コースターの運動(2018年大分)
3 斜面と水平面がなめらかにつながったレールを用いて,金属球の運動のようすを調べた。ただし,金属球にはたらく空気の抵抗や摩擦力がなく,金属球はレールから飛び出さないものとし,[図3]~[図5] のレールの斜面の角度Y はすべて同じ大きさであるものとする。なお,それぞれのレールはすべて模式的に示しており,図中の数値が示す長さの単位はいずれも [cm] である。
斜面から水平になるコースター
4 [図3] のように,静止させた金属球を,レール aの0点からはなしたところ,斜面を下って水平 面を進みS点を通過した。このときの運動のようすを,3と同様に一定時間ごとに撮影した。
斜面から水平になってさらに下に行って上がるコースター
5 [図4] のように,レール a の水平面と比べ,Q点からR点の区間の高さを低くしたレール b を準備した。このレール b で4と同様の実験を行った。
斜面から水平になってさらに上に上がって下がるコースター
6 [図5] のように,レール a の水平面と比べ,Q点からR点の区間の高さを高くしたレール cを準備した。このレール cで4と同様の実験を行った。
レールを通る速さの変化
(4) 4,5で,金属球の0点からS点の区間における速さと時間の関係を模式的に表したグラフとして 最も適当なものを,4のレール a と5のレール b のそれぞれについて,ア~オから1つずつ選び,記号 で書きなさい。
図3は
OからPまでは速さが大きくなる等加速度運動
PからSまでは水平面なので等速直線運動
これを示しているのは イ
図4は
- OからPまで速さが大きくなる等加速度運動
- PからQまでは速さが変わらない等速直線運動
- Qから一番底面までは速さが大きくなる等加速度運動
- 底面から水平面までは等速直線運動
- 水平面からのぼるときは速さが小さくなる等加速度運動
- 水平面になって等速直線運動
2と6の等速直線運動では高さが同じなので速さが同じ
オ
コースターの速さの変化
(5) 5のレール b と6のレール cで,それぞれ静止させた金属球を,0点から同時にはなす実験を行った。
このときの金属球の運動のようすとして適切なものを,ア~ウから1つ選び,記号で書きなさい。また, そのように解答した理由を「運動エネルギー」「位置エネルギー」という2つの語句を用いて,解答欄の 1行目の書き出しに続けて書きなさい。
ア レール bの金属球の方が,先にS点を通過する。
イ レール cの金属球の方が,先にS点を通過する。
ウ レールb, cの金属球は,同時にS点を通過する。
レールbでは、速さが大きくなってその大きくなった速さで等速直線運動をして、坂を上り、速さが小さくなる。
レールcでは、速さが小さくなってその小さくなった速さで等速直線運動をして、坂を下り、速さが大きくなる。
レールbの方が速さが大きくなっている時間が長いので早くSに到達する。
ア
Q点からR点の区間では、レールbはレールcよりも高さが低いので、レールbの金属球の方がレールcの金属球よりも、位置エネルギーが小さい分、運動エネルギーが大きく、速さが大きいから。
コースターの運動(2019年福井)
図1,図2のような2つのコースをつくり,下の実験1,実験2 を行った。なお,2つのコースの水平面に対する斜面の傾き はすべて同じである。また,小球はコース面から離れることなく,なめらかに運動し,小球にはたらく摩擦や空気の抵抗は無視 できるものとして,あとの問いに答えよ。
【実験1] 図1のコースを用いて小球の速さについて調べた。 操作 A に小球を置き,静かに手を離したあとの水平面 EF 上における小球の運動のようすをストロボスコープを使って撮影した。同様の操作をB~Dについても行った。
結果1 撮影した写真から水平面 EF 上の小球の速さをそれぞれ求めたところ, A,B, D は,表のような結果となった。
結果2 図3のグラフは,A で手を離したあとの小球の運動について,時間と小球の速さの関係の一部を表している。なお,グラフの横軸は小球が動き出してからの時間(s]を,縦軸は小球の速さ(m/s]をそれぞれ示す。
