秋分の日は昼の長さが12時間ではない(2014年宮崎)
新聞記事から
下の記事を新聞で見つけた宮崎にすむ久志君は,記事の日の太陽の動きや日の入り後に見える月の位置と形について調べ ることにした。次の(1)~(3)の問いに答えなさい。
(1) 図 II のア~ウは,宮崎市における春分,夏至,秋分, 宮崎(宮崎県) 冬至の日のいずれかの,太陽の動きを示したものである。この日の太陽の動きを示しているものとして最も適切なものを,ア~ウから1つ選び,記号で答えなさ い。また,そのように判断した理由を,記事の内容と 関連づけて簡潔に書きなさい。
夏至 1年の内昼の長さが一番長い
冬至 1年の間で昼の長さが一番短い
さて、昼の長さというのはどうやって決まるのか。
太陽の一番上の部分が地平線から出た時、これが日の出
太陽の一番上の部分が地平線に沈んだとき、これが日の入りである。
もしも、日の出、日の入りがともに太陽の中心を地平線が通るときと決められていたら、昼の長さは12時間であるが太陽が顔を出す~完全にかくれるを基準としているので、太陽の大きさ分だけ昼の長さが長くなってしまうのである。
また、太陽は、南西の位置から斜めに真西に沈むわけだから斜めに移動するから太陽の大きさは場所によって変わる。だから、春分・秋分の日はぴったり昼の長さが12時間というわけにはいかないのである。
日の出と日の入りの定義まで中学校で教えているのかはわからない。
春分。秋分の日は「昼と夜の長さが同じになる」という言葉だけ教えているだけかもしれない。同じになるということは12時間なのか?と思ったら違うのである。
そもそも一日は24時間ではなく23時間56分であるから一日の半分は11時間58分になってしまう。
一日が24時間ではなく、23時間56分なのは、地球が太陽の周りを公転しているからである。
地球が自転で1回転するときに地球は公転で太陽の周りを回転する。回転分、早く太陽に対して同じ面が向くことになる。早まる時間が4分である。だから太陽に対して同じ面が向くまでにかかる時間は1日は23時間56分なのである。
地球の公転軌道は正確には円軌道ではなく楕円軌道であるため、1周の360度回転するのに365.2422日かかる。一日の長さも太陽に近づいているときは速く、太陽から遠ざかっているときは短い。(2021年の春分から秋分までの日数187日、2022年の春分まで179日と冬の時間の方が8日間短い。これは地球と太陽がそれだけ近いということを示します)
地球は公転しているため、1日の時間は毎日違うという驚きの事実は、ぼぉっと生きている人には気が付かない世界です。1年で6時間という時間がこ公転によってずれているんです。
夏至はウ
冬至はア
記事から日の出6:03 日の入り18:10の間が12時間7分
ということで
イ 理由 昼と夜の間の長さがほとんど同じだから
月の位置と形
(2) 図IIIは,地球の北極側から見た,太陽・月・地球の 位置関係を示したものである。この日の日の入り後に 見られる月は,どの位置にあるか。最も適切な位置を, 図IIのA〜Fから1つ選び,記号で答えなさい。ただ し,月は地球を中心とした円軌道上を,一定の速さで 公転しているものとする。
(3) この日の日の入り後に見られた月が,真南の空に見えるとき,月はどのような形に見えるか。最図III も適切なものを,次のア~オから1つ選び,記号 で答えなさい。ただし,黒い部分は太陽の光が当 たっていない部分とする。
月の出20:33
月の入り9:31
月は12時間58分より、南中時刻は月の出から半分の6時間29分後
27時02分(3時02分)
月が3時に南中するのは満月と下弦の月の間のFの位置である。
(この図で、太陽の光が左側から当たっているので、右から当たっているのを見慣れている人は戸惑う。)
A 下弦の月(左側半分だけみえる🌗) 6時に南中
B 有明の月(左側だけ見える🌘三日月) 9時に南中
C 三日月(右側だけ見える🌒) 15時に南中
D 上弦の月(右側半分だけみえる🌓) 18時に南中
E 上弦と満月の間(右側が満ちていく🌔) 21時に南中
F 満月と下弦の間(右側からかけてくる🌖) 3時に南中
答えはF オ
ということになる。
この問題のポイント整理
10年前のゆとり時代では考えられないような問題である。
ゆとり時代では月は三日月と満月のふたつだけだった。それだけでは、この満月とけげんの月の間の形は答えられない。
三日月ア→上弦の月ウ→ エ→ 満月 → オ →下弦の月イ→ 有明の月→ 新月
と変わっていくということを知っている。太陽の方向が左でも右でも、たとえ上からでも下からでも答えられる。
思考力判断力を問う問題として、かなりの良問である。