令和4年度 埼玉県 県立高校入試 理科解説
新学習指導要領に準じた問題構成
2021年度に中学校で本格実施された新学習指導要領に沿った問題構成になっていた。
思考力、判断力を重視し、文章読解力が必要となるものが多かった。
また、計算力を必要とするものや比の考え方を使うものもあり、数学的思考力も必要となってきた
大問1は小問集合
今年から新たに教科書に入った事項であるダニエル電池がさっそく出題された。
おしべのやく
全反射
のように単なる知識を問うような問題が多かった。
フレミングの左手の法則を使うことができるか
化学反応式を理解しているか
などは基本問題である。
温暖前線を書くというのが少し応用的だが、昨年の愛知県や静岡県の過去問に同様の問題もあったので問題を多く見ていれば簡単であったであろう。
大問2 天文
春分の日を選ぶというのは、練習問題によくある定番問題である
日時計と南中高度の関係
天の北極と竹串の関係は思考力が必要であるが難しい問題ではない。
太陰暦に関する問題は思考力が必要な問題であった、
大問3 消化。血液の循環、呼吸
これも、消化酵素について暗記をしていれば楽に解ける問題である
柔毛、根毛、肺胞などは魔法の呪文「表面積が大きくなり効率よく養分などを取り込むことができるから」が書ければいい。
ヘモグロビンに関しては文脈からわかる
細胞内呼吸についても基本問題である
大問4 気体の水への溶けやすさ
気体の水への溶けやすさは高校で詳しく学習する内容である。
中学では各気体の性質を学ぶときに水への溶解性を覚える。
このような実験で出るのは、新傾向である。
気体の発生方法など、多くの知識を網羅的に知っていないと解けない問題になっていた
新学習指導要領に
実験を行う時には「見通しを持って」行うとあるので、実験手順についての問いが答えにくかったかもしれない。
大問5 ばねの伸び
他の分野がやさしめの問題だったので、物理分野はかなりの難問になっていた。
この問題で平均点の調整を行っているのであろう。
最初のばねAの性質をずっと使って問題を解かなければいけないので
フックの法則がわからない人はこの大問は全滅する危険がある。
グラフを書くのは基本的である。データも比例のグラフ上にすべて乗るのでグラフも書きやすい。
高校ではフックの法則はばね定数というのを詳しく扱う。ばね定数の考え方を持っているとときやすい。中1で学習する内容だけでこの分野を解くのは難しいかもしれない。
力の合成の作図は基本的なものである。コンパスを使ってもよい。とあるが、コンパスを使う方法を教えてほしい。
30度、60度。90度の三角形を使った計算は昨年から多くの県で出題されるようになった。
今年は√3=1.73として計算するようにという指示があり、100÷1.73という計算を行わなければ解けない問題があった。
計算力が必要な問題である、
科学的思考力に計算力が求められている
三角形の比を使うというのは高校で三角比を扱うのでその前段階となるものであるがかなり難しい問題である。
中高一貫教育で中学と高校の内容を同時に学習しているならいいが、現段階の公立中学では難しい。
全体的にみて
他教科でもいえることだが、文章がやたら長い。
文章を読まなくてとける問題が多いので、解答テクニックを知っている受験生は強いがそうでない生徒には手も足も出ないであろう。
埼玉県の問題は記述式が多いので採点者泣かせである。
最後の斜張橋の問題や水上置換法で気体を集めない理由では様々な珍解答が出現し採点者を困らせることであろう。