問(1) 小球が斜面を下っているとき、小球にはたらく力を表した図はどれか。最も適当なものを次のア~エから1つ選んで,記号を書け。
小球に働いている力は重力と垂直抗力だけである。重力は鉛直下向き、垂直抗力は面に対して垂直に働く。
ここで、よく間違えるのが。アである。運動の方向に力がかかっているように見えるが、これは、重力の斜面方向の分力であって働いている力ではない。
イは重力が書かれていない
エは重力の向きがちがう。垂直抗力が書かれていない。
ア、イ、エは運動の向きの力が書いてあるがこれは、重力の分力なので間違い。
分力は、物体に働く力を分けたもの。物体に直接働く力で分力は表さない。
答えはウ
(2) 表の空欄について,Cで手を静かに離したあとの写真を見ると,小球は水平面 EF 上を 0.5 s の間に 140 cm 移動していることが分かった。表の空欄に入る速さは何m/sか,書け。
EF間は等速直線運動をしている、
速さの単位が m/s なので
140cm→m
と変換しなくてはいけない。
速さ=
速さ= ÷ 0.5
= ÷
=
=
=2.8m/s
(3) 図3について,Fに到達するまでの小球の速さと時間の関係を,解答用紙のグラフに続けてかけ。
EF区間では速さが4.0m/sになっていることから、斜面上では等加速度運動をし、4.0m/sまで速さは大きくなる。このことから、グラフを4.0m/sまで延長してかく。
0.6秒でEに到達することがわかる。1.5秒までの0.6秒間に4.0m/sで等速直線運動を
したとすると
距離=速さ×時間 より
=2.4m
になる。
EF区間は2.00mなので、速さは途中で変わることになる
200cmのところまで行く時間を求める
時間=距離÷速さより
2.0÷4.0=0.5s
0.5s間、(0.6+0.5=1.1sまで)等速直線運動をする。
これが答えになる。
次に、斜面をのぼるが、斜面の傾きは最初の斜面と同じで、のぼる斜面の最大の高さはD地点と同じであることから、D地点と同じ速さになる。(減速する)
角度が同じ斜面なので加速する割合0.3sで2.0m/s変化するというのは同じである。
斜面から上がると水平になるので等速直線運動をする。
2.0m/sで100cm進む時間は
時間=距離÷速さより
=0.25s
よって1.4s+0.5s=1.9sでGに着く。
コースターの速さの比較
【実験2] 図1と図2のそれぞれのコースで A に小球を置き,静かに手を離したときの小球の運動について比較した。
(4) 図1と図2のコースで,Gにおける小球のそれぞれの速さを比較すると,どのようになっているか。次のア~ウから1つ 選んで,その記号を書け。
ア 図1のコースの方が速い。
イ 図2のコースの方が速い。
ウ 図1と図2のコースは同じ速さになる。
Gの高さは図1と図2で同じである。
Aの位置の力学的エネルギーとGの位置の力学的エネルギーが同じである。
高さが同じなので、運動エネルギーも同じになる。
よってウ
時間の比較
(5) 図1と図2のそれぞれのコースについて, A に小球を置き,静かに手を離してからGに到達するまでの時間を比較すると,どのようになっているか。次のア~ウから1つ選んで,その記号を書け。
ア 図1のコースの方が短い。
イ 図2のコースの方が短い。
ウ 図1と図2のコースは同じ時間になる。
図1と図2で一番低い所の距離が図1の方が大きい。このことから図1の方が運動エネルギーが大きい区間が長い。そのため、速さが大きい区間も大きい。
その分、時間が短くなる。
図1の方が短い。
ア
この問題ではグラフを書いたときのように各場所での時間と速さを求めずとも、
運動エネルギーの大きくなっている区間を比較するだけで解くことができる。
実際に時間を考えてみよう。
図1は
AEまで0.6s
EFまで0.5s
FGまで0.3s+
図2では D地点では2.0m/sになるまでだから図1と同じで0.3s
