【中三応援プログラム】鉄と硫黄の反応(2021年徳島)
大掃除の季節、洗剤の使い方
洗剤には酸性、アルカリ性、中性がある。
それぞれどういう違いがあるか?
酸性は酸性で解けるものに対して使う。炭酸カルシウムなど水あかと呼ばれるものがこの炭酸カルシウム
アルカリ性はタンパク質や脂質を溶かす働きがある。生物由来の汚れはアルカリで溶かして落とす
中性洗剤は、水に溶けにくいものを水に溶けやすくする乳化作用を利用する。
気を付けたいのは使い方。特にアルカリ性洗剤
タンパク質や脂質を溶かすということは人体に対しても有害
だから、ゴーグルをつけたり手袋をして掃除をする、素手は危ない。
最近の実験の指導では、安全ゴーグルの使用というのが教科書に明記されるようになったが、まだまだ、有毒な気体が発生する可能性のある実験に対して
強力な排気システムを持つようにするなどの設備がない、
そのような設備のないまま、鉄と硫黄の反応がいまだに行われているのはどうにかしたい問題である。
この実験は1969年からずっと中学2年生の実験で行われてきている。
冬至は喘息を起こす生徒は少なかったが、今は起こさない生徒の方が少ない。
SDGsの観点から、再利用のできない試験管ばかりになる硫化鉄の生成をなんとかできないか。
半世紀たっても変わらない現状は何とかしたいと思いながら変わっていないのが現状である。
今日は2021年徳島の鉄と硫黄の反応という定番の問題を細かく取り上げてみました。
執権操作の目的をひとつひとつ丁寧に見ています。
また今年度、埼玉、青森、長崎、佐賀など多くの県で出題されている定番問題です。
中学2年生の実験でよく行われる実験です。
コロナ禍で実験ができないところはおおいですが、映像で見るよりも実際に実験室で体験してほしい実験です。
4 鉄と硫黄の混合物を加熱する実験を行った。(1)~(5)に答えなさい。
[実験]
1 図1のように、鉄粉3.5gと硫黄2.0gを、乳ばち でよく混ぜ合わせ、試験管 Aにその一を,試験管B に残りの分をそれぞれ入れた。
鉄が3.5g、硫黄が2.0gで鉄:硫黄=3.5:2.0=7:4
鉄と硫黄の比率が7:4の時に過不足なく、この反応は進む。
2図2のように、試験管Bの口に脱脂綿でゆるく栓 をしてから、試験管の中の混合物の上部を加熱し、硫黄2.0g 鉄粉と硫黄を反応させた。赤く色が変わり始めた ら,加熱をやめて、変化のようすを観察した。変 化が終わったら、加熱後の試験管Bを金網の上に置 き,温度が下がるのを待った。加熱後の試験管Bの 中には、黒い物質が生じていた。
ここで、脱脂綿で線をする理由を聞かれることがあるので答えられるようにしておこう。
硫黄の蒸気や粉末が試験管外に出るのを防ぐため。
加熱した硫黄は空気中の酸素と反応して有毒の二酸化硫黄に変化する。
二酸化硫黄は喘息を引き起こすのでこの実験を行うときは間期が必要である。
ここで、試験管の上部を加熱する理由
下部を加熱すると、熱がこもり完全に反応しない
発生した熱により試験管が割れる可能性がある
3 試験管Aと加熱後の試験管Bのそれぞれにフェライト磁石を近づけ、中の物質のつき方を比べた。
試験管Aは鉄と硫黄の混合物・・・鉄の性質がある(磁石につく)
試験管Bは鉄と硫黄が反応した生成物(硫化鉄)・・・鉄の性質はない(磁石につかない)
4 試験管Aの中身を試験管に、加熱後の試験管B の中身を試験管Dに,それぞれ少量ずつとり出して 入れた。その後、試験管C・Dのそれぞれに,5% 塩酸を2,3滴ずつ入れ、発生する気体のにおいを調べた。
加熱後の試験管Bの中身はかたくて取り出せない。試験管を割って取り出す
試験管C・・鉄と硫黄の混合物なので鉄と塩酸が反応する→水素発生
無臭の気体
試験管D・・硫化鉄と塩酸が反応する→硫化水素発生
たまごの腐ったようなにおい(孵卵臭)
という実験操作をしているということをポイントとして押さえて、問いを見る
一種類の原子からできている物質
(1) 鉄や硫黄は1種類の原子がたくさん集まってできている。このように、1種類の原子だけからできている物質を何というか、書きなさい。
一種類の物質からできている物質を純物質という
純物質には
一種類の原子からできている物質を単体
二種類の原子からできている物質を化合物
二種類の物質からできている物質を混合物という
化合物と混合物の違いが判らない人は次のように見分けよう
一つの性質しかないものが純物質である。
エタノールは沸点が78度という性質しかないので純物質である。
ワインはエタノールと水という沸点が違う物質が入っているので混合物
エタノールは炭素と酸素と水素という3種類の原子からできているので化合物
水は水素と酸素という二種類の元素からできているので化合物
水、エタノール は純物質
水、エタノール は化合物
ワインは 水とエタノールという二つ以上の物質からできているので混合物
発熱反応の説明
(2) 実験2では、加熱をやめても、しばらく反応が続いた。このとき,加熱をやめても反応が続いた理由として正しいものはどれか、アーエから1つ選びなさい。
アこの反応は吸熱反応であるため、反応によって温度が上がり、連続的に反応がおこるため。
イ この反応は吸熱反応であるため、反応によって温度が下がり、連続的に反応がおこるため。
ウこの反応は発熱反応であるため、反応によって温度が上がり、連続的に反応がおこるため。
エこの反応は発熱反応であるため、反応によって温度が下がり、連続的に反応がおこるため。
この反応は発熱反応で温度が上がる。連続的に反応が起こるウ
動画で解説(和歌山)
磁石との反応
(3) 実験3の結果を、試験管Aと加熱後の試験管Bのそれぞれについて書きなさい。また、その結果からいえることを書きなさい。
試験管Aは磁石につく
試験管Bは磁石につかなかった
このことから、反応後
加熱後にできた物質は鉄とは異なる物質である。
反応前と反応後の違い
(4) 実験1では、試験管C・Dからそれぞれ異なる性質の気体が発生した。次の文は、このと き試験管C・Dから発生した気体について述べたものである。正しい文になるように、文中の (1)()にあてはまるものを、C・Dからそれぞれ選びなさい。また,Cについて, アイのいずれかを選びなさい。
試験管(1)から発生した気体は、においがなかったが、試験管(2 )から発生し た気体は,3[ア プールの消毒のにおい イ卵の腐ったようなにおい」がした。
においがしない気体は水素が発生・・これは、試験管C
においがした気体は硫化水素が発生・・これは試験管D
硫化水素はたまごの腐ったようなにおい イ
消毒のようなにおいは塩素の説明
化学反応式
(5) 実験において、鉄と硫黄の混合物を加熱したときの変化を、化学反応式で書きなさい。
Fe+S → FeS
動画で解説(埼玉)
硫化鉄の問題は過不足なく反応させるという問題で次のような問題も出る
動画で解説(青森県)