酸素が足りなくて苦しんでいます~指標生物による水質調査(2020年東京)(2014年鹿児島)
カワニナでスコアが決まる(2020年東京)
川にどのような生物がいるかを調査することによって,調査地点の水質を知ることができる。水生生物による水質調査 では,表 3 のように,水質階級はⅠ〜Ⅳに分かれていて,水質階級ごとに指標生物が決められている。調査地点で見つけ た指標生物のうち,個体数が多い上位 2 種類を 2 点,それ以外の指標生物を 1 点として,水質階級ごとに点数を合計し, 最も点数の高い階級をその地点の水質階級とすることを学 んだ。そこで,学校の近くの川について確かめることにした。 学校の近くの川で調査を行った地点では,ゲンジボタルは見つからなかったが,ゲンジボタルの幼虫のエサとして知ら れているカワニナが見つかった。カワニナは内臓が外とう膜 で覆われている動物のなかまである。カワニナのほかに,カワゲラ,ヒラタカゲロウ,シマトビケラ,シマイシビルが見つかり,その他の指標生物は見つから なかった。見つけた生物のうち,シマトビケラの個体数が最も多く,シマイシビルが次に多かった。
〔問 4 〕 <レポート4>から,学校の近くの川で調査を行った地点の水質階級と,内臓が外とう膜 で覆われている動物のなかまの名称とを組み合わせたものとして適切なのは,次の表のア〜エの うちではどれか。
指標生物で数の多い生物2種を⚫2点 その他を〇1点で示す
きれいな水 2点
カワゲラ 〇 1点
ヒラタカゲロウ, 〇 1点
ややきたない水 3点
シマトビケラ ⚫ 2点
カワニナ 〇 1点
きたない水 2点
シマイシビル ⚫ 2点
これらの結果から、この川はスコアが3で高い「ややきたない水」である。
内臓が外灯膜でおおわれている生物は「軟体動物」
タニシがいてもきれいな水(2014年鹿児島)
Kさんは,川のある地点で,ヒラタドロムシ1匹,タニシ2匹,ウズムシ4匹,カワニナ2匹,
ヒラタカゲロウ14匹を採集した。表は水のよごれの程度とそれを知る手がかりとなる主な生物である。この地点の水のよごれの程度として,最も適当なものはどれか。
ア きれいな水 イ 少しきたない水 ウ きたない水 エ 大変きたない水
水の汚れは、手掛かりとなる生物の割合によって知ることができる。
ここで注意したいのはきれいな水にはきれいな水の手掛かりとなる生物しかいないというわけではないということである。きれいな水の中にもきたない水にすむタニシがいるのである。一つの生物を見つけたからといって
きれいな水にすむ生物 5点
ヒラタカゲロウ14匹 ⚫ 2点
ヒラタドロムシ1匹 〇 1点
ウズムシ4匹 ⚫ 2点
少しきたない水にすむ生物 1点
カワニナ2匹 〇 1点
きたない水にすむ生物 1点
タニシ 〇 1点
スコアを比較すると
きれいな水 5点 少しきたない水 1点 きたない水1点であることから、「きれいな水」のスコアが大きい。このことから、この川の水はきれいな水と考えられる。
水質によって生きる生物が違うのはなぜか
生物が生きていくのに必要なのは酸素である。水の中にすむ生き物は水の中に溶けている酸素を利用している。
水はきたなくなると、多くの細菌が住むようになる。この細菌は水の中の酸素を消費してしまう。そのため、きたない水では溶けている酸素が少ない。
この少ない酸素でも生きていけるのが、きたない水で生きていける生物である。
そして、酸素を多く必要とする生物がきれいな水にすむ生物である。
きれいな水にすむ生物は「なにがきれいか」というと、細菌類があまり住んでいなくてキレイということである。
細菌類が多い水(きたない水)を人がとると、水にある細菌の影響で食中毒になったりします。
細菌類が多い水は細菌が餌とする汚濁(おだく)物質も多い。
★大気がよごれるのを大気汚染、水が汚れるのを 水質汚濁 と言葉を使い分ける。
汚濁物質を分解するのにも酸素を多く必要とします。
そのため、その水がどれだけ細菌によって酸素を必要としているかを調べる方法で水の汚れを示す方法があります。これをBOD(生物化学酸素要求量)といいます。
これを採取してきた水を5日間かけて、細菌との反応を見て調査するので時間がかかる方法です。
このほかに、COD(化学酸素要求量)という指標で水の汚れを求めることがあります。
きたない水に含まれている汚濁物質は有機物が多い。有機物は炭素を骨格に持つ物質で還元作用の大きい物質です。
そのため、どれだけ還元作用が大きいかを薬品を入れることで調べる。このことで汚濁物質の量を調べるというのがCODです。この方法は細菌の量とは関係なしにできる方法です。
CODでは有機物以外の還元作用のある物質でも反応することから、BODの値とは異なるものが出ることもあります。
カワゲラの腕立て伏せ
カワゲラはきれいな水にすむ生物である。水質が悪くなると酸素を要求するため、腕立て伏せのような行動をとる。
腕立て伏せをしていて面白い!!ではない
カワゲラは酸素が少なくて苦しんでいるのである。