そこから等速直線運動で200cm移動するので
時間は
時間=距離÷速さ
時間=2.00m÷2.0m/s=1.0s
この後、斜面を下るのに0.3sかかる。
そしてE地点で速さ4.0m/sになる。
4.0m/sでFまで100cm進むので
時間は
時間=距離÷速さ
1.00m÷4.0m/s=0.25s
このあと、G地点まで上昇するのに0.3sかかる。
ADまで0.3s
DEまで1.0+0.3=1.3s
EFまで0.25s
FGまで0.3s
足すと0.3+1.3+0.25+0.3=2.15s
図1は1.90sより、図1の方が時間が短い
コースターでの衝突実験(2013年滋賀)
木片に速さを変えて衝突させる
【実験1】図1のように,小球(質量16.7g)を発射装置で打ち出し、木片に当てて木片の移動距離を測定した。また,速さ測定器で木片に当たる直前の小球の速さを測定した。次に、小球を打ち出す速さを変えて、同様の実験を行った。表1はその結果をまとめたものである。
木片に質量を変えて衝突させる
【実験2】質量36.6g, 68.9gの小球について,実験1と同 様に、小球の速さと木片の移動距離を測定した。図2は、実験1,2の結果をグラフに表したものである。
1 実験1の結果から,小球の速さと運動エネルギーは、どのような関係にあると考えられるか。次 のア~ウから1つ選びなさい。
ア 速さが大きいほど、運動エネルギーは大きい。
イ 速さが大きいほど,運動エネルギーは小さい。
ウ 速さが大きくなっても、運動エネルギーは変わらない。
運動エネルギーの大きさは、質量m、速さvとして、
の関係がある。
質量に比例し、速さの二乗に比例する。
この問いの答えは アになる。
小球の質量と木片の移動距離の関係のグラフ
2 実験1,2の結果をもとに、小球の速さが1.0m/sのときの、小球の質量と木片の移動距離との関 係をグラフに表しなさい。
グラフの横軸の1メモリは2gである。
16.7gは16と18の目盛りよりも左側、その時の移動距離が表1より3.2cm
36.6gは36gと38gの間よりも左側、その時の移動距離は図2より8.0cm
68.9gは68gと70gの間よりも左側、その時の移動距離は図2より17.0cm
この問題は入試問題にしては、グラフに点を打ちにくい質量の値が与えられている。
採点基準は、目分量でどれだけ正確に点を打っているかである。
そして、グラフは、原点を通り、この3点に近い直線になる。
木片の質量も木片とレールの間に働く摩擦力に関する情報も与えられていない。
さらに、小球が持っている運動エネルギーが木片にどれだけ伝わったのかも書かれていない、
小球の質量を大きくした場合、木片との衝突の際に音や木片を変形させるエネルギーで運動エネルギーが失われるかもしれない。
はねかえり係数が与えられていないのでとても乱暴な問題であるが、
高校入試レベルでは、衝突しても力学的エネルギーは保存される
と考えられるので弾性衝突であるとして跳ね返り係数は1である。
そして、小球の持つ運動エネルギーがすべて、木片に伝わったと考える。
高校の物理では、衝突の時は力学的エネルギーの保存の法則は常には成り立たないが、
物体が速度を持つときに持つ運動量は保存するということで運動量保存の法則を使う。
中学では運動量を学習しないので、木片が動き出した時の速さが必要となる。
動き出した時の静止摩擦係数、動いているときの動摩擦係数などがからんでくる。
衝突の問題は中学では、木片がどれだけ移動するかだけであるが高校では複雑になる。
コースターの移動経路
【実験3】図3のように、2本のレール1,2を使った装置を作った。次に,同じ大きさで同じ小球A,Bを準備し,それらをスタート地点から同時に転がし、途中のa~cの各点での速さ と、ゴール地点までの到達時間をそれぞれ測定した。表2,3はその結果をまとめたものである。 なお、レール1,2上のa,b,cは、それぞれスタート地点からの水平距離が等しい点である。
3 実験3の結果について,次の(1), (2)の問いに答えなさい。
