レンズでないものでレンズを作る~目に映る世界は逆である(2009年和歌山)~凸レンズと目の構造
丸底フラスコを使った凸レンズ実験
丸底フラスコに水を入れると,凸レンズになる。
右の図のようにフラスコを通して遠くの景色を見ると、どのように見えるか。次の アーエの中から適切なものを1つ選んで、その記号を書なさい。
ア 上下左右はそのままで、実際よりも大きく見えた。
イ 上下左右はそのままで,実際よりも小さく見えた。
ウ 上下左右は逆になり、実際よりも大きく見えた。
エ 上下左右は逆になり、実際よりも小さく見えた。
遠くの景色を見る→景色は焦点距離の2倍より遠くにある、
焦点距離より遠くにある場合は上下左右反対の実像が見える。
遠くの景色なので焦点距離の2倍よりも遠くにあると考えられるので
上下左右反対の小さい実像が見える
答えはエとなる。
冬になると太陽の高度が低くなる。太陽の光が部屋の奥にまで届くようになる。
このとき、部屋の中に凹面鏡があると、鏡に反射した光が
焦点に集まり、火災が起こることがある。一つに集まることを収れんといい、
この火災を収れん火災という。
凹面鏡だなんてそんな特殊な鏡なんて持ってないよと思っている人が多いかもしれません。
凹面鏡といえば、
この実験が有名。目に見えるカエルはそこに存在していません。
光が集まってそこにあるように見える。こんな不思議な鏡なんて持ってないと思う人も多いと思います。
しかし、意外と持っています。
それは、拡大鏡です。2倍、3倍と大きくなる鏡は実は凹面鏡です。
拡大して見えるのは焦点距離よりも近くに鏡を置いているため、鏡には虚像が映っている。そのため、大きく見えるんです。
この拡大鏡に太陽の光が当たり、ちょうど焦点距離に燃えやすいものがあったら火事が起こるわけです
鏡なんかないよという人・・・凹面鏡のようなもの、ステンレスボウルでも光は集まります。
また金魚鉢でも光が集まります
レンズになりそうなものがあっても光が集まります。
水晶玉とかでも集まるといっても水晶玉や金魚鉢、丸底フラスコのようなものはないよ。
と思っても、意外なものがレンズになります。それがペットボトル。
部屋に光が入らないようにカーテンを閉めておくというのが大事になりそうです.
目に映る像
ヒトの目は、凸レンズのはたらきで網膜上に像をつくっている。下の図は,紙に書かれた
「わ」の文字を見ているようすを模式的に表したものである。このとき,網膜上にはどのよ うな像が映っているか。図の矢印(→)の方向から網膜を見たときの像として適切なものを,次のア~エの中か ら1つ選んで、その記号を書きなさい。
目に映る像といっても角膜やコンタクトレンズに反射する光をみる場合が多いです。網膜に映っている像を外から見るのは難しい。
目の構造はカメラと同じ構造で網膜に映る像は上下左右反対の像に見える。
左のように見える わ という文字を上下左右逆にすると右のように見える。
しかし、これは網膜側から見たときである。
レンズの方から見ると、
わ という字が左右逆の左のようになるので、網膜に映るのは左の像を上下左右逆にする。
これと同じ図になっているのは ウ
網膜に映る像は上下左右反対である。
問題はスクリーン側から見て わ の文字がレンズ側からだとどう見えるかというひっかけを誘う問題である。
目の構造のため、ウシの眼球を使った観察実験を21年前までは学校で行われてきた。
しかし、狂牛病が問題になり、狂牛病の原因とされるプリオンは脳に蓄積される。
脳とつながっている眼球も危険部位であるということで、この観察実験も変わった。
この実験映像は貴重な映像になっている。現在は、中学、高校においてブタの眼球を使った実験が行われている。
東京芝浦臓器から購入して実験を行ってきた。
ブタの眼球のレンズでも、倒立の実像を観察することができる。
網膜に映る像は上下左右反対の像である。
両目で見ているのだから、両目に映る網膜の像を立体的に処理しなくてはいけない。
脳はこの作業を行っているのである。
「逆さメガネの心理学」河出書房をみると、網膜に映っている像は生まれながらそのように映っているからそう認識しているだけであり、訓練をするとさかさまに映った世界でも生活できるということが書かれてある。
脳の処理は驚くことが多い。
プリズムを付けたメガネで上下逆になるようにする実験はなかなか興味深い。
目とカメラの違い
カメラでは物体との距離に応じてレンズを前後に動かすことによりフィルム上にはっきりとした像を作っている。それに対してヒトの目は、凸レンズをどのようにすることによって網膜上にはっきり臓を作っているか。
凸レンズの厚さを変えている。
これが答えになるが、厚さをどのように変えることで網膜上に像を映し出すのか?
レンズの厚さを変える仕組み
近くのものを見るときは、焦点距離が小さくなければならない、小さい場合、レンズの屈折が大きくならなくてはいけない。レンズは厚くなる。
遠くのものを見るときは 焦点距離が長くなくてはならない。
長い場合はレンズは薄くなる。
レンズを厚くしたり薄くしたりするのはレンズの周りにある筋肉の働きによる
この働きは高校で詳しく学習する。
毛様体が収縮、チン小帯が緩み、レンズが厚くなる
毛様体が緩み、チン小帯が引っ張られ、レンズが薄くなる。
普段は、毛様体は緩んでいる状態だが、近くのものばかり見ていると毛様体が収縮ばかりする。その結果、緩まなくなってしまう。これが近視が進む仕組みである
筋肉は縮んだ状態でいると緩まなくなってしまう。
ポイント
目に関する学習は
中学一年生
草食動物と肉食動物の目の☽化型
レンズのしくみ
中学2年生
目の構造
カメラ目
中学3年生
目の進化
生態系と目の位置
学年をまたいで出題されることが多い分野である。