令和4年度 宮城県 県立高校入試 理科 解説
主体的な深い学び
今年の入試を一言で表すなら「主体的な深い学び」を重視した問題が出題されたということである。
これは2021年度に中学校で完全実施された中学校学習指導要領に沿っている内容である。
主体的な深い学びとは何か
事項の暗記だけではなく、実験観察によって何がわかるのか
実験観察によって何を知りたいのか
この実験結果から何がわかるのか
これは今までも、よく問われてきた、
ことしから多くなったのは
「仮説を立てる」ということである
この仮説を証明するにはどのような実験をしなくてはいけないか
この仮説が正しいとどういう実験結果が得られるか
この仮説に対してこの実験方法は正しいか
そして実験結果の振り返りを行う。
宮城県の入試問題の入手先
3月4日に実施された宮城県の県立高校の入試問題は東進ハイスクールのサイトで無料で参照することができる。
問1 血液の循環・伊豆大島火山
血液の循環は多くの県で出題されている。
酸素を多く含む血液が流れている血管と血液の名称を聞く問題がよく出される。
血管の名称は
心臓から出る血管を動脈
心臓に入る血管を静脈
血液の名称は
酸素を含む血液を動脈血
酸素が少ない血液を静脈血
となっているが、肺から心臓に入る血管は 肺静脈 なのに、流れている血液は 動脈血である。
伊豆大島火山の出題
日本の火山は、爆発的な噴火を伴い溶岩の色は白っぽいものが多い。
よく出題されるのが、雲仙普賢岳である。火山の形はドーム型になる
ところがそれとはまったく正反対の穏やかな噴火で、溶岩の色が黒っぽいのが多い伊豆大島、ハワイのキラウェア火山などが出題されるのは珍しい。
さらに、防災の問題としてハザードマップの見え方まで出題されている。
問1 ダニエル電池
ダニエル電池は2021年から初めて中学校の学習指導要領に登場した内容である。
電流の流れる方向が今回出題された。
ダニエル電池は中三の内容だが中二の物理で習ったオームの法則を使った計算問題は深い学びがなければとくことができない。
問2 オオカナダモの呼吸と光合成
この問題こそ、主体的な深い学びの典型的な問題である。
BTB溶液は何のために使うのか
BTB溶液からわかることは何か
BTB溶液の結果がどのようになっていればよいか
対照実験は何か
これは今までの出題にはない。
問3 透明半球を使った実験
定番問題である日の出の時刻の求め方
今までにない、地軸の傾きが22度になった時の日周運動
など地学分野は考えを深める問題が多くなっている。
問4 ばねの伸びと三角形
フックの法則という語句を答えるとか、グラフを作成するとかいう問題ではなく
グラフから伸びを求めるという応用問題から出題された
斜面上に置かれた台車にはたらく力とばね
これは中1で習う物理分野の問題の総まとめになっていた。
「力とは何か」というよく忘れそうになるものが出題された
最後の同じばねの長さになるときのばねの伸びという問題の意味を理解することが難しい問題もあった
問5 硫酸バリウムの沈殿量
硫酸バリウムの沈殿は硫酸と水酸化バリウムの反応でよく出題されるが、硫酸と塩化バリウムという組み合わせは珍しい問題である。
これは、生徒実験では行われない実験である。
それは、塩化バリウムが重金属で有毒であるからである。
また沈殿の質量を求めるためにはろ過して、乾燥させるという手間がかかるが理科の授業時間内でここまでできない。
過不足ある反応というのは、塩酸と石灰石、塩酸と炭酸水素ナトリウムなどで二酸化炭素を発生させる実験
酸化銅と炭素の反応
などこの問題は定番な問題が多い。