(1) 小球Aのスタート地点からゴール地点までの間の平均の速さは何m/sか。書きなさい。ただし、小球Aが転がったレール1の長さは1.53mである。
(2)小球Aが小球Bよりゴール地点に早く到達したのはなぜか。表2をもとに,説明しなさい。
小球Aと小球Bは質量が同じで体積が同じ物体である。
そのため、高さ15cmのところで持つ位置エネルギーは同じである。
しかし、小球Bよりも小球Aの方が、低い位置を通るので、小球Aの方が最下点のb点では運動エネルギーが大きくなる。
このため、速さも大きくなる。その結果、小球Aの方が到達時間が早くなる。
平均の速さを求める
平均の速さ=
=0.90m/s
b点を通過する速さが小球Bに比べて小球Aが大きいため
位置エネルギーと木片の移動距離との関係
【実験4】図3の装置で,最初に, レール1のb点に木片を置き、小球Aをスタート地点から転がし、木片に当てて木片 の移動距離を測定した。次に、レール2のb点に同じ木片 を置き、同様に測定した。表4はその結果をまとめたもの である。
4 実験4の結果,レール1の木片の移動距離が, レール2の木片の移動距離の2倍になった。その 理由を説明しなさい。
位置エネルギーを考えるときは基準となる高さを考える。
b点の高さを基準にすると
レール1は高さ10cmのところにb点があるので、最高点の高さ15cmまでの高低差は5cm
レール2は高さ5cmのところにb点があるので、最高点の高さ15cmまでの高低差は10cm
高さが2倍のとき、位置エネルギーも2倍になるので、b点を通過するときの運動エネルギーも2倍になる。
レール①の小球はレール②よりも2倍の高さから転がり始めるので、持っている位置エネルギーは2倍になるため、b地点での運動エネルギーもレール①はレール②の2倍になるため。
この問題は書きにくいグラフを書く
説明しなさいが2題
と受験生が苦手とするところを出してきている。
ただでなくても物理はよくわかんないという受験生が多いのに、それに拍車をかけるような問題である。
ただし、計算をして解くという問題ではないので力学的エネルギーの保存の法則
位置エネルギーは高さに比例する(質量にも比例する)
運動エネルギーは速さの2乗に比例する(質量にも比例する)
ということが、理解できていれば解ける問題である。
b地点で小球Aの速さが1.12m/s
小球Bの速さが0.79m/sであることから
=1.25
=0.62
で =≒2倍であることから解答しても正解のはずである。
小球Aと小球Bのb点での速さの2乗の比は2:1より、小球Aの方が運動エネルギーが2倍なので木片を動かす距離は2倍になる。(高校レベルの解答)
この力学的エネルギー保存の法則で高校入試でコースターを出題するのはあまりない。
また力学的エネルギーの大きさを求める問題もない。
高校の物理基礎では当たり前のように出てくる基本問題になるのでしっかりと中学の段階でマスターしておきたい。
ポイント
- 木片の移動距離は運動エネルギーが大きくなるほど大きくなる
- 運動エネルギーは質量と速さの二乗に比例する
- 位置エネルギーは質量と高さに比例する
- 位置エネルギーと運動エネルギーを合わせたものを力学的エネルギーといいその量は一定である。
種子や果実の運ばれ方(2017年大分)
種子や果実の運ばれ方のちがいについて調べた。
- カラスノエンドウ,ホウセンカは,果実が熟すと種子がはじ けて飛び散る。
- ヌスビトハギ,イノコズチは,動物などに付着して運ばれる。 マツ, カエデは,風に運ばれる。
- ヤドリギは,動物に食べられて運 ばれる。
カエデは,[図2] のような翼状 の果実ができる。この果実が落下す るようすを観察すると,種子の入っ ている部分を中心に水平に回転しな がら落下した。
さらにくわしく調べるために,対照実験を行った。カエデの果実と金 属球とを,目安となるものさしを置 いて,風のない状態で落下させ,デ ジタルカメラを用いて, 秒間隔で撮影した。
