昆虫はどうやって呼吸しているのか(2019年和歌山)
無せきつい動物の分類
[問] 図1にまとめた無セキツイ動物について,次の(1)~(4)に答えなさい。
(1) 1「軟体動物」,2「節足動物」,3「軟体動物・節足動物以外の無セキツイ動物」として適 切なものを,次のアーカの中から2つずつ選んで,その記号を書きなさい。 ア
中学校での無せきつい動物の扱いは小さい。
「理科の世界1年」p56~60 無せきつイカ動物の分類
「理科の世界2年」p148~149 イカの解剖
「理科の世界3年」p144 土の中の生物
で登場する。学校で習うことの大半はせきつい動物であり、無せきつい動物は「せきつい動物と比べるとどのような特徴があるのか?」という例に出されるだけである。
ヒトがせきつい動物だから、ヒトについて知るというのが「生物」の目的とすると、ヒトとは形、機能、進化といったところでかけはなれている無セキツイ動物をくわしく学習しない。
そのため、試験にもあまりでない。
すごいマイナーな問題である。
しかし、無セキツイ動物の方を知ることでしか見えないことはいろいろある。
無せきつい動物で押さえておきたいところは呼吸方法
ア アサリ ・・・軟体動物 えら呼吸
イ ウニ ・・・キョクヒ動物 体全体で行う
エ タコ ・・・軟体動物 えら呼吸
オ ミジンコ・・・節足動物 えら呼吸
カ ミミズ ・・・環形動物 皮膚呼吸
動物ごとに呼吸法を覚えるのか?
無せきつい動物は大きな体を持つことができないものが多い。
それは基本は、皮膚呼吸だから。体全体に空気を送るような血管網を作るためには呼吸器官を発達させる必要がある。しかし、無せきつい動物はそれをしなかったんです。というより今の酸素濃度ではそれができなかった。
過去に1mもある大きいトンボや大きいゴキブリがいたというのは酸素濃度が大きくてそれでも呼吸ができた。
生物は大きいほうが、捕食されないから生き残れる、
だから、大きくなるために呼吸器官を発達させる必要があった。
それに成功したのが軟体動物
ダイオウイカのようにイカの仲間には18メートルもあるものもいる。
皮膚を水で濡らしてないといけない水中の生き物は巨大化するためにエラを呼吸器官として持つようになる。
陸上生活していて、乾燥に耐えられるようカタツムリは肺呼吸をする
もう一つ、巨大化に成功したのが節足動物
カブトガニのように生きた化石として2億年以上も姿を変えないで生きているのはその体が進化に成功した体であるからと考えられる。
カブトガニのように足のつけねの部分に呼吸器官をもつもの
クモ、サソリのように乾燥に耐えられる呼吸器を持つものと幅広い進化をした。
ダンゴムシは空気呼吸はできるように進化し、深海にすむダイオウグソクムシはエラ呼吸できるように進化した。
ちょっと雑学
海で生活しているカニは陸上ではどうやって呼吸しているの?
カニは水を体内に持っていてそれを使っているから陸上でもエラ呼吸
昆虫は気門で呼吸
(2) 図4のように、昆虫類の胸部や腹部には気門がある。この気門のはたらきとして,最も適切なものを次のア~エの中か ら1つ選んで、その記号を書きなさい。
ア 音(空気の振動)を感じている。
イ 呼吸のために空気を取りこんでいる。
ウ においを感じている。
エ 尿を体外に排出している。
呼吸は口で行うものとヒト目線でみると思ってしまうが昆虫は気門で行う。
生物の種類のほとんどを占める多様性を持っているのが昆虫、200万種という生物の種類の中で、現在名前が付けられているものの7割は昆虫類が占めている
ということは気門で呼吸する方が生物としてはごく普通のことかもしれない。
骨格を大きくするためには脱皮をする
(3) 節足動物のからだをおおっているかたい殻のことを何というか,書きなさい。
体がかたい殻でおおわれている、これは、外骨格と呼ばれる。
節足動物は骨格が外側にあり、筋肉が内側にある。
せきつい動物は骨格が内側なので内骨格、外側に筋肉がある。
昆虫は骨が大きくなるために脱皮をする必要がある。
ヘビが脱皮するのはウロコを新しくするため、鳥類や哺乳類が季節で毛を変えるのと同じである。決して蛇の骨格が大きくなっているわけではないから、昆虫の脱皮とは意味が違う。
軟体動物を覆う膜
(4) 軟体動物の内職をおおっている筋肉でできた膜を何というか、書きなさい。
外とう膜
ポイント
せきつい動物の分類がメインで無脊椎動物の分類はあまり出ない。
ヒトと関係する生物の研究は多くされているが、そうでない生物はあまり研究もされてこなかったから。
しかし、生物の種類のほとんどは無せきつい動物でそれが昔から体の構造を変えずに生きてきたということには何らかの秘密があるに違いない。
そして、遺伝子の研究によると全く異なると思われていた部分の遺伝子が同じ役割を持っていたというものも見つかっている。
昔はタコの目とヒトの目は同じ機能を持つが発生学的には違うところからできるので
相似器官とされてきたが、遺伝子の研究によって、同じ遺伝子が関与しているということで相似器官とは考えられなくなってきている。
見た目は同じだけれど、それは環境に適応しているだけで全く違うもの
例えば、オーストラリアや南アメリカ大陸にいる有袋類という子供を母親の持つ袋で育てる(カンガルーのようなもの)とほかの大陸にいる袋を持たない真獣類というのは見た目は似ているが進化の過程は異なっている。
見た目は違うけれど、遺伝子的には同じもの
などいろいろ分類されるものが多い。見た目だけでは判断できない。
生物を詳しく知れば知るほど奥深さを感じるところである。