磁力と重力の合わせ技で圧力を求める(2014年山口)
[実験2]
1 電子てんびんに紙箱をのせ, 表示を0にした後, 紙箱の上に底面積10cm²”, 高さ2.5cm の円柱形をした鉄のおもりを置いた。紙箱は,電子てんびんが磁界の影響をなるべく 受けないようにするために使用した。
2 図2のように,電磁石をおもりの真上に離して固定し,電源装置,電流計,抵抗,電磁石を直列につないだ。
3 回路に流れる電流を0A~3.0Aまで0.5Aずつ変化させたときの電流計と電子てんび 電子てんびんの値を記録した。表1は,これをまとめたものである。
表1
電流計の値 [A] | 0 | 0.5 | 1 | 1.5 | 2 | 2.5 | 3 |
電子てんびんの値 [g] | 200 | 195 | 188 | 171 | 150 | 129 | 110 |
問題
4 表1から,それぞれの電流の大きさのとき,おもりが電磁石から受ける磁力の 大きさを求めた。ただし, 100g の物体にはたらく重力の大きさを1Nとする。
電子てんびんの値と単位の換算
(3) 実験2の3において,電流が1.0A のとき,紙箱の上面がおもりの底面から受ける圧力の大きさは何 N/m²か。求めなさい。
力のつり合いから
N=天びんが箱とおもりを押す力(垂直抗力)
F=電磁石がおもりを引く力
f= おもりとはこの重力
とすると
N+F=f
ここで、電流計の値が0Aのとき、電磁石による力がかかっていないので
F=0である。
このとき、f=N
この時の電子天秤の値は200gである
箱とおもりが電子天秤を押す力が200gの重さで2.00Nである。
Nは箱とおもりが電子天秤を押す力の反作用で大きさが同じ2.00Nになる。
電流計の大きさが1.0Aのとき、
おもりとはこが天びんを押す力は188gの重さであるので1.88Nである。
箱の底面積は10cm²である。
圧力は
=
=
ここで1cm=より 1cm²==であるから、
である。
よって、
=
=
=1880 N/m²
これは
N/cm²をN/m²に変換できるかという問題である。
このように単位変換に関する問題は圧力の問題ではよく出題される
N/cm² → N/m² に変換するときは10000倍する。
N/m² → N/cm² に変換するときは 倍する
という関係である。
センチ→メートルは倍、平方センチ→平方メートルでは平方は2乗するという意味だから、
=倍したいところだが、
単位のところでがと逆数になっているので、
の逆数の10000倍をかける。
メートル→センチはこの関係の逆だから10000の逆数の倍をかける。と覚えればいいと思ってしまう。
高校入試ではこう覚えても解けてしまうが、高校の物理基礎ではこの単位の換算が何度も出てくるので、倍または10000倍すると覚えずに、変換の仕方をマスターしたい。
山口県のこの年の高校入試でこの問題の正答率がかなり低かった。
この問題は正答率が低いということはよく知られていて、平均点調整で平均点を下げたいときはこの単位換算の問題を持ってくることが知られている。
だからこそ、これをできないというままではテスト作成者の思惑にはまってしまうので、単位換算は解けるようにしておきたい。
この問題では 電子天秤の値が示す188gというものが何を示しているのか
単位の換算
という二つの能力を同時にきいている。
(4) 実験2において,おもりには,磁力,重力,垂直抗力の3つ の力がはたらいている。次のア, イに答えなさい。
ア おもりにはたらいている3つの力を矢印で模式的に表すと どのようになるか。最も適切なものを次の1~4から選び,記号で答えなさい。
垂直抗力は天びんと箱が接しているところが作用点で上向き
重力は箱の中心で下向き
電流が流れるほど、天びんの示す値は小さくなるので、磁力はおもりを引き付ける力で上向きに引っ張る力である
これは4が答えになる。
イ 電流が2.0Aのとき,おもりにはたらく磁力の大きさは何Nか。求めなさい。
N+F=fで2.0Aのとき
はことおもりが天びんを押す力は 150gの力だから 1.50N
この力と垂直抗力は作用反作用の関係にあるのでN=1.50N
fは電流が流れようが流れなくてもf=2.00N
N+F=fに代入して
1.50+F=2.00
F=2.00-1.50
F=0.50N
磁力の大きさは0.50N
磁力とばねの男性力と重力の合わせ技はよく出ている。(2021年長崎)動画解説
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