[図3] は,そのときのようすを 記録したものである。
【図4]は,風が図の左から右の 方へわずかにそよいでいる状態で, カエデの果実を静かに落下させてい るときのようすを記録したものであ る。
植物は子孫を残すために、種子を様々な方法で遠くに運ぶ。
種子をはじけさせる
ヌスビトハギ
ヌスビトハギとアレチヌスビトハギの種子 (京都九条山の自然観察日記)から画像引用
種子の表面に、かぎづめが多数あり、それが動物の毛につくと容易に落ちない
そのため、動物に着いて遠くに運ばれる。
マツ、カエデは風で運ばれるときに種子の持つ翼で遠くに飛ぶ。
花の構造
種子の運ばれ方に関する問題かと思いきや、様々な分野からの出題になっている。
(1) 被子植物のエンドウと,裸子植物のマツに共通して見られるものを,ア~エから1つ選び,記号で書きなさい。
ア 子房 イ 胚珠 ウ 子房とがく 工 胚珠とがく
両方とも胚珠がある。
よって イ
遺伝の形質
(2) 孫の代の丸い種子としわのある種子が,子の代のエンドウの体についているつき方として適切なものを,ア~エから1つ選び,記号で書きなさい。
ア 丸い種子だけが入ったさやをつける株と,しわのある種子だけが入ったさやをつける株に分かれている。
イ 1本の株に,丸い種子だけが入ったさやをつける枝と,しわのある種子だけが入ったさやをつける枝に分かれている。
ウ 1本の枝に,丸い種子だけが入ったさやと,しわのある種子だけが入ったさやに分かれてついている。
エ 1つのさやに丸い種子だけが入っていたり,しわのある種子だけが入っていたり,丸い種子としわ のある種子が混ざって入っていたりする。
エンドウは自家受粉をする。自分の中で作ったおしべの花粉がめしべの柱頭に受粉し、花粉から精細胞が出て受精する。
花粉ができるときに減数分裂が起きる。
丸い種子では花粉で しわの遺伝子 卵細胞でしわの遺伝子が減数分裂で分かれていれば、それが受精してできた種子はしわ
花粉、または卵細胞で◦の遺伝子が減数分裂で分かれていれば、それが受精せいてできた種子は丸
しわの種子では すべてしわの種子ができる
一つの柱頭から、複数の胚珠にわかれる
そうなると一つのさやの中で 丸のみ しわのみ 丸としわがまざっているがある。よってエ
エンドウの花のつくりについて詳しく聞かれている問題である。一つの花から一つの種子ができるというものと違い、エンドウでは一つの花で多くの種ができるので迷うかもしれない。
落下運動の時間と距離
1 [図3] で,金属球の落下しはじめた0cm から 50 cm までの間について,時間と落下した距離の関 係を表したグラフとして最も適当なものを,ア~エから1つ選び,記号で書きなさい。ただし,金属球 が落下するときの空気の抵抗は考えないものとする。
移動した距離=
であるから、落下した距離は時間の2乗に比例する。ウになる。
2 次のア~エは,4種類の植物の名称とその果実のスケッチである。種子の運ばれ方がカエデと最もよ く似ているものを,ア~工から1つ選び,記号で書きなさい。
- クワは動物に果実を食べられ、糞として種子が排出されることで運ばれる
- オナモミはヌスビトハギのようにかぎ爪型の突起が動物の毛にくっつき運ばれる
- コナラはリスが秋に冬眠時の食事として土の中に埋められる。リスは埋めたことを忘れてそのままになることがある。このようにして、コナラを食べる動物が運んで食べ忘れたものが広がる
- ススキは風に乗って運ばれる。
今回のカエデは風で運ばれるので、同じように運ばれるのはススキ エになる。
大きな種子の利点
3 大きな種子ができる植物にとって,種子が大きいことは,種子が風で広い範囲に運ばれることには適 していないと考えられるが,利点もある。その利点とは何か,「種子の中の養分」という語句を用いて 簡潔に書きなさい。
種子が大きいとき、種子の中には発芽して成長に必要な養分を多く含む。
種子の中の養分が多くなり、植物の成長を助ける
ポイント
- 花のつくり(中学1年)
- 植物の遺伝(中学3年)
- 物体の落下運動(中学3年)
