【中三応援プログラム】タブレットのアプリを使った運動の観察(2021年沖縄)
2021年沖縄県の問題から
タブレットのアプリを使った運動の菅申の問題である。
運動の観察にはストロボ装置が用いられてきた。
このストロボ装置はとても高価なもので、生徒実験ができないものであった。
翔太 今日の理科の授業,ボールを落とす実験楽しかったね。記録テープではなく他の方法で同じ実験で きないかな。
理子 そう言えば私,最近タブレットを買ってもらったの。アプリで連続写真の機能も付いているのよ。
翔太すごいね。あっ!ボールを落とす実験をそのアプリで撮影しても同じような実験ができるのかな?
理子そうね。楽しそう。さっそく私の家でやってみましょう。
|一理子の家にて一||
翔太まず図1のように,ある高さからボールを静止させた状態から落として,落下するようすをタブレッ トのアプリで撮影しよう。落下距離が分かるよう にものさしを垂直に立てて、ボールの下がちょう どものさしの 0 cm のところに合うようにしよう。
理子 静止していた物体が真下に落ちる運動をなんて言ったかしら... 今日習ったのに、忘れちゃった。
翔太 「( A )」だよ。
理子 そうだったね。用意はいい?写すよ。
翔太見せて。いい感じに撮れているね。タブレットのアプリを使って撮影した記録を編集して落下距離 や落下時間を書き込むと,連続写真の結果は図2 のようになったよ。
理子では、グラフを作ってみるね。今日の授業で記録テープをグラフ用紙に貼ったから,同じように棒 グラフとしよう。はじめは 0.05 秒間に 1.3cm 落 下しているから,グラフ用紙のここまで色を塗る といいね。(区間5までの作業後)a完成したグラフ をよく見ると今日の授業のときと同じような棒グ ラフになっているね。
翔太 速さは増加しているかな?計算してb表にまとめよう。
理子 なるほど!この実験から「速さが増加するのは「( B )」ということがわかるね。
自由落下
問1 会話文中の( A )を表す運動名を漢字 4文字で答えなさい。
中学校段階では、斜面上を動く物体について主に学習する。そして、斜面の角度が90度になった時に自由落下になることにも触れることになっている。
今回の沖縄の問題はいきなり自由落下についての問題になった。
斜面の運動が本土では多く、地涌落下は珍しい問題である。
力の作図
問2 図3は図1で手を離した直後のボールのようすを表したものである。こ のとき,重さ2N のボールにはたらく重力を解答用紙の図に力の矢印で示 しなさい。ただし,力の作用点を●で示し,1目盛りは1N とする。
重力は鉛直下向き、作用点は物体の中央、大きさは2メモリ
問3 会話文中の下線部a の完成したグラフとして,最も適当なものを次のア~ウの中から1つ選 び記号で答えなさい。
図2でのボールの位置
0sのとき 0cm
0.05sのとき 1.3cm
間 5.1-1.3=3.8cm
0.10sのとき 5.1cm
間 11.2ー5.1=6.1cm
0.15sのとき 11.2cm
間 19.9-11.2=8.7cm
0.20sのとき 19.9cm
間 30.9--19.9=11.0cm
0.25sのとき 30.9cm
間 44.5-30.9=13.6cm
0.30sのとき 44.5cm
表のまとめてみる
時間 | 0 | 0.05 | 0.1 | 0.15 | 0.2 | 0.3 | 0.35 |
距離 | 0 | 1.3 | 3.8 | 6.1 | 8.7 | 11 | 13.6 |
グラフにしてみる
アのグラフが答えになる。
問4 会話文中の下線部 bについて,下の表1それぞれの区間の平均の速さをまとめている途中の ものである。区間1におけるボールの平均の速さ ( ア )を求めなさい。
時間 | 0 | 0.05 | 0.1 | 0.15 | 0.2 | 0.3 | 0.35 |
距離 | 0 | 1.3 | 3.8 | 6.1 | 8.7 | 11 | 13.6 |
速さ | 26 | 76 | 122 | 174 | 220 | 272 |
平均の速さ=0.05秒間の距離÷0.5s
ア=3.8cm÷0.05
76cm/s
問5 会話文中の( B )にあてはまる言葉として,最も適当なものを次のア~エの中から1つ 選び記号で答えなさい。
アボールにはたらく力がつり合うから
イ ボールにはたらく重力が徐々に大きくなるから
ウ ボールの運動の向きに力がはたらいているから
エ ボールがもつ力学的エネルギーが増えているから
ボールにはたらく力が釣り合ってしまったら速さは一定になる(等速直線運動)
これは雨粒が空気抵抗を受け、等速直線運動で落下するのと同じことである。
今回は当てはまらない。アではない。
重力は常に同じ大きさであるから、イではない
ウでは運動の向きに力が働いている。運動の向きに下向きに重力がかかっているが
言葉足らずである
ボールの運動の向きに一定の大きさの力が働いているからという風な答えでは無ければ正解ではない
エは力学的エネルギーは位置エネルギーと運動エネルギーの和であり、この大きさは一定である。増えているのは運動エネルギーであるから、
ボールが持つ運動エネルギーが増えているから
というのが正しい答えになる。
ということでアイウエすべて間違いである。
となるが、アイは完全な間違い
ウエのどちらかといえば、まだウの方が正解に近いのでウを答えとして選ぶ。
沖縄は受験者が少ないので、この問題に対して異議を唱える者はいなかったのかもしれないが、表現は厳密にいうと間違いである。