冬至は南東、日の入りは夏至は北西、春分は真西、冬至は南西。という風に変化する
地軸の傾きが無ければ一年中真東から上って真西に沈む。日の出、日の入りの方位が変化するのは地軸の傾きのせいである。
イ 月の見え方が変わるのは月が地球の周りを公転しているからで地軸の傾きとは関係がない
ウ 金星の見かけの形と大きさが変わるのは金星が太陽の周りを公転しているためであり、地軸の傾きと関係がない
エ 太陽の黒点の位置が変化するのは太陽の自転によるためであり。地軸の傾きとは関係がない。
よって、答えはアになる。
南中高度から装置の角度を求める
4 10月1日の太陽が南中する時刻に,装置の水が最大の熱量を受け取るには、装置が水平な地面となす 角度を何度にすればよいか。書きなさい。
今回この滋賀県の問題を取り上げたのは、南中高度を計算で求めるのではなく、図から求めるものだからである。そして考え方は太陽光パネルと同じである。
図より10月1日の南中高度は52°である。
最大の熱量を受けるとき、太陽と装置とのなす角が90度である。
求める角度aは太陽光パネルの時と同じ考えである。
南中高度+90+a=180
a=90ー南中高度
南中高度が52度より
a=90-52
a=38°
年間の熱量の受け方の変化
5 測定した地点で、太陽が南中する時刻に、装置A, Bの水が太陽から受け取るエネルギーの量は、1年を通してそれぞれどのように変化すると考えられるか。次のア~エから1つ選びなさい。ただし、地表に届く太陽エネルギーの量は、1年を通して変わらないものとし、装置が水平な地面となす角度と南中高度 との関係から考えることとする。
この実験は8月に行われたので南中高度が大きく、装置Aの方が熱量を多く蓄えらと考えられる。
装置Aは夏至の時に一番、熱量を多く受け取る、
装置Bは冬至の時に一番、熱量が小さい。
装置Bは冬至の時に一番、熱量を受け取る。
装置Bは夏至の時に一番、熱量が小さい
これから装置Aと装置Bは逆の関係にある。これを示しているのは
アとウである。
2つの違いはBの曲線である。
一年を通じて太陽エネルギーの量は同じであるから。装置Aの最大の熱量と装置Bの最大の熱量の大きさは同じで最小のエネルギーの大きさも同じである。
よって、エになる。
教科書参照
この実験は「理科の世界3年」p245(大日本図書)にある。
光の量の違いはp246にある。当たる面に対して斜めになるほど光の量が少なくなる。
水の温度上昇の実験は
「理科の世界2年」p190(大日本図書)にある。
p187に電力と熱量の関係で水の温度上昇の実験を扱っている。
2年生で習う熱量の計算を3年生で習う太陽の南中高度との関係と一緒に出題されている。
二つの知識がばらばらの場合解けない問題である。