- 子孫の残し方(中学3年)
一つの問題の中に分野の違うものが混ざっている。それも思考判断力が問われる問題になっている。答えにくい問題である。
抵抗のブラックボックス(2020年兵庫)
表3は,3種類の抵抗器X~Zのそれぞれについて,両端に加わる電圧と流れた電流をまとめたものである。ただし,抵抗器X~Zはオームの法則が成り立つものとする。
オームの法則から抵抗値を求める
(1) 抵抗器 X の抵抗の大きさは何とか,求めなさい。
オームの法則が成り立つので
電圧V 抵抗R 電流Iとして V=RIが成り立つ。
電圧V=3.0 電流Iを
3.0=R ×
3000=750R
R=
R=
R=4Ω
後の計算で使うので抵抗Yと抵抗Zの大きさを求める。
抵抗Yは抵抗Xよりも同じ電圧をかけた時流れる電流が半分になるから抵抗が2倍の8Ω
抵抗Zは 電流の流れにくさが 倍 (5倍)なので抵抗も5倍
R=
R=20Ω
抵抗X 4Ω 抵抗Y 8Ω 抵抗Z 20Ω
並列回路の電流値
(2) 図2のように、抵抗器XとZを用いて回路を作り,電源装置で 6.0 V の電圧を加えたとき,電流計が示す値は何Aか, 求めなさい。
この問題には合成抵抗を求める方法と各抵抗に流れる電流を足す方法がある。
抵抗Xの大きさは4Ω 抵抗Zの大きさは20Ωより
合成抵抗を求める方法
合成抵抗は
R=
R=
R=
R=Ω
電圧V=6 R=として
V=RIから
6=
I=1.8A
それぞれの抵抗に流れる電流を足す
抵抗Xに6Vの電圧がかかっているのでV=6 R=4として
V=RIから 6=
I=
I=1.5A
同様に抵抗Zにも6Vの電圧がかかっているので V=6 R=20として
V=RI から 6=
I=
I=0.3A
よって電流計に流れる電流は二つの電流を足したものだから 1.5+0.3=1.8A
直列回路の未知抵抗
(3) 図3のように,抵抗器X~Zと2つのスイッチを用いて回路を作った。ただし,図の1~3 には抵抗器X~Zのいずれかがつながれている。表4はスイッチ1,2のいずれか1つを入れ,電源装置 で 6.0 V の電圧を加えたときの電流計が示す値をまとめたものである。図3の1 ~ 3 につなが れている抵抗器の組み合わせとして適切なものを,あとのアーカから1つ選んで,その符号を書きなさい。
スイッチ1だけを入れた場合
電圧V=6 電流I=とする。
V=RIで合成抵抗を求めると
6=R✕
6=R×
R=
R=24Ω
スイッチ2だけを入れた場合
電圧V=6 電流I=とする。
V=RIで合成抵抗を求めると
6=R✕
6=R×
R=
R=12Ω
抵抗3を固定して条件に合うものを探す
抵抗1 と 抵抗3を足すと 抵抗は24Ω
抵抗2 と 抵抗3を足すと 抵抗は12Ω
抵抗1、2,3の大きさをa,b,cとすると
a+b=24・・・①
a+c=12 ・・・②
ここで 抵抗は 4Ω 8Ω 20Ωの3種類なのでaにそれぞれ入れて考えてみる
a=4のとき ①より
4+b=24
b=20
②より
4+c=12
c=8
a=8のとき
8+b=24
b=16
8+c=12
c=4
a=20のとき
a+b=24
20+b=24
b=4
20+c=12
c=ー8
この3通りの中で条件を満たすのは
a=4 b=20 c=8
①抵抗X ②抵抗Z ③抵抗Y
抵抗のブラックボックス
(4) 抵抗器X~Zと4つの端子A~Dを何本かの導線でつなぎ,箱の中に入れ,図4のような装置をつくった。この装置の端子 A,Bと電源装置をつなぎ 6.0 V の電圧を加え電流の大きさを測定したのち,端子C,Dにつな ぎかえ再び 6.0 Vの電圧を加え電流の大きさを測定すると,電流の大きさ が3倍になることがわかった。このとき箱の中の抵抗器X~Zはそれぞれ。 端子B 端子 A~Dとどのようにつながれているか,箱の中のつなぎ方を表した図 として適切なものを,次のア~エから1つ選んで,その符号を書きなさい。
CD間に流れる電流はAB間に流れる電流の3倍になる
これを満たすのは CD間の抵抗がABの抵抗の倍になる
