酸とアルカリと電池の合わせ技(2016年愛知)
電池を使うと水溶液の濃度が変わる
ボルタ電池では、塩酸を電解質溶液として使う、
さらに、水素分子も発生する。
銅板では水素イオンが水素分子として出る。
電池の実験をすると水素イオンが失われるのだ、
もし、厳密に水素イオン濃度を測定することができたなら、水素イオン濃度の変化が時間とともに減り、その分、中性へと近づくであろう。
金属を溶かし、水素を発生させると酸性が弱くなる
塩酸にマネシウムリボンを入れ、水素を発生させた後、水酸化ナトリウム水溶液で中和させるというのは定番としてよく出題される
このように金属が溶けると水素が発生して酸性が弱くなる。というのを電池の問題と一緒にしたのが2016年の愛知県の問題である
オルゴールを鳴らす時間と酸の強さ
実験
①うすい塩酸を用意し、亜鉛板、銅板を用いた図のような回路を作る。
②電子オルゴールを20分鳴らした。
③実験後、ビーカーの塩酸を試験管に20cm³とり、BTB溶液を加えた
④この塩酸に実験1で用いた水酸化ナトリウムを0.5mlずつ加えてBTB溶液の色の変化を調べた。
⑤BTB溶液の色が変化するまで④を繰り返したところ、全体の水溶液の量が30cm³になったところで中性になった。
実験で電子オルゴールを30分に鳴らすという条件だけを変えて、実験2を行った。この実験2でBTB溶液の色が変化する様子について説明した文についてⅠⅡに当てはまる語句の組み合わせを答えなさい
電子オルゴールを30分間鳴らした実験2の後のビーカー内の水溶液は、最初の実験のビーカー内の水溶液よりも酸性が(Ⅰ )なる。そのため、この水溶液を用いて、④⑤を行ったとき水溶液が中性になって黄色から緑色に変化するときの水溶液全体の体積は30.0cm³よりも(Ⅱ )なる。
考え方
電子オルゴールを鳴らす時間が長いほど、水素は塩酸から気体として失われるので
水素イオン濃度が小さくなる。このことで酸性が弱くなる。
そして、酸性が弱くなると中和に必要な水酸化ナトリウム水溶液の量も少なくなる。
電子オルゴールを20分鳴らした時は水酸化ナトリウムを加えた全体の量が30.0cm³であったから、それよりも小さい量で酸性が中性になる
Ⅰ 弱く Ⅱ 小さく
電池を使うと電極の質量や溶液の濃度が変わるというのは高校で学習する化学基礎の問題でよくある。
2022年対策
従来は、公立高校入試では出題されてこなかった。しかし、ダニエル電池が学習内容に加わることで、電極の質量が変わることに関する問題も出題されると考えられる。
負極は 亜鉛が溶けだすので質量が小さくなる
正極は 銅が付着するので質量が大きくなる。