組み合わせを選ぶ。
ア AB XとYが直列 4+8=12
CD Z 20
イ AB XとZが直列 4+20=24
CD Y 8
ウ AB XとYが並列 =
CD X 20
エ AB XとZが並列 =
CD 8
イのつなぎ方の場合 CDの抵抗の3倍が24であることから
CD間はAB間の3倍電流が流れる。
これは電流の大きさは同じ電圧では抵抗の大きさに反比例するというのを使っている。
抵抗のブラックボックス(2019年山梨)
【実験1】
1 電源とスイッチS1~S3,抵抗の大きさが10Ω、20Ω,、40Ω の電熱線を使って,図1のような回路 をつくった。この回路は,S1~S3を入れたり 切ったりすることで,直列回路,並列回路をつくる ことができる。
2 S2を入れ,S1とS3を切って直列回路をつくり, 電流計を使って,10Ωの電熱線に流れる電流を調べた。
直列回路
(1) 【実験1】 について, (i), (ii)の問いに答えなさい。
(i) 2で,10Ω の電熱線に流れた電流が0.5 A のとき, 10Ω の電熱線に加わる電圧は何Vに
なると考えられるか,求めなさい。
直列回路では、どこの点でも回路に流れる電流の大きさは同じである。
10Ωの抵抗にも0.5Aの電流が流れている。
S2だけを接続した回路は上の図のようになる。
オームの法則より V=RI で R=10Ω I=0.5Aより電圧は、
ボルト
この問の答え 5ボルト
20Ωの抵抗にかかる電圧も考えてみる。
10Ωのときと同様に
V=RIで R=20Ω I=0.5Aなので
ボルト
10Ωの抵抗にかかる電圧は5ボルト、20Ωの抵抗に掛かる電圧は10ボルトより、
電源の電圧はこれを足したものである
5ボルト+10ボルト=15ボルト
このように、このような問題では、電源の電圧を求めることが多い。この電圧の大きさは各抵抗にかかる電圧を足したものになる。
並列回路
(ii) S1とS3を入れ,S2をきって並列回路をつくった場合,並列回路全体の抵抗は何Ωに
なると考えられるか,求めなさい。
スイッチS1とS2を入れた回路は上の図のようになる。
並列接続のときの合成抵抗の公式を使う
==8.0Ω
抵抗のブラックボックス(直列回路)
【実験2]
図2は,端子 A~Dを使って、AB間,BC間,CD間,DA間に電熱線をつなぐことができる装置を表している。例えば,図3のようにつなげた場合,BD間に,20Ω と40Ωの電熱線が直列につながっていると考えることができる。
抵抗の大きさが10Ω,20Ω,40Ω の電熱線を1個ずつ用意し,装置のAB間,BC間, CD間,DA間のいずれかに1個ずつつなげた。次に,AB間,AC間,BD間に加わる 電圧と流れる電流の関係を調べ,結果を図4のようにまとめた。
グラフの読みやすいところから抵抗の値を読み取りやすいところを読む
AB間では10V で 0.2Aであるから、
V=RIで
AC間 V=10ボルト I=0.5A
BD間は V=6ボルト I=0.1A
V-RIより
R=60Ω
まとめると AB は 20Ω
AC は 50Ω
BD は 60Ω
ABは20オームの抵抗1本で20Ωになる
ACはAB20ΩとBCを足して50Ωと考えると BCは30Ωとなるが、30Ωの抵抗はない。これは、保留する。
BD間が60Ω BAに20Ω ADに40ΩでBDは20+40で60Ω
AC間はADで40Ω DCで10Ω
(2) 【実験2〕について,装置には10Ω, 20Ω,40Ωの電熱線がどのようにつながっていると考えられるか,図3にならい,電熱線のつなぎ方と抵抗の大きさがわかるようにしてかきなさい。
2 ひろしさんと近所の電気屋さんとの会話である。(1), (2)の問いに答えなさい。
ひろし:電気器具には、「100V-100W」などの表示がありますが,どのような意味ですか。
電気屋さん:100V の電源につなぐと,100Wの電力を消費することを意味します。電気器具を一定時間使用したときに消費される電気エネルギーの総量を何というかわかるかな。
ひろ し:はい,電力量です。電気料金の請求書に,私の家で使った電力量が書いてありました。
電気屋さん:そうだね。では,表の電気器具を「表示された電力」で「使用した時間」使用したとすると,電力量が最も大きくなるのはどれだと考えられるかな。
ひろし:はい,( a ) を使用した場合です。
電気屋さん: 正解です。では,乾電池のように,電流の向きが一定で変わらない電流を直流というのに対し,電流の向きが周期的に入れかわる電流を何というかわかるかな。
ひろし:はい,(b )といいます。家庭のコンセントに届けられる電流は、1 です。 電気屋さん:そのとおり。変圧器を用いて簡単に電圧を変えられること徴だね。
(1) aに当てはまるものを,次のア~ウから一つ選び,その記号を書きなさい。
ア液晶テレビ イ ノートパソコン ウ ホットプレート
電力量=電力✗時間
で計算してみる
=8400W・分
ノートパソコン
=4750W・分
ホットプレート
=6500W・分
よって一番大きいのは液晶テレビ ア
(2)bに当てはまる語句を書きなさい。
電流が交互に入れ替わる電流を交流という
ポイント
最初の問題はスイッチS2だけのときは40Ωの抵抗には電流が流れない、
次の問題はスイッチS2をきると20Ωの抵抗には電流が流れない。
このことを使って、ブラックボックスの問題をとく。
今回、10、20、40オームの抵抗を1つずつ 使い
20Ω 50Ω 60Ωを作る
20Ωはそのまま使う
50Ωは10Ωと40Ωを直列
60Ωは20Ωと40Ωを直列
というので、作り出すことができる。
どれも直列なので考えやすい。
並列回路ではどうなるか、対角線(たとえば、AC間 BD間に抵抗がある場合、
並列回路のブラックボックスが作られる。
今回はこのパターンではないのでこたえはすぐもとめられるであろう。
抵抗のつなぎ方で電流の値が変わる。その1(2020年兵庫)
抵抗の大きさを求める
表3は,3種類の抵抗器X~Zのそれぞれについて,両端に 表3 加わる電圧と流れた電流をまとめたものである。ただし,抵抗器X~Zはオームの法則が成り立つものとする。
X,Y,Zはオームの法則が成り立つのだから、抵抗の大きさを求めておく。
電圧V 抵抗R 電流I都すると V=RI
小数は分数で考える
mAをAにして計算する。mA→A は1000で割る。この時小数ではなく分数で考える。
割り算は分数の逆数をかける
抵抗Xは
==4.0Ω
抵抗Yは
==8.0Ω
抵抗Zは
==20Ω
ということで
抵抗X 4Ω
抵抗Y 8Ω
抵抗Z 20Ω
抵抗のつなぎ方
図4のような装置をつくった。この装置の端子 A,Bと電源装置をつなぎ 6.0 V の電圧を加え電流の大きさを測定したのち,端子C,Dにつな ぎかえ再び 6.0 Vの電圧を加え電流の大きさを測定すると,電流の大きさ が3倍になることがわかった。このとき箱の中の抵抗器X~Zはそれぞれ。 端子B 端子 A~Dとどのようにつながれているか,箱の中のつなぎ方を表した図 として適切なものを,次のア~エから1つ選んで,その符号を書きなさい。
CD間に流れる電流はAB間の3倍である。
このことから AB間の抵抗はCD間の抵抗の3倍である。
このようになる組み合わせを考える
AB間が 24 CD間が8になると
になるので、
AB間は XとZが直列 CD間
答えはイになる
は Yのみという組み合わせが考えられる。
計算力が勝負 2021年の群馬県の解説動画
抵抗のつなぎかたとでんりゅうについての動画解説(2014年愛知)
ポイント
ブラックボックス内の抵抗のつなぎ方という問題は出題例が多い。
電圧が一定のとき抵抗の大きさと電流の大きさは反比例する
抵抗2個を直列接続をすると抵抗値は大きくなる
抵抗2個を並列接続をすると抵抗値は小さくなる
抵抗値が小さいほど大きい電流が流れる
並列につなぐと大きな電流が流れるb
直列につなぐ小さな電流が流れる
この関係から答える
計算を間違わないようにするため、小数で計算せずに分数で計算する。
分数で割るときは